成果は、行動の積み重ね。もちろん、しかるべきゴールががあり、そのゴールを達成するために、どのような行動を取れば良いのか?が分かっている事が前提です。行動が明らかになれば、その行動をとり続けていく限り、達成する確率が1に近づきます。とすると誰かに成果を出してもらいたいときは、先ずは行動にフォーカスすることが大切です。頑張れ!と言ったところで、そもそも何をすべきか?が分からない人に取っては何の意味もありません。
人に何かを指示、命令する、或は教える場合、なんらかの成果を求めていることでしょう。この場合も注力すべきことは、望ましい行動を取れるように促す事や、その行動自体を本人から引き出すことが大切です。適切な行動を取れば、後は確率の問題なので、10回おこなって3回できる人は、成果が3、2回のひとは成果が2になります。ここの行動に対しての確率がおよそ分かれば、目標達成のためにどの程度の行動量を取れば良いのか指示が明らかになります。
例えば、目標達成が6の場合、前者の行動は20回、後者の行動は30回です。指示や命令をする場合、今なんかいくらいやっているの?と問い、足りない分の行動を取るように伝えると良いのです。仕事は、長期的な時間のなかで繰り返し実施します。全く同じ仕事はありませんが、ある程度、個人の特質によって、達成する確率が収束していきます。となれば、適切な行動が分かっても、行動量が足りなければ、それなりの成果しか出ません。
人によって、短時間で少ない行動量で成果がでる人は、確率が高いだけです。もちろん確率を高くするために、同じ行動でももっと効率的にどのようにすると効果が高くなるのか?などと頭を使って行動した結果でしょう。ここは個人差があるので、人によって具体的に取る行動の量は当然ことなるということです。行動と書くと、体を動かして何かをすること。とイメージすると思いますが、ここでは広義に捉えます。考える。理解する。学習する。等々も行動として捉えていきます。
人は、頭で理解した事を実際に行うことが意外にも苦手です。理解したつもりになって、実際に出来ない。そこで悩み、思考停止し、いつしか行動を行わなくなります。当然、成果に結びつきません。そのために、適宜フィードバックを与える。これが上司やその方々を指導するときのポイントになります。このときも行動にフォーカスします。
役割が上の人が役割が下の人に何らかの成果を求めるとき。
1)先ずは、全体のゴールイメージを共有して、何故、そのゴールを達成することが大切なのか?達成するとその組織はどうなるのか?等をチームで共有します。
2)次のそのゴールイメージを達成するための小さなゴールを時系列に分解します。最終的なゴールが3であれば、2、1でのゴールは何か?を明らかにします。
3)次に役割の下の人に、例えば1を達成するために必要な行動と行動量を特定します。そして、実際に行動するようにお願いします。
4)設定した行動をこなして入れば、その事にフォーカスしてその行動を取っていることそのものを褒めます。承認してあげます。
5)事前に考えた行動が旨く取れない場合は、その理由を役割が上の人と役割が下の人が一緒に考えます。このときは、双方向で質問をしながら、真因を追求します。
6)5)の結果をフィードバックして行動と行動の量を修正し再び継続して頂きます。
7)1を達成する迄適宜4)から6)を繰り返します。
4)から6)を繰り返すときのポイントは、行った行動に対して適宜ポジティブなフィードバックを繰り返すことです。そして、そのフィードバックの焦点もあくまで行動に対してです。そして、行動が適切に取れていない場合は、その事実にフォーカスして適宜その事を伝えていきます。ネガティブなフィードバックになりますが、それでも何か出来ている部分を先ずは認めてあげます。そのあとに感情を挟まずに、取れていない事を伝え、何故できていないかを考えさせるのです。
1が出来れば、次は2、3です。遠くの目標を先ずは設定して、そこに結びつく近くの目標に落とし込む。近くの目標は具体的な行動レベルと行動の量に分解して、いつまで、なにをどれだけ行うかを明らかにするのです。
行動にフォーカスをすることで、本人のやる気が数字としてみえてきます。明らかに過去と比較して行動量が低減している場合、本人に気持ちの変化が出ています。この場合、役割が上の人は、その人の気持ちの部分を聞き出し、何がおきているのか?を共有することが重要です。一方、過去と比較して行動量が増加している場合、本人にはプラスの気持ちの変化が出ています。この場合は、その事をほめ、更に高い行動ができるように促します。重要な事はつねに、役割が上の人が役割の下の人の行動を見ていることです。そして、そのことを適宜伝えることです。役割の下の人は、見てもらっている、と考え、行動の強化につながります。
役割が上の人と下の人。ここには偉いとか偉くないというのはありません。あくまで一つの仕事を達成するチームの中での役割の違いです。従って、年功序列が崩れた今、役割が上の人が年下。役割が下の人に経験豊富な中途社員がいることも多々あります。しかし、基本的にはしかるべき行動と行動量を取って頂ければチームの成果は達成できるので仕事の仕方は大きく変わらないでしょう。
とはいえ、やりにくさは分かります。
自分より年上で、役割が下の人に対しては、フィードバックする時に、お礼をします。ありがとうございます。などです。また、実際年齢は高いけれど、役割が下の人は、他の人とくらべて、その仕事に関しては不器用なことがあります。従って、取って頂きたい行動に対して、若干限定して、あまり業務内容を広げないようにすることがポイントです。一方で、これまで培って来た別の強みがありますので、その部分を旨く引き出してあげ、場合によっては、何かあるたびにその部分でのコメントを求め一緒に考えて頂く役割になってもらいます。
中途で能力レベルや経験がある社員が下にいる場合。どんなに優れていす人でも、自分のチームの成果を最大限発揮するための行動が100%、これまでの行動と一致しているとは限りません。従って、どのような行動をとってほしいのか?どの程度の行動量を取ってほしいのか?明らかにして伝えます。後は、年上の人とどうように、その人が明らかに秀でている分野には積極的にどのようにしたら良いのか?アドバイスを求め、どんどん発言していただくように促します。