早嶋です。
ブログ「市場浸透4つの方法」でコメントした「ユニチャーム」についてです。
報道によれば、ユニチャームは09年3月期に2期連続最高益を見込みます。そしてその成長を牽引するのは海外での売上高の進捗。世間では急激な円高で為替差損による目減りがあるにもかかわらず、今期は前年比9%の伸び。そして海外売上高比率は37%と去年より2%増え、11年3月期の海外売上高比率50%に向けて堅調な成長を続けています。
ユニチャームの海外本格進出は90年代。少子高齢化のトレンドより国内での生理用品ビジネスに陰りを見出した同社は海外展開を決定。当時、既にP&Gが海外市場でも優位でしたが、セグメンテーションの末、高所得者向けにターゲットをフォーカスしました。このポジショニングが功を奏し、ユニチャームのブランドイメージを確立しました。
しかし近年、ユニチャームは進行経済市場にたいして高価格のセグメントでは対応できないとの判断を行います。そこで、低価層を狙うため、別のセグメントを低価格の戦略商品で攻略します。
上記が前回のブログで紹介した、1つ目の成長方法。海外展開。そして、2つ目と3つ目は年齢のシフトと新規分野の挑戦。といっても、大人用紙おむつとペット用品。
大人用の紙おむつは毎年10%近い増収を続け、前々期に生理用品の売上を抜いているほどです。ペット用品を商品展開しているユニチャームペットケアも今期は8%増収、純利益は10%アップです。
ユニチャームは具体的な商品を規定することなく、世の中の変化の中から、困っていることを見出し、その困っている内容を自社の強みで解決する発想で事業展開を行っています。生理用品で培った吸収体技術の海外シフト、年齢シフト、異分野シフトは良い事例でしょう。最近の事例としては、やはり生理用品で培った技術である不織布の技術を応用して風の予防専用のマスクを商品化しています。
長期的な戦略を考えるとき、見直すのは市場の動向や将来の市場がどう変化していくか?そして、そこに困った人、どんな困ったことが存在するのか?初めから技術ありき、商品ありきで戦略展開している企業はまだまだ数多く存在します。しかし、多くの企業は国内市場に参入してきた今まで聞いたことも無い企業によって駆逐されています。
企業を永続的に成長させるための戦略として、ユニチャームの取り組みは非常に参考になるのではないでしょうか?