早嶋です。
企業のグローバル化が進む中、日本企業が海外での活動において様々な面で問題が発生しています。マッキンゼーの7Sに沿って、まずはShared Value、共通の価値観・理念について考えてみました。
その前に、アメリカの文化人類学者が唱えたハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化が参考になります。これは国や地域のコミュニケーションのスタイルを理解するのに役たちます。ここでのコンテクストとは、コミュニケーションの基礎である言語や共通の知識、体験や価値観、ロジックや嗜好性などです。
ハイコンテクスト文化では、コンテクストの共有性が高い文化で、伝える努力やスキルが無くとも、互いに相手の糸を理解し、察しあうことで何となく通じてしまう環境です。例えば、日本はコンテクストが主に共有する時間や体験に基づく傾向が強いとされます。同じ釜の飯を食べる仲間といった感覚でツーカーで気持ちが通じ合うようになれば組織は強くなります。
一方で、そのような時間や経験を共有できていなければ、今度は一転してコミュニケーションが上手くいかなくなるのです。互いに会話の糸口もつかめず、会話も弾まない。相手の言わんとしていることも全く理解出来ません。つまり日本においては、コミュンケーションの良し悪しは、会話そのものではなく、共有するコンテクストの量によることが大きいことが分かります。また、話し手の能力よりも、聞き手の能力が双方のコミュニケーションの向上に影響をあたえるのです。
一方、欧米ではローコンテクストの文化です。そのためコミュニケーションの在り方はコンテクストに依存するのではなく、あくまで言語によるコミュニケーションで成立させようとします。これは、コンテクストに頼った意思疎通能力が苦手とも表現できます。従って、言語そのものに高い価値観と積極性をもつ傾向が強くなります。コミュニケーションに関する様々な能力、論理思考や表現力、説明能力やディベート能力、説得力や交渉力が重視される傾向も理解できますね。
上記を踏まえて日本企業の理念や文化の浸透を考えてみます。多くの企業では企業文化や理念の浸透を自然減少のように捉える傾向が強いです。意図的にかつ、明示的に企業文化を浸透させるメカニズムが無い、もしくは弱いのです。海外であっても、企業への定着率が高ければ、ある程度は何となく、企業文化は浸透していくでしょう。
しかし、流動性が高い昨今は自然現象任せでは管理ができにくいのです。宗教を普及していくように、企業文化を徹底して浸透していくメカニズムが必要です。企業をフローバルに展開するのであれば、自社のWayを意図的に浸透する仕組みを構築する仕組みを考えないと行けないのです。Wayがバラバラだと若い人材のリテンションも難しくなるのです。