早嶋です。
Web制作会社の進むべき方向性は、ポーターが示す3つの競争戦略にしっかりと当てはまります。すなわち、1)コスト・リーダーシップ戦略、2)差別化戦略、もしくは1)2)をニッチな市場に絞った3)集中戦略です。
企業におけるWebサイトの存在は最早、名刺や看板と同程度の存在です。しかし、その実態は全く新しい概念で最もmROIの高いマーケティング・ツール(ホンダのネット戦略を参照)でもあります。この概念を理解しているWeb制作会社は差別化の軸において優位性を示すため、価格勝負に陥る可能性は未だ低いです。一方で、ビジュアルの追求のみを行い、実質的なWebの活用を進めない企業は価格競争に陥っています。
これはWebが一通り世の中に浸透してきた事を意味しています。つまり、ある側面においてWeb制作を生業にしている企業も成長後期に入り、価格競争の時代に突入して、大きな再編を迎えるのです。つまり、淘汰が始まり生き残る企業は差別性を強調する企業家、コストメリットを打ち出す企業に2極化するのです。
加えて、コストメリットを全面的に打ち出している企業も大きく2種類に分かれます。クライアントの言いなりになりとにかく安くWebを仕上げる企業。しっかりとしたコンセプトを持っているが価格を安く提供しても利益を得れる体質を構築している企業です。そして言うまでもなく、前者の寿命は限りなく短命になるでしょう。
現在、企業のWebに対する認識は決して高いとは言えません。業界の言葉でいうところのリテラシーの低さです。Webはとにかく名刺や看板のような存在という言葉を鵜呑みにしている経営者はとにかく安く仕上げることに重きを置きます。そして、このような企業に対して真面目に相手をしていても利益を得ることは難しいです。
Webを持つことは看板を出すような感覚は確かにあっています。しかし、Webを持つことが目的であってはならないと思います。Webはツールです。従って目的に応じてWebの仕上がりや程度が異なります。ただ出せばよいというのは余りにもお粗末なのです。
ブログを読んで頂いている方々は、何かあったら必ずググると思います。この時点で検索サイトにかからなければ交渉のテーブルに着くこともできないのです。これは恐怖ですよね。Web制作において差別化を図っている企業は確実に小手先のSEOだけでWebの可能性を実現している訳ではありません。しかし実態は、こて先で終わっているWeb企業があまりにも多く点在しています。
戦略と戦術は異なります。SEOで順位を上げることは重要ですが全てではありません、戦術です。しかし、リテラシーの低い経営者は戦術の重要性を説得され、悪く言えば、IT用語をまくし立てられてカモにされる確率が高いのです。
しかし盲点があります。残念なことに多くのWeb制作企業はこてこてのエンジニアかデザイナーがほとんどです。そのようなバックグランドを集めて起業して数名で運営している場合が多いです。それなのに、自分たちを百戦錬磨のビジネス戦士のように見せ、ビジネスの重要性を説いています。
Webは間違いなく今後、経営において重要な位置を占めます。しかし、経営者の認識が低い、提供する側のビジネスに対するバックグランドも乏しいと来ています。Webを使って売れるしくみを作りますよ!とはいうけれども、実態経済でのビジネス経験が無いのが実情です。
従って、一方では経営者のWebに対するリテラシーが低いと言いながらも、経営者はWeb企業をビジネスマインドが低いと揶揄するのです。この悪循環が結構な間続いています。そして、そこに気づいた企業がWebを目的から手段に切り替えた動きを見せるようになるでしょう。
考えられる方向は、経営コンサル系の企業がWeb制作企業をM&Aして、ツールの1つとしてWebを提案する。Web制作で伸びている企業が経営を分かる人材を確保して経営のツールとしてアプローチする、です。どちらにしてもWeb制作はエンジニアとデザイナーの集まりだけではどうにもならないというのが結論です。