歯科医院、眼科、内科、・・・。
大学を卒業して大学病院や大きな病院で勤務医として務めた後、多くの方が自分の病院を開業します。そしてその時に、開業と表現するものの起業という言葉は使いません。仕事上、クリニックの院長とやりとりをする場合が多いのですが、この場合も実際は経営者なのですが、院長と呼ばれています。
クリニックを開業する場合、何が一番大変か?まずは資金集め。次に人集め。そして、患者さん集め。昔は、開業する場合は金融機関が融資をしてくれましたので、お金はある程度問題はありませんでした。昔は、人も集めるのも様々なネットワークがありましたのでやはり苦労はなかったでしょう。そして、患者さんも。また、オペレーションも昔は保険制度が充実していて、税制度も優遇されていました。
でも、現在は例えば歯科医院は銀行の融資はものすごく難しくなっています。人を集める場合も、希望通りのスタッフを集めるのは難しく、継続的に経営しているクリニックであってもスタッフの募集は思うようにいきません。そして患者さんも。さらに、保険制度はどんどん厳しくなり、税制も大幅に見直されています。
さて、このような状況に院長が行わなければならないことは何か?いわゆる医療サービスを提供するだけではダメなのです。資金繰りは企業では財務担当者の仕事ですが、クリニック規模で行うのは院長です。人の採用や育成、配置は人事担当者の仕事ですが、クリニック規模ではやはり院長の仕事です。患者さんを集客する仕事は、企業ではマーケティング担当者の仕事ですが、やはり院長の仕事です。そしてマネジメント。コレは各部門のマネジャーが行う仕事ですが、やはりクリニックでは院長の仕事です。
つまり、開業して院長が行う仕事はいわゆる医療サービスよりも、それ以外の仕事の方が多いのです。
しかし、医療を学ぶ過程において、上記のような経営に関する知識の習得はまずないでしょう。これは驚くべきことだと思います。院長として将来開業を志すかたは、この事実をよく理解する必要がありますね。つまり、開業とは医療サービスを提供するビジネスを起業することであり、院長に就任するということは、その医療サービスを提供する会社の社長に就任することだと。
すると、少なくとも経営に関する知識の習得や、他業界で行っているビジネスの常識は、ある程度身につけておくべきことですし、継続的に医療サービスを向上させると同様に、院長の中で更新していくべきことなのです。
もし、このようなことが嫌だったら、院長として独立するのではなく、はじめから勤務医として仕事に取り組んだほうがハッピーかもしれません。代診のドクターは雇うことができますが、クリニックの経営者を雇うことは難しいですよね。