早嶋です。
マーケティングは買って頂くための仕組みを作ることです。そのために、顧客は何故買うの?ということをトコトン追求することが大切です。買う、売る。立場を変えれば同じ発想ですが、買うというと顧客の視点に基づきます。買って頂く。もちろん、売れなければ意味がありません。企業が存続できる条件は長期的な利益です。売れなければ利益は上がりません。買って頂く。これは、顧客主導で行動する、という意味ではありません。理由は、顧客だけでは正確な価値の判定ができないからです。従って、売る側がその商品に対しての誇りを持ち、しっかりと価値を表現することが大切です。
価値の判断ができない。こうかくと、?、と思った人も多いでしょう。成熟した経済では、モノがあふれています。その中で消費者は自分のニーズを具象で表現することができず、多くは抽象的です。そして、本当に必要なモノでなくとも購入します。一昔言われていたように、明確なニーズとして顕在化することがなくなったため、企業側も把握が難しくなっているのです。
最近のマーケティングの流れを見ていると、必ず理論的なアプローチと感性的なアプローチの両方があります。消費者が実際に購買行動において合理的な判断をする部分は、全体の2割を下回る。こういう考え方が広く浸透しているためです。従来は、感覚的なアプローチは説明することができなかったのですが、近年は脳科学の発達によって、感情にもメスが入っています。そのため、非合理的な思考を理屈で考える作業が主流になっています。
りくつは、何かと何かを結びつけて考える方法です。感情に任せて消費者が買う、ということに何故?という視点を取り入れ、その因果関係を導きだします。りくつで考えることで、再現性が高まり、検証が行い易くなります。人が非合理的な判断で購入をしているのであれば、直感や感性の赴くままに経営をすると良いと考えるかもしれません。しかしそれだけではなかなか成り立ちにくいですよね。そのためにマーケティングという考え方があるのです。
近年、人が合理的な判断をしなくなった理由は、商品が溢れていること、スペックなどで競争する企業が増えており、同様のスペックだったらどっちがいいか?もはやどっちのスペックがいいのか?顧客の頭で合理的に考えることが難しくなった。というのもあるかも知れません。
また、チョイスオブパラドックスで選択肢が多すぎて悩みます。企業としては、いろいろと選んで欲しい!いろいろな人向けに商品を展開したい!と望んで多種にわたる商品を販売します。しかし、選択肢が増えすぎると、自分が何を買ったらいいのか?逆に分からなくなります。そして購入することをあきらめてしまいます。これは百貨店が良い例で、なんでもかんでも、あれやこれやと揃えるうちに、何が良いのかさえ分からなくなるのです。沢山の選択肢がありすぎると、自分が買った商品よりももっと良いものがあるかもしれない、そう思い、たとえ購買しても満足度が下がるのです。
企業は商品に誇りをもつ必要があると思います。そのためには、いろいろ展開しない。実際に、いろいろつくることは生産者が何も考えていないだけかもしれません。もっと真剣に吟味して、無駄を省きましょう。その人のためにトコトン追求した商品展開を行うことで価値を表現しましょう。顧客のニーズは色々あるから、というのは真因を追求していない証拠です。そもそも、顧客自身が自分を表現することが難しいので、なんとなくニーズとして、世の中で使われている言葉を発している可能性があるのです。それを真剣に拾い上げて、全てを実現すると、実は誰も欲しない、モンスター級の商品ができるのです。そして、これ結局誰が欲しいの?となり、誰からも買って頂けない商品のオンパレードになるのです。
考えてみてください。これだけモノが溢れていても、しっかりと継続的に買って頂ける、売れ続ける商品があります。定番と呼ばれる商品です。昔からかわらず商品展開もされない。結局の所、このような定番は消費者が買ったことに対して失敗を覚えないし、選択するためのストレスも軽減されるのです。