中小企業の倒産件数

2010年10月14日 木曜日

東京商工リサーチの調査によれば、2010年の上半期の倒産件数は7000件を下回り6555件でした。7000件を下回るのは実に4年ぶり。景気実感とは合わない件数です。

この理由については2つ考えられます。1つは中小企業金融円滑化法、1つは景気対応緊急保証です。

中小企業金融円滑化法は前金融担当相の亀井静香氏が作った法案で企業が借りたお金の返済期限が近付いてきて、その企業が返済猶予を求めた場合、銀行はその要望に応じる努力をしなさい、という内容です。昨年12月の施行から今年の6月末までに同法案に基づく猶予は約39万件、金額にして約13.4兆円です。また、現金融相は来年3月まで円滑化法を延長することを検討することを言っていました。

しかし実態は、円滑化法を利用しても地方の企業を中心に倒産する企業が発生しています。ざっくり簡単にいえば、円滑化法を申請すると銀行は返済猶予を認めます。そのかわり1年以内に、改善するための経営計画書を提出してください。という内容だからです。従って、とにかく返済猶予を認め、認めた会社が返済出来るのか?経営改善出来るのか?はそのあとに分かるという内容なのです。

極端な話、継続性が乏しい企業のリスクを銀行が追っている事になります。これでは経営破綻のリスクを金融機関が過度に追っていることにもなります。

更に、円滑化法を利用している企業が金融機関が求めている経営計画書を提出するとなると、実際はとても難しいと思います。そもそも作れないからです。後半年くらいで金融機関は約39万社分の経営計画書の提出を求めますが、いったいこの作業をできる企業はどの程度存在するのか?これもクエスチョンマークです。

もうひとつの理由、信用保証協会の景気対応緊急保証です。これは赤字を出している企業であっても借入保証を受け入れやすくする制度です。こちらも利用額は現在で22兆円に上っています。

両方について言える事ですが、確かに金融機関が企業にお金を貸すことは大切ですが、その企業が資金の使途、返済の計画、事業の計画をある程度確認した上で何らかの対策を行わない限り、ただ単に先の伸ばしになるだけではなく、ますますまずい状況になってから一気にはじける!といった懸念が現段階から考えられます。

早嶋聡史



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