「最新の流行を素早く取り入れて価格も安く抑えたい!」このようなニーズに応えた低価格帯のブランドリテーラーが多く出現しています。いわゆるファストファッション。ファーストフードになぞらえてファッション業界ではこのような呼び名が定着しています。
もともとは欧米のファッション業界関係者で使われていた言葉ですが、最近は紙面でも良く見かけます。スウェーデンのH&M、米国のフォーエバー21、スペインのインディティクス等が代表格です。日本ではしまむらやポイント、それからユニクロが相当します。
ファストファッションの特徴は、商品投入のペースがずば抜けて早い事でしょう。それから店頭のディスプレイも目まぐるしく変わり、1週間でガラッと商品構成が変わるほどの回転の早さです。来店する顧客に常にワクワクしてもらう工夫です。
これまでの最先端ファッションは、値段が高くて、一部の人しか買えない商品でした。そして、シーズンが過ぎると価格が低下して大衆が手に入れるという縮図が当たり前でした。ファストファッションは、この常識を打破して、大衆に向けて安価に同様の最先端のファッションを提供しています。こうすることによってマスに対してのアプローチを可能にしているのです。欧州コレクションのトレンドファッションシーズンに遅れる事なく、リアルタイムに、そして多品種少量生産をして低価格で売りす。このファストファッションを可能にしているのは、企業のサプライチェーンマネジメントの高効率化でしょう。
ファストファッションは、ストリートファッションでも高級ブランドの大衆化でも無いところが興味深いですね。中流層が減少して、二極化が進みました。結果、ファッション業界にも二極化が進んでいるのです。
早嶋 聡史