官製不況

2009年1月27日 火曜日

早嶋です。

明日からのセミナーのため夕方から新横浜に来ています。

recessionタイトルの官製不況は、15年くらい前に書かれた「新 大前研一レポート」で出てきた言葉です。大前さんは、近年の不況を再び官製不況といっています。

—–引用開始(「知の衰退」からいかに脱出するか?
・・・こうして日本株は下落を繰り返し、やがてアメリカの景気後退とともに不況感を強めていった。2008年3月、ついに経済産業省は、月例経済報告で「景気回復はこのところ足踏み状態にある」と発表し、景気回復の小休止を表す「踊り場的状況」に入ったとの認識を示した。これは、この先は景気後退、不況になるといったも同然だった。・・・・
—–引用終了

大前さんが官製不況とお話している理由です。まず、日本が外資を歓迎していない点があります。ブルドックソースのスティール・パートナーズやJパワーの株を買い進めた英国のファンド、TCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド)、羽田空港のターミナルビルを運営する日本ビルディングの株を取得した豪州の金融機関マッコリーグループなどに対して一様に歓迎される様子はありません。

政府の見解は、投資目的ではなく乗っ取りだとしています。そのため、株主提案などもすべて拒否するというポジションを取ってきたのです。その一方で、経済産業省は次のように言っています。「世界中から対日投資を促進してもらう!」と。福田首相もダボス会議で堂々と言っていました。「対日投資、貿易手続き、金融資本市場の改革などの市場開放努力を進め、日本を世界とともに成長する国に!」と。

そう、方針と言っている事とやっている事に整合性がとれていないのです。となれば、海外の投資家にとって日本政府は極めて不誠実に見えても仕方のないこと。世界中が国際化する中、日本は再び鎖国を行った時代に逆戻りしていると批評されても仕方がないのです。

もう一つの原因は規制強化。景気が悪くなるタイミングで政府が進めたものは消費者保護や投資家保護、労働者保護などです。すべてが悪いと言っているのではなく、考え方が安直なのです。

たとえば消費者保護。官庁の目的はあくまで消費者のため!としていますが、食品安全の規制は結局、企業の高コスト化を招き苦しむのは消費者です。一連の耐震偽造事件による対策である建築安全の規制も建築業界にとっては需要減退の原因であり、さまざまな許可を取るために認可の遅れが生じ結果これもまた消費者に跳ね返ってきています。また、賃金業の上限金利も中小企業の倒産の引き金を引きました。

政府は結局、これらの点を認め「行政上の予見が足りなくて、産業界に大変迷惑をかけた」と頭を下げたのは記憶に新しいですが、少し考えると予見できることですよね。

まぁ、実際は国に対して何も声を上げない国民にも問題はあると思いますが。



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