上司のコーチング-9 現状を確認する-3
前回は「何が起きているのか」を明確にすることを取り上げました、今回はその問題が「なぜ」起きているかを考えることにします。ここではデータを眺めながら、部下と一緒にその問題を考えます。
例えば、「上位20%までの優良顧客で、昨年年初から顧客シェアが約20%低下している。他社商品への買い替えが進んでいるようである」という問題が見えたとします。それに対して原因を究明しなくてはなりません、いったい何が原因だと考えられるでしょうか?
たいていの場合、上司は部下に問いかけます、「君、一体どんな理由でシェアを落としているんだ?」と。そしてほとんどの場合、部下は答えます、「価格差で負けるんです」或いは「商品力で負けています」、「会社の知名度が違うんです」と。
自分の営業のあり方が問題だと思っている営業パーソンは余り見たことがありません。いたとすれば体育会系の反応です、「申し訳ありません、私の責任です、どこかで挽回します」、潔くはありますが、何の解決にもなりはしません、こんなやり取りは無益です。
大事なことは、何が原因でその問題が起きているのか明らかにすることです。そして問題の解決策を見つけるのです、今までに起きてしまったことは仕方ないとして、これ以上は食い止めなくてはなりません、できれば失ったシェアを少しでもとり戻したいところです。
問題は「営業活動が偏っていた」、自分にとって行きやすい顧客ばかりに行っていたのです。「各顧客の昨年の売上高実績と訪問回数を出してくれないか」と部下に要求しました、分かったことは、重要顧客の入札に応札できていない事が何回もあったことでした。
次に考えるべきことは、「今後同じような問題を起こさないために何をするか」と「少しでも挽回するために何をするか」です。これも押しつけるとやりません、部下と一緒に考えて「こうやります」と合意できること、そのためにはデータを使って指導することです。