不確実性に対する一歩

2010年8月19日 木曜日

最近、大手企業のマーケティングプランのシナリオ設定などに関わることが多々ある。その中で良く話題になるのが不確実性に対しての対処だ。

シナリオを策定しながら、これは成功するだろうか?失敗するだろうか?という質問をいただくが、ビジネスにおける失敗や成功とはそもそも何だろうか?ということがあいまいな場合が多い。従って、シナリオを策定する場合、成功の定義を議論することを忘れてはいけない。

話題に上る成功とか失敗とかの定義があいまいなので測定が難しい。たとえ定義が明らかにされ具体的なものとして共有されても、今度はそこにたどり着くための具体策が示されない場合が多い。

ファシリテーションをしながら、チームで成功までのステップ、具体策を議論していく。それから可能なオプションを複数考え、それぞれのオプションの妥当性を評価する。全てはあいまいな概念を皆で共有できるように表現することから始まる。

あいまいな状況では、チームで議論することができない。そのため成果に結び付く行動を特定することもできない。あいまいなままでは分析のしようがなく、何が不確実なのか?を考える事が出来ない。

それからボードメンバーとGMなどの執行メンバーなどの間にギャップを感じる事が多い。また、チームの末端から上司や経営陣が考えていることが分からない!という内容を良く耳にする。

この場合、2つのことが考えられる。経営陣や上司が想定していることが部下まで上手く伝わっていないか、そもそも経営陣や上司が考えていること自体があいまい、のどちらかだ。意外にも後者が多いことに気づく。

売上や利益という概念だけが先行している。利益10億円を達成すると言われても、実際の具体策が見えないので行動にはつながらない。アイデアが漠然としている状態と同じだと思う。この状態は洞窟の中をライトを付けづに手探りの状態で歩いているのと同じ。

ではどう対処するのか?とにかく形にしていくことに取りかかる。それは先に示したゴールの定義から始まり、アイデアを議論しながらブレークダウンする。ポイントは皆が見えるようにツールを使いながら視覚化して議論をする。それからゴールまでのプロセスを組み立てる。ポイントは、1つのプロセスではなく、いくつかのオプションを必ず検討する。

この状況になれば初めて、何が不確実なのか?何が確実なのか?の議論が始まる。何もない状況では結局、不確実性の対処はできないのだ。

早嶋聡史



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