早嶋です。
本日は富士フィルムさんで戦略立案の基礎研修でした。参加者の皆様、お疲れ様でした。本日の復習に戦略の復習を参照ください。
石膏ボード。壁や天井など様々な用途で用いられている建築資材。この石膏ボードの廃棄処理に関して深刻な問題が提示されています。たとえば、硫化水素の発生。
実際、石膏ボードを廃棄した処分場や不法投棄された土壌から硫化水素の発生が確認されています。ただし、原因が明確ではないため、現在のところ石膏ボードに関しての廃棄については、管理型の施設での処理が義務つけられていますが、実際の廃棄はグレーです。硫化水素の発生に関するメカニズムは、次のように言われます。
石膏単独では科学反応や生物反応などで硫化水素が発生することはない。しかし、石膏ボードに付着する紙などの有機物が発酵してメタンガスが発生する環境下では、硫酸還元細菌により、硫化水素が発生する可能性がある、と。そのため、管理型処分上で廃石膏ボードを処理する場合も、石膏ボードに付着する紙を分離して廃棄することが求められます。
では、何が問題か?まずは、今後排出される廃石膏ボードの量です。高度成長によって、1970年代から急速に石膏ボードを利用した住宅の建設が進められます。そして、その住宅の寿命は30年程度。ということは、今後、住宅の建て替えがあるたびに多量の廃石膏ボードが排出されるのです。実際、2010年を堺に、廃石膏ボードの廃棄問題が露呈すると思います。
2つ目の問題。処理場の不足です。石膏ボードの処理が安定型最終処分場から管理型最終処分場に指定が変わった瞬間、処理能力が激減しました。施設の数が少ないのと、受け入れる施設がほとんどないからです。実際、管理型かつ廃石膏ボードを受け入れ処分している処理施設は90箇所程度しかありません。しかも、埋めてて施設のキャパシティー、埋め立て容量はほとんどの施設が間もなく満杯。
だったら、新しく施設を造ればいいじゃないか?と思いの方もいるでしょう。しかし、皆さんの住宅地に管理型の埋め立て処分場を新たに作るとしたら賛成しますか?ということで、新設の処理場はどこも自治体の計画はあるものの、地元住民の反対によって計画倒れになっているのが実情です。
もうひとつ。現在、住宅を解体したり、建築現場の廃材等を回収して処理する役割は、産廃物を回収する業者にゆだねられます。廃石膏ボードの埋め立てが管理型になったことで、埋め立ての費用も安定型に比べ倍以上になりました。このため、業者によっては不正をしているところも出ているとの報告もあります。しかし、国がこの実態を調査しているか?と言えばNoです。
さて、この状況をいち早く予測して、石膏ボードのリサイクル事業に取り組んでいる企業が長崎にあります。最近は、テレビでも取材が多くメディアに露出する機会があるのでご存知の方がいるかも知れません。真人(まさと)という企業です。
20年くらい建築・土木の分野で仕事を行っていた真人は、建築や土木の仕事が少なくなる時期に産業廃棄物の収集の仕事を行って収入を得ていました。その中で石膏ボードの処理が行いにくくなり、ある時、石膏ボードのリサイクルを始めます。その当時から、今後起こるであろう石膏ボードの問題の仮設を立てていたからです。
現在、真人は数種類の画期的なリサイクル手法を開発しています。石膏が水を吸着する性質を用いて、土木現場の土壌を固める粉を商品化したり、石膏を使った建材を商品化したりです。
上記の内容は、本日のクローズアップ現代で特集されていました。ちなみに、ビズ・ナビでは、廃石膏ボードのリサイクルに関して、長崎県中央会の依頼で真人と協力して市場調査等を行いました。今日のNHKで使用された市場データのほとんどは、地元のコンサルティング会社調べとなっていましたが、早嶋が調査したデータでした。