人間の脳って、世の中で偶然起きている事象を見ながら仮説を立てる傾向が強いようです。そのため、長期的な経営戦略のシナリオを立てるときは、その仮説だけではあまりにも乱暴すぎるのでディスカッションやフレームワークを使って思考を発散、収束を繰り返しながらあらゆる戦略オプションを立案していきます。
最近、この偶然起きている事象を必然的に起きている事象として、何故勘違いするのか?という問題に、数学的なアプローチで解説している本を読みました。『たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する』
この中では、数学の歴史から最近の行動経済学での内容までを実に面白可笑しく描写しています。そして、世の中がランダムに動いているような気分を読み終えたときに覚えました。
たとえば、空前の大ヒット映画が誕生する、ひいきのチームが20連敗する、宝くじで連続当選する、などなど、全てが偶然が支配しているのでは?という事を考え始めるのです。確率を考えると、それも納得してしまうのが実に興味深いです。
でも、上記のような事象がおこれば、キット素晴らしい才能があるだろう、すごく幸運に恵まれているのだろう、実力だよね、などと考えるでしょうね。
今、様々な不確かな事が起こり、将来を考えると不安になるかもしれません。しかし、この本を読むとむしろ将来なんて予測できなくて、将来起こった事を起こってから後つけで整理しているにすぎない!など、ランダムネスについての見識が広まって来て、また世の中の見方が変わるかも知れません。
早嶋聡史