早嶋です。
—-以下、日経新聞抜粋 06年9月20日—
イオンは20日、日本企業初の50年債を発行すると発表した。株式と社債の中間に位置付けられる「ハイブリッド証券」で310億円を調達する。既存の短期債務を長期債務へ借り換える。
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企業が事業活動に必要な資金を用意することを資金調達といいます。資金調達にはいくつか方法があります。
それらの調達方法にはそれぞれメリット、デメリットが存在しているため、企業はどの様にして最終的な利益を最大化するかを考え、様々な調達方法を組み合わせて決定します。
そのときにポイントとなるのが、資本コストです。資本コストとは、資本を調達する際にかかるコストのことです。例えば、お金を借りれば利子を支払う必要があります。株式の場合も、後に利益を株主に還元するためコストが生じます。そこで、企業が資金調達を行う場合、必要な資本を最も低い資本コストで調達する、ということが前提になります。
資金調達は大きく2種類に分かれます。金融機関から借り入れるなど企業の外部から調達する外部金融と、企業の利益などのように内部から調達する内部金融です。
外部金融は、間接金融と直接金融に分かれます。間接金融は金融機関からの借入金による調達方法で、資本コストは手数料や返済するときの利子に相当します。また、直接金融は株式や社債の発行による資金調達になります。
株式の場合、返済の必要が無い一方、株主に対して、彼らが期待するリターンを支払う必要があります。そのため実質的な資本コストは社債よりも高いとされます。社債は負債になるため、決められた一定の利子を支払う必要があり、満期になれば社債券に表示された金額を全額償還しなければなりません。ただ、支払う利子は費用として扱われるため、その分、資本コストは低いと考えられます。
今回、イオンがとった調達方法のハイブリット証券(ハイブリット債)は株式と債権の両方の性質を持ったものになります。ハイブリット債はB/S(貸借対照表)上は負債として計上しますが、格付け会社からは一定割合を資本とみなされる特徴があります。今回の場合、各付け期間は全額の50%を資本として認めています。
この様に、ハイブリット証券は格下げによる信用力の低下を避けると同時に、増資のように既存の株主価値を下げることもないという特徴があります。今後、日本企業でも欧米のように相次ぐ発行が考えられ、新たな調達方法として広がる可能性が高いと思います。
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