攻めのM&A

2012年1月2日 月曜日

2011年は日本企業によるクロスオーバーのM&Aが盛んでした。レコフの発表では2011年末の日本企業によるM&A総額はおよそ10.5兆円、そのうち海外企業を対象にしたものは6.2兆円でした。総額でも前年の約60%増とその勢いが良く分かります。

大型の案件では、武田薬品工業によるスイスの製薬大手ナイコメッドの買収、1兆1100億円。三菱商事によるチリのアングロ・アメリカン・スチールの買収、4200億円。テルモによるアメリカの仮ディアンBCTの買収、2162億円。東京海上によるアメリカのデルファイ・フィナンシャル・グループの買収、2050億円等々。

為替が円高を受けて海外企業が相対的にお買い得になったのもあります。一方で、大企業は現在の規模を維持するために、国内のビジネスだけでは頭打ちになっている危機もあります。少子化高齢化の影響もあり日本経済は成熟期を迎えています。国内企業は日本市場からの脱却が急務です。そこで海外に目を向け、ゼロから立ち上げるのではなくお金で市場と時間を買うという手法がとられるのも自然な流れと感じます。

例えばビール業界。国内市場は、1992年に現行方式で統計を取り始めて以来の最低の出荷量。このままでは規模の縮小がよぎります。キリンHDは約3000億円の資金を使ってブラジルのビール会社を買収。アサヒHDはニュージーランドの酒類大手の買収に約1000億円を投じています。サントリーはインドネシアの市場に力を入れています。

大型のM&A案件の場合、銀行などの金融機関からの借り入れも活用しますが、欧州を中心とした債務問題で金融機関が荒れています。従って欧州企業は企業の資金力も力が弱くなっています。対して日本企業は先に書いた円高の影響、比較的潤沢な資金をテコに経営者が意思決定しやすくなっているのでしょう。



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