iTunesイン・ザ・クラウド

2012年2月26日 日曜日

アップル社の音楽配信サービス、iTunesイン・ザ・クラウド。しばしの間、日本ではクラウド型の音楽配信における著作権の線引きが曖昧な状態でした。しかし世の中の傾向をようやく理解したのでしょう。

あたらしいサービスの内容です。iTumeストアで購入した音楽をアップルのサーバーに保存。その後、iPhone、PC、iPadなど様々な機器で自由にきけるというサービスです。普通のクラウド型のサービスですが、クラウド!と技術や難しい概念を一切説明せずにサービスインしているところが素晴らしいですね。

こちらのサービス、海外では一足先に始まりました。日本が出遅れた原因は前述した著作権問題。国内の著作者の権利を守る日本音楽著者権協会(JASRAC)がしぶっていたのです。

世の中の傾向を見ると、世界の音楽配信市場は日本を除けば拡大基調です。国際レコード産業連盟によると、2010年は2009年と比較して8%の増加。音楽産業に占める配信の割合が約30%を占めています。そして、昨年の米国では初めて配信による売上高がCDによる販売額を上回りました。

一方で日本では2011年の配信市場は2010年比で16%ダウン。2年連続前年割れを続けます。この背景は、携帯電話への配信市場を引っ張ってきたソニーミュージックエンタテイメント等が機種によってはスマホ対応出来なかったことです。ガラケーからスマホのシフトを考えると、この傾向はまずい、そう感じたのでしょう。

アップルがiTunesストアを日本で解禁した時期にも同様の遅れがありました。日本の音楽業界が1曲100円という難色を示したときです。しかし実際は、日本市場だけが特有のガラパゴス化。そして音楽産業全体が縮小する結果になりました。

日本レコード協会によれば、2011年のCDの生産額は2010年比で6%ダウンの2084億円。13年連続で前年実績を下回っています。日本レコード商業組合に加盟する音楽CD店は2011年4月時点で635店舗で、この10年間で1/3の水準になっています。

海外の音楽大手は、この傾向をいち早く察知してYoutubeに無料で音楽映像を流し広告で稼いだり、ライブ集客や関連グッヅの物販を増やすことで音楽ビジネスの収益化に取り組んでいます。

世の中の変化を敏感に察知し、自らのビジネスも変化させる。旧来のモデルにしがみついて行く業界は突然死を迎える。一方で、iTunesを更に進化させたプラットフォームを構築するアップル。iTunesイン・ザ・クラウドの日本におけるサービスインは、ネアンデルタール人とクロマニヨン人が交渉をしていたかのような取引だったのかも知れませんね。



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