上司のコーチング-10 問題の本質を探る-1
先月までと同様に、営業管理者が部下の営業パーソンをコーチするという想定で進めて参ります。データを使って問題の本質を探ります、何が原因でそのような問題が起きているのかを部下と一緒になって考えることです。
今回のような問題“上位20%までの優良顧客で、昨年年初から顧客シェアが約20%低下している”では「散布図(グラフの一種)」を作ることをお勧めします、これはエクセルを使えばだれでも簡単に作ることができると思います。
必要なデータは、3つだけです。1)顧客ごとのポテンシャル(購買力)、2)顧客ごとの年間売上高、3)顧客ごとの年間の訪問回数です。例えば2)と3)の組み合わせで、グラフにしてみます。見えるのは時間の使い方が適切かと、営業が効果的かということです。
ここから部下とのやり取りを想定してみましょう。
上司:このグラフが表すのは君の営業活動だけど、これを見て何か感じることある?
部下:何をみればいいのでしょうか、よくわからないのですけど。
上司:横軸が訪問回数、縦軸が売上高なんだけど、どんな形の分布が理想的だと思う?
部下:そりゃ右肩上がりです、訪問回数が多いほど売上高も多いのが自然ですから。
上司:君のグラフはそうじゃないよね、これが問題の原因じゃないかと思ってるんだ。
部下:つまり、営業活動のあり方が問題なんじゃないかということですね?
上司:そうだな、売上の大きい所で訪問が少ないし、売上が少ない所に訪問が多いね。
部下:確かにそうですね、何となくそんな気がしていたのですが・・・。
上司:そこには何か意図があったのかい、それとも無意識だったの?
部下:無意識です、何となくそうなっていたようです。
上司:そうか、二つ考えてみようか。
売上の少ないお客様に訪問が集中している原因は何だろうか?
前年の売上が大きいお客様への訪問が少なくなっているのは何が原因だろう?
部下:そうですね・・・。
こんなやり取りで進めることができます、そしてそこから“その問題を解決するためにどんな方法があるだろうか”を考えて行きます。データを使った問答無用のコーチングです、皆さんもやってみませんか?