待ち行列。需要と供給のバランスが崩れると、待つ人の行列が発生します。人気のラーメン店、通勤時のバス、休日や祝日の高速道路、ディズニーランドのアトラクション。至る所で観察されます。
その発生の原因は、需要と供給の読み間違えとも考えられますが、実際は『バラつき』の場合が多いようです。
例えば、ディズニーのテーマパークは基本的には需要の最大90%を満たすような設計をされています。これは理論上では、10日のうち、9日は収容力に余力があることを意味します。しかし、ご想像の通り、いつ行っても長蛇の列です。
統計学者は、仮に、1年で最もピークの時期に基本設計をしたとしても、『バラつき』が発生するために待ち行列が生じるといいます。
理由は、平均。最もピーク時の人込みは平均値で、実際の不均等に生じる分布を無視しているからです。平均では収容力を満たしても、バラつきが生じるために、ピーク値を超える人が一気に押し寄せることで待ち行列が生じるからです。
それでは解決策は?そう、『バラつき』を解消することです。例えば、ディズニーではファストパスというチケットを発券しています。2000年から導入されたシステムで、いわゆる優先予約システムです。
人気アトラクションの前に着くと、通常の列とファストパスの列があります。ファストパスは、事前に発券機で受取、指定された時間に再びアトラクションの前に行って、ファストパスレーンに並びます。ファストパスの列は、スタンバイの列よりも早く進むという仕組みです。
この仕組み、あたかもファストパスの魔法によって待ち時間そのものが短縮されたかのように感じます。しかし、誤解です。列に並んでまつ変わりに、その場所から離れてよいだけなのです。混んでないアトラクションを利用したり、食事をしたり、トイレに行ったり、休憩したり。
アトラクションの前に行き、ファストパスを取ってから、指定時間に行ってアトラクションに乗るまでの時間を考えると実際は、長くなっているかもしれません。ファストパスの有無によっては、アトラクションの運用能力は変わりません。従って、多くのゲストが利用できる!ように思うのは錯覚なのです。
ファストパスは、急激に込んだりする『バラつき』を調整するだけではなく、人が感じる待ち時間までを短くする効果があるのです。これはディズニーのマジックそのものかもしれませんね。
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いわる整理券ってやつですね。需要者にとっては、「待つ」だけの時間を、他の別のことをする時間に使えますね。これが一番でしょうね。ま、人によっては、文庫本一つ、携帯ゲーム機一つあれば、待つ時間も楽しめますが。
ディズニー名物のパレードも、確か夕刻でなかったでしょうか。夜間入場割引もありますよね。普通なら昼に集中する客を、夜にも分散させようって狙い。なかなか考えていますよね。
コメントありがとうございます!
待ち時間をどのように短縮するか?機能的なアプローチもありますが、百貨店等はエレベーターの前に鏡を置いく、という方法で解決しているところもあります。鏡の前に立つと、つい自分を見ていて時間を忘れるから!というソリューションです。
心理的なアプローチもとても重要なんですね。