早嶋です。
昨日の続きです。大前さんの新誌本論では、今の世の中(見えない大陸)は、従来の経済学で論じられている内容だけでは説明が出来ないと解いています。見えない大陸を見るための軸が4つの経済空間です。それは、『実態経済の空間』『ボーダレス経済の空間』『サイバー経済の空間』『マルチプル経済の空間』です。
『実体経済』とは、これまで活動してきた空間を指します。つまり、ケインズ経済学が機能していたころの世界です。この経済空間は、今後も継続し、他の3つの経済空間と相互に関係します。サイバー経済の空間とは、クリック&モルタルの事例で分かるようにモルタルの部分として、その重要性は一層高まっていくものです。
『ボーダレス経済』。現在、国と国の経済的な境を考えても、その意味は希薄していく一方です。通信、人・モノ・カネの移動、さらに消費までもが国境を越えています。世の中の消費者は瞬間的に同じ情報を共有することが可能となりつつあります。経済を考えていくと、国境というくくりで物を考えていても、全く無意味になっているのです。企業経営者にとって、国内経済の中で事業をしている時には全く必要の無かった”世界瞬時性”をこの先、意識していかなければ、瞬時にビジネスチャンスを、世界のどこかのプレーヤーに取られてしまうのです。
『サイバー経済』。これは、従来の実態経済では考えられなかったインターネットの登場で出現した経済空間です。書籍を購入する場合は、アマゾンドットコムを利用します。家電を買いに行く時なども、価格.comなどのサイトで価格を調べてから実態経済で購入を行います。好きな記事や、アーティストを登録しておけば、知らぬ間に、これらを再現するツール(iPodやPCなど)にダウンロードされています。
『マルチプル経済』、マルチプルとは乗数、つまり数式上の仮説だけで成り立つ空間を指します。例えば、世間を騒がせたライブドアも、当時は、何かすごいことをやってくれるであろうと言う、期待感によって株価が上昇していました。ソフトバンクもボーダーフォンを買収する方法にLBOを用いています。相手の企業の可能性を担保に資金を調達しています。
これらの4つの経済空間を理解していないと『見えない大陸』は絶対に見ることが出来ません。さらに、見えない大陸は、見える人と見えない人がいて、その違いはその人が持つ構想力に在ると述べられています。ここで言う構想力とは4つの経済空間をつないだ事業のイメージであり、そのイメージを頭の中で描けるかどうか、といった内容です。
企業と個人がサイバー空間に移行して、グローバルな投資家から高いマルチプルを獲得できるように規制を緩和して、グローバル経済の中に自らを解放することが求められていきます。旧世界(従来の実態空間だけの経済観)のしがらみから自らを開放することが『見えない大陸』を進む大きなステップになります。
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実験の詳細は、06年3月10日の『ブログマーケティング実験』をご覧ください。
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