国際化戦略

2011年4月18日 月曜日

近年の経済状況で、国内企業の関心毎の一つに、グローバル戦略があります。その理由は殆どが、国内市場の飽和と縮小でしょう。

これまでの国際化は、日本を中心にして、標準化させていくグローバル化が主流でした。一方、各国毎にローカル化していくという考え方もありました。そして、そのどちらが良いのか?よく議論されていたと思います。つまり、標準化すべきか?適応化すべきか?です。

レビットは、1983年の論文「市場のグローバリゼーション」で「世界全体が大いなる力に突き動かされて、同質化に向かっている」と言いました。この主張は、世界は一つになり、「全世界を一つの市場と見なして、すべての人に同じ製品を同じように販売する」ことが可能ということを言っています。

トーマス・フリードマンも、『地球は平らだ』と考えよとフラット化する社会で主張しています。例えば、インドのバンガロール、インフォシスというIT企業の会議室で壁一面に広がる巨大な40面のスクリーンに圧倒された経験などが本に書かれtいます。その事例では、世界のどの拠点からも生の映像を通じて会話ができ、ブロードバンド環境や通信テクノロジーの進展によって世界はフラットになった…と続きます。

一方、ゲマワットは言います。今後の主要な論点は「セミ・グローバリゼーション」だと。彼は、レビットやフリードマンのグローバリゼーションに関する主張を「グローバリゼーション津波論」と名付け、それに対して「世界はフラットではない」と提唱しています。

セミ・グローバリゼーションとは、世界は半分くらいしかグローバル化していないという前提です。彼の論文には、様々なデータで、世界はわずか10%程度しかグローバル化していないと結論づけています。そこで、ローカル化する事と、グローバル化する事を進出する国と自国の違いをベースに戦略を立てて行こう!と唱えているのです。

従来の国際経営戦略論を大別すると、①「いまや世界市場は均一化したグローバル市場である」とする国際的な差異を無視したいわゆるグローバル戦略論⇒現地化を否定、本社に権限を集中するアプローチと、②「海外地域市場の差異や特殊性にこそ戦略的意味がある」として「ローカルに考え、ローカルに行動する」ローカル戦略論⇒権限の現地委譲による現地化アプローチがありました。

今後は、①と②のハイブリットを考えながら戦略を立てて行こうと言うのがゲマワットの主張です。

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コメント / トラックバック2件

  1. ぐるぐる より:

    なるほど、そうなんですね。グローバル化には(1)と(2)の考えがある、と。
    とはいいつつも、(2)でないと、なかなか現地で事業を軌道に乗せるのは難しいのではないでしょうか。日本流経営を世界に理解してもらうことは、難しいですからね。たとえばタバコのJTは、スイスに子会社を置き、欧州事業の権限を大幅に移譲しています。愛煙家の多いロシア市場も射程に収めているようです。もちろん重しとなる日本人がいるのでしょうが、JTインターナショナルの役員の国籍は10カ国ほどにも及ぶそうです。
    日本のグローバル企業、たとえばトヨタ自動車の役員会が、10カ国の国籍の人の集まりだなんて、一般的な日本人には想像できないですよね。これからは、日本も、そういうことを普通に想像できる社会になって行くんでしょうね。

  2. biznavi より:

    早嶋です。コメントありがとうございます。
    日本を中心に国際化を考えるのは、少し前のやり方でしょうね。以前務めていた会社も、最も市場が成長しているところに実質的な機能を置くような議論をよくやっていました。
    日本も世界のなかのひとつです。ですので、どんどん出て現地になじむことも必要になるでしょう。一方で共有できる所は共有していき、そこにHQを置くかは別にもっと柔軟な展開になるとおもいます。

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