トライアル

2010年12月4日 土曜日

トライアル。九州初のディスカウントストアですが、1992年に1号店を出店してから現在では129店、最後発ながらも直近の年間売上高は10年前の10倍の2000億円、急成長している企業です。

トライアルの前身は福岡の小さな家電販売店でした。家業を継いだ永田久男社長は1991年に経営に行き詰まり、飲食店に進出しましたが軌道に乗りません。そんな時期にっ米国で見たウォルマートにインスパイアされました。

帰国後ウォルマートを徹底的にベンチマークして日本でウォルマートを模倣しようと決め始めたのがトライアルです。

■商品と価格
集客の柱は、29円のコーラ、79円のペットボトル2?入りのお茶、59円のカップめんなどPB商品。店舗には、食品、家電、衣料品、日曜大工用品などほぼすべてのジャンルを揃えています。

トライアルの店頭には必ず激安PBが山積みされていて、体全身で安さを体感できます。売上高に占めるPBの割合は2割。一方、NBは他店と比較して安いわけではないですが、PBブランド目当てで顧客が足を運ぶのです。

現在PB食品の累計は2000種類。そのた開発方法はやや乱暴ですが沢山開発すればヒット商品は出る!というものです。実際、数カ月で店頭から姿を消す商品も少なくありません。しかしトライアルの開発体制強みでしょう。

PBの粗利率は平均して10%~20%あり、利益もしっかり確保しています。商品は常に何と何が売れているのか?というようなバスケット分析を行い、売り場の最適化を行っています。

トライアルの方針はNBの競合他社との対抗値下げは行いませんが、PBはとことん下げます!という明快な方針です。将来的にPBブランドの割合を4割にまで持っていく計画です。

■流通 ~立地戦略~
92年の1号店開業以来トライアルは店舗数を拡大しています。現在は129店で2011年3月末の目標は132店舗です。地域は九州・中国を中心に北海道や関東にもあります。

ここ数年はは5000~1万㎡の店舗を中心に年間20店舗の急ピッチで新設しています。この急拡大の裏にある手法は居抜き店舗の活用です。景気のあおりで不調になった同業者の店舗にそのまま入居します。実際に現在の店舗の8割は居抜き物件です。棚や内層もほぼそのままに使用して出店コストを限りなくゼロにしています。

そして低コストで出店して売上で得たキャッシュを基に出店を重ねるという具合で店舗数を増やしています。

現在、九州地区での高立地での居抜きは減少しているため、自社からゼロベースで店舗を構築すう必要があるのでここにまた新しいイノベーションが必要になるでしょう。これはやく5000㎡の新設店舗を出す場合、ざっと3億円程度の初期投資が必要になるからです。これまでの限りなくゼロで出店する場合と大きくコスト計算が違ってきます。

■流通 ~情報システムの徹底活用~
流通網は全て自社で整備。4トン中心の190台の大型トラックは自社保有。全240人の運転手は正社員。メーカーから商品を集約するための巨大な物流センターは福岡、兵庫、栃木、茨城の全4拠点体制。

9割以上の商品は一度物流センターに集約して効率を図る。物流に対する投資は巨額ですが、委託した場合よりもランニングベースで7%~8%のコストが軽減できます。

システム開発は中国をフル活用しています。2003年に中国の大連にシステム子会社を設立して、600人の現地スタッフを雇い、低コストで開発できる体制を構築。本社のシステム部門でも70人の中国人を雇用しています。

これはトライアルグループ2800人の正社員の4割近くが中国人ということを見れば、何か将来のビジョンが分かります。彼らにもリーダー的な役割を与え週に一度のペースで現場に足を運ばせ、発注システムの現場検証を行なわせています。また一部の中国人社員には、トライアルの店舗に配置して営業から店舗運営術まで経験させています。

そう、今後のトライアルは中国店舗での展開を視野に入れているからです。

永田社長は家電販売店時代に自らシステム開発を手掛けるなど、エンジニアとしての素養がありました。ウォルマートを模倣する総合スーパーやディスカウントショップと同様に、トライアルも情報システムを徹底的に重要視して活用しています。

早嶋聡史



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