クリエイティブ資本論②

2009年3月11日 水曜日

早嶋です。

昨日に引き続き、クリエイティブ資本論です。

本論では、経済が成長を続けるには3つのTの必要性を説いています。技術:technology、才能:talent、そして寛容性:toleranceです。リチャード・フロリダ氏はこれらの3つのTを測定する指数を設定し、その指数を戦略的な施策に取り組むための道具として用いています。地域を3つのTにおける各指標の点数を見て、弱い分野に注意を払いながら施策を強化していくという考え方です。

creative class技術はイノベーションやハイテク産業の集中度によって測定します。才能は、実際にクリエイティブな仕事に就いている人口の比率を測定することで指数化しています。そして、3つ目の寛容性。寛容性が高い場所は、多様な人々を引き寄せ新しい考えを生み出す強さを持ちます。

寛容性の指数化は非常に興味深いです。クリエイティブ資本論では、ある特定の場所がより多くのクリエイティブな人を惹きつけると結論付けています。そして、これらを測定する寛容性指数がゲイ指数、ボヘミアン指数、メルティングポット指数、人種統合指数です。

ゲイ指数。ゲイは極めて差別の対象になり易いグループで、ゲイの社会的地位を向上させる試みには決まって強い抵抗があります。このことから社会の最後のフロンティアと考え、ゲイを歓迎するコミュニティーは他のどんな場所よりも多様な人間を受けいれると説明します。

論文の中でゲイ指数とハイテク指数の相関が極めて高いことを証明しています。これは、ハイテク産業はゲイが多いということではありません。ゲイ指数は単純に開放的で寛容な場所である事を示す代替指標です。寛容性の高い場所は、ハイテク産業が集積しやすいという特徴を示しているのです。

ボヘミアン指数。作家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、映画監督、画家、彫刻家、写真家、ダンサーなど芸術を生業とする人口の比率です。この指数は地域の文化レベルを測定する代替指標です。

論文ではボヘミアン指数を参照することで地域のハイテク産業の集中度や人口増加や雇用増加などの全てを予測できることを示しています。芸術や文化が盛んな環境はクリエイティブな経済成果や結果としての経済成長を生むのです。

メルティングポット指数、これは外国出身住民の集中度です。最後の人種統合指数は、その地域全体において人種が地理的に分れて居住せずに、どれだけ一体化して暮らしているか?を示す指標です。

ゲイ、ボヘミアン、移民の存在を居心地良いものと感じ、各人種が個別の小集団とならずに混ざり合って共存すう可能性のある場所。クリエイティブクラスが集まり易い寛容な文化を持っている可能性が場所なのです。

クリエイティブ資本論。地域を活性化すべきミッションを担う人には必読だと感じました。



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