アメとムチの動機付け

2010年7月10日 土曜日

アメとムチ。マネジメントを行う上で少なからずとも参照される管理手法ではないでしょうか?

しかし近年の研究では、報酬によってその仕事や作業の成果を最大化することはかえって逆効果を生むことが分かっています。特に、独創的な考えやひらめきを必要とする仕事においてです。

多くの実験結果で、ひらめきや創造性を必要とする作業において、報酬を事前に示した場合、その報酬額が大きいほど良い成果を収めることが出来なくなるのです。一方、その仕事が機械的なスキル、つまり単純作業や繰り返し作業で、頭を使わない手の仕事であれば、報酬は期待通りの役割を果たすと言われています。従って、報酬の額に比例して仕事の成果が向上するのです。

これは非常に重要な研究成果です。人の動機付けをどのようにするのか?それは仕事の種類によって分ける必要があるということです。つまり、創造的な仕事か?そうではない仕事か?によってです。

その仕事が創造的な仕事でない場合、つまり主にルーチンワークである場合、次のような事を考えます。その仕事が仕事に対してのやりがいを増し、機械的な側面を減らすことが出来ない場合、報酬を利用できます。その場合、次の3つの点に注意します。

1)その仕事が必要である事を示します。そして2)その仕事自体は退屈なものであることを通達しておきます。最後に、3)仕事の仕方は任せるのです。仕事はルーチンワークですが、仕事の仕方までは管理せず、自律性に任せるのです。

一方、上記以外の仕事、つまり創造的な仕事である場合、金銭的な報酬をチラチラさせながら動機付けを行おうとすると逆効果になります。従って、次のように進めます。まず、公平な賃金を保証します。自律性があり、仕事を行う事で熟達でき、目的意識を十分に育ませます。そして、何よりも仕事がしやすい環境を整えるのです。

そして、報酬に対しては、これが出来たら、これだけの報酬を上げる!という交換条件付きの報酬を避けます。そのかわり、予期しない、条件のつかない思いがけない報酬を検討するのです。

1)賞品や金銭よりも、賞賛やフィードバックを多用する。そして、2)相手をコントロールしようとするのではなく、相手に役立つ情報を提供する、です。

つまり、クリエイティブで右脳的な仕事に対してもし、条件付き報酬を与えたら、逆効果を生むのです。その場合、結果に対する思いがけない報酬を提供するのです。賞賛やフィードバック、その仕事に対して有益な情報を与える、これは更に高い効果を発揮するのです。

早嶋聡史



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