早嶋です。
経営戦略論は、マイケル・E・ポーター(M.Porter)のポジショニング・ベースとバーニー(J.B.Barney)の資源ベースに大きく分かれます。
ポーターのポジショニング・ベースは外部環境要因に視点を置き、経営環境を5つの競争要因から分析し、競争優位を実現するために自社を如何にポジショニングするかを考えます。一方、バーニーの資源ベースは競争優位の源泉はリソースやケイパビリティにあると考えられます。
これら2つの異なる視点は決して、相反するものではありません。これらの関係は、『資源と環境はコインの裏表のような関係だ』と言われているように、優れた資源の保有者はポジショニングによって先行者優位を獲得し、他の市場へ展開する戦略によって、長期的に競争優位性を獲得しています。SWOT分析によるフレーム自体が強みを生かして事業機会を探す、弱みを克服して脅威に対抗する、と言ったように裏表の関係になっています。
先日、上記の内容に関して話をしていて、資源ベースに出てくる、ケイパビリティーに関して質問がありました。ケイパビリティとは、企業の能力を示し、人材、商品、販売、製造、物流、研究開発など企業のあらゆる分野において、競合他社と比較した際にその企業が特に優れている能力と言った解釈が一般的です。
ケイパビリティは、価値、希少性、組織特殊性の3つのポイントで考えると分かりやすくなります。価値は、その経営資源がどのくらい有用なのか。希少性は、その経営資源を持つ競合他社がどのくらい存在するのか。そして、組織特殊性は、その経営資源が他社にとってどのくらい模倣困難なものか。と言うものです。
例えば、巨人の長嶋さんは、オリックスのケイパビリティとなり得るか?を考えて見ましょう。野球監督としての長嶋さんの価値は、読売でもオリックスでも、有用と言えるでしょう。また、希少性は、当然、長嶋さんは1人しか存在しないので他の競合チームにとっては希少です。ただし、組織特殊性を考えた時、オリックスの長嶋さんはどうでしょう。長嶋さんと巨人軍の関係は、切っても切れない関係があります。長嶋さんがユニホーム姿で現れ、背番号が見えただけでも観衆はどっと沸きます。同じ事がオリックスに起きえるかというと、難しいでしょう。
つまり、長嶋さんは、読売にとってはケイパビリティとなりえますが、オリックスにとってはケイパビリティとなりえないのです。
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