顧客にとって何かいいこと。ベネフィット。これを追求することはマーケターの仕事の一つとも言えます。B2Cのマーケティングでは機能的なベネフィットと感情的なベネフィットに分けることで様々な仮説を展開して行きます。では、B2Bのベネフィットは、何になるのでしょうか?
早嶋は考えます。結局、企業が何かを購入する意図は、自社の長期的な利益の追求の道具にすぎないと。つまり、B2B企業にとっての最大のベネフィットはmROIでしょう。つまり、その商品(製品やサービス)を通して得られる何かが、B2B企業にとって利益の追求のつながることです。となればB2B企業に対してマーケティング活動を行う場合は、mROIを常に顧客に提案することがポイントです。
そのためには、B2B企業に対して、自社の商品を説明するのではなく、あくまでB2B企業がどのように自社商品を使うのか?その使い方を提案する必要があります。B2B企業が商品を購入する目的は、その商品を使ってB2B企業のビジネスを達成しやすくするためです。つまり、提供する側からすると最終商品ですが、B2B企業にとっては全体のビジネスや商品の一部にしかすぎません。
だったら、その一部の商品がB2B企業が顧客に提供する商品の全体において、どのように効果があり、どのような使途ができるのか?を常に明らかにして行くことです。自分たちが提供している商品は全てではなく、顧客企業に取って全体の一部にしかすぎない。当たり前のようで意外と意識されていない概念です。
例えば、メーカーに包装材を提供する企業があるとします。包装材メーカーからすると商品は包装紙やパッケージになるでしょう。コスト勝負ばかりして価格を下げる要求を追求された場合、すぐにYesと答えるのは、自社の商品しか見ていないからです。例えば、提供する企業にとって、パッケージは全体の商品の何パーセントになるでしょう。仮に、1%程度だったとしましょう。包装紙メーカーは、堂々とパッケージが与える影響を提案しましょう。
仮に包装紙のコストが今の2倍になっても、全体の商品からすると1%が2%になる程度。しかし、その影響によって、エンドユーザーの認知率が変わり、購買する確率が1.5倍になったら。その投資効果は絶大なものになります。極端な例ですが、B2B企業にとって提案をするときに、自社が提供している商品がどのようにインパクトを与えているのか?顧客の全体の位置づけを明らかにすることはとても大切なことだと思います。