日本の小売店でもプライベートブランド(PB)はすっかり定着しましたね。メーカー品と比較して2割~3割やすいPB商品は景気後退でしばらくは市場に浸透しましたが、売れない商品が在庫の山として積み上がり、PBそのものを見直す小売業も出ています。
その理由は、PBの価格構造にあります。1つ目は、PB商品は小売業のもっともよい棚に配置されるため、費用をかけて広告を打つ必要がありません。そのため広告費分価格が安く提供できます。2つ目は、商品の買い取りです。PBは小売が全店商品を買い上げるため、メーカーの在庫処分のためのコストを価格に反映する必要がなく、その分安く提供されます。
小売業のメリットは、PBにより他店との差異化がはかれる、メーカーの商品よりも高い利益を確保できる、などがあります。もちろん、これらのメリットを享受できるためには規模の経済が必要である程度のロットを販売できる力が必要です。
そのためにはPBを安易に導入するのではなく、適切な需要の予測がポイントになります。さもなければ在庫の山を抱えることになるのです。
早嶋聡史