早嶋です。
経営者のEQは極めて高いはずだ。と誰しも考えると思いますが、今月のハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)によれば、10万人に及ぶ調査結果から、CEOのEQが最も低く、ミドル・マネージャーのEQが最も高かったという報告がありました。
調査対象は、過去5年間、6大陸のCEO1000人を含めた様々な業種のシニア・マネージャー、ミドル・マネージャー、現場のスタッフなど10万人以上です。その対象者に対して、自己認識、社会認識、自己管理、人間関係力を評価し、それを100ポイントの総合判定でEQを算出しています。
HBRの職制ごとのEQ指数は以下の通りです。
CEO 70.5
執行役員 71.0
シニア・マネージャー 72.5
取締役 74.5
ミドル・マネージャー 77.5
主任 77.0
一般社員 74.0
(上記の最高値と最低値のポイント差は7ポイントですが、統計的には有意)
これからいえることは、企業における社員の昇進基準が未だに、リーダシップ能力よりも、勤続年数や知識に置かれているということです。
そもそも、EQとは、Emotional Intelligence Quotientの略称で、心の知能指数です。89年に、イエール大学心理学部教授、ピーター・サロヴェイ博士と、ニューハンプシャー大学心理学部教授ジョン・メイヤー博士によって「Emotinal Intelligence」で発表された比較的に新しい概念です。これによるEQの定義は、以下の通りです。
・環境に適応できるように情動を正しく知覚し、評価し、表現する能力
・情動や情動的知識を理解する能力
・思考しやすくなるように情動にアクセスしたり、情動を生み出す能力
・思考を助けるように情動を調整する能力
※情動(Emotion)とは、喜び、悲しみ、怒り、恐れ、嫌悪、驚きのことをさします。
このEmotionが人間の行動や生活に大きな影響を与えていることは、古代から言われていまが、EQが注目されている点は、Emotionを調整したり利用することも「知恵の一部」だという点です。
つまり、IQは行動に密に関わるEmotionの部分を除いた知能を示すもので、EQは知能を多面的に捉え、より実質的な知能を示したものになります。このため、IQがどれほど高くてもEQが低ければ、自分の情動(Emotion)を上手く管理できず予測した良い結果が期待できなくなるのです。
EQは努力によって高めることが証明されているので、HBRでは、まず自己のEQを知り、EQの必要性を認識しようと経営者に問いかけています。
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