早嶋です。
ビジネスモデルという言葉を良く耳にします。ビジネスのモデル、これは経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報がどのように絡んでいるかを整理するとよく見えてきます。モデルですので、何かしら構造として捉え、流れに沿って考えることができます。一般的な定義では、上記の4つの経営資源のうち、モノ、カネ、情報の取引形態の流れを表す場合が多いと思います。
これマーケティングの言葉で置き換えて考えると、モノの流れ→物流、カネの流れ→商流、情報の流れ→情報流通です。となると、いわゆるマーケティングミックスのうちのPlace、流通に対しての意思決定に相当します。となるとビジネスモデルを考える場合は、流通を考えていることになるでしょう。マーケティングの世界では、流通政策を考える場合、相手との力関係を意識します。各プレーヤーの立ち位置や力関係は流れを大きくかえる要因になるからです。
別の考え方で見ると、同じ流れですが、どのようにしてエンドユーザーに対して価値を届けているのか?その一連の流れがビジネスモデルだとしたら、今度はバリューチェーンになります。流通の考え方も、広義では消費者に届けるまでの一連の例路に対しての意思決定ですのでしっくりきます。因に、調達再度にフォーカスしたらサプライチェーンでしょう。
ビジネスモデル。かなり概念的な内容で、かつそれ自体が構造としての理解とすると、単に見た目が同じ!だから同じビジネスモデル!という訳ではないことが分かります。例えば、かつて努めていた横河電機の制御ビジネスのビジネスモデルは居酒屋さんに例えて考えていました。
居酒屋さんのビジネスモデルは、待ち行列ができて、入店。初回の注文、数回注文、滞在、支払いです。例えば人気の居酒屋さんを見てみると高収益をあげれる体質を作っていることが分かります。待ち行列、つまり居酒屋さんの外で待っている間に注文を取りにきます。そして、前の顧客が支払いをすんだ瞬間、素早くテーブルを片付けてから席に案内します。座った瞬間にお酒と注文の料理が届けられ、顧客は席について待たされることはありません。人気の居酒屋さんはとにかく回転率を良くしています。そしてポイントは長居をさせません。たいていの居酒屋さんが90分の制限など時間の上限を決めています。
なぜ、上記のようなオペレーションを行うのか?それは居酒屋さんが一番儲かる瞬間は初回の注文だからです。たいてい、お酒や料理など沢山の注文が入ります。しかし2回目以降はお酒だけとか、料理の追加注文とかです。そしてしばらくすると空腹感が満たされ、ちびちび長いが始まります。お客さんにとっては一番楽しい瞬間でしょうが、お店にとっては注文がないのに場を使用されている、従って一番利益ができない瞬間です。そのために、一気に注文をとって、間髪入れずに注文を出して、時間を制限することで回転率をあげているのです。
では制御ビジネス。大きな工場に大きなシステムをおさめます。一番大きな金額が入ります。そしてその後15年から30年は保守メンテナンス契約を結びます。従来はこのような流れでしたが、当時は、初期の導入コストを抑えられ、保守メンテナンスも絞られという世界でした。驚嘆な話、導入時の価格を少し押さえても、保守メンテナンスで食っていた時代もありましたが、いまでは両方でたたかれる。厳しい時代です。と考えると、最初の注文が少ないのに、居酒屋に長居されているようなビジネスになりつつあったのです。
当時考えていたことは、如何に待ち行列を作るか?そしてその待ち行列ができた瞬間に、いかにさっとインストールできる仕組みを作るか?そして、保守メンテナンスでたたかれないようにするために何をするのか?90分の時間制限をヒントに何かできないか?と、簡単なビジネスモデルに置き換えて、マーケてイングのシナリオを考えていました。