新年のご挨拶
2011.01.06 / ニュース
2011.01.06 / ニュース
あけまして おめでとうございます。
本年も どうぞよろしくお引き立てのほど お願い申し上げます。
今年は例年にないほどの、寒い新年の幕開けでした。
福岡でも雪の降る日もあり、元旦の太宰府天満宮も初詣で客が
異常に少なかったようです。
元旦と言えば青空に凧が舞う、寅さんのエンディングのこんな場面も
もう昔話になってしまったのでしょうか。
日本だけでなく、世界各地で大雪に見舞われています。
しかしもう誰も「異常気象」とは言いません、これが常態であることを
受け止め、それを前提に備えることが重要です。
昨年末にヨーロッパに旅した私も、激しい寒波に遭遇しました。
ゲートウェイにしていたアムステルダム空港が雪で一時閉鎖され、
デュッセルドルフに着陸、機内で数時間待機した後にアムステルダム
に引き返しました。
結局、午後4時にはホテルに入るはずが、夜中の11時になり、
とうとう荷物も出てこずじまい。それから9日間の旅行期間中、
ずっと荷物はなく、手軽な旅行でした。
2日後のボンへの列車も、更に2日後のルクセンブルクへの列車も
所要時間は予定の2倍、最後のアムステルダムへの列車だけが、
1時間遅れで到着するという有様でした。
私にすれば、特に予定がある旅でもなく、窓外の景色に目をやり、
単調な景色に飽きれば持参した本を読むという、ゆっくりと流れる
時間を過ごすことができました。
今日は旅の感想にしばらくお付き合いくださいませんか。
今回の旅を通して感じたことは、日本の、そして日本人の存在感が
低下したことです。
1. 期間中、毎晩のようにCNN、BBCのニュースを見ていました。
その中で中国や韓国は頻繁に話題に上るのですが、日本のこと
が取り上げられたのは一度だけでした。
2. 往復の機内と到着空港以外では、日本人の姿を殆ど目にする
ことはありません。かつての「どこに行っても日本人だらけ」という
現象も「今は昔」です。
3. 往復の機内で映画を6本みました。英語やその他の言語で見る
のですが、日本語字幕が設定されているものは殆どありません。
日本語吹き替えは1本だけでした。
4. 世界有数の観光地、アムステルダムの運河を行くキャナルボー
ト。乗客が希望する各国語の説明が流れるのですが、その中にも
日本語のオプションはありませんでした。
5. デパートの家電売り場、特に液晶テレビのコーナー。売り場の
大半を占めるのはサムスン、LG、そしてフィリップス。
日本ではソニーとパナソニックが少数だけ。
しかも価格はパナソニックが最も安く、次がソニーとLG、
次にサムソンでフィリップスが最高値。
そんなこんなで、30年来の海外とのかかわりの中では、最も寂しい
思いを抱きました。
これから訪れる方々のために、ガイドブックとはまた異なった視点で
情報を提供します。
<アムステルダム>
・ 運河をめぐるキャナルボートでの移動がお勧めです。
全長100km以上に及ぶ運河には、4つの路線ボートと、幾つかの
観光用ボートがあります。
移動用には路線ボート、町の概要を知るには観光用ボートと
使い分けると便利です。
・ ボート内の案内に耳を凝らせば、街の生い立ち、歴史、名所・旧跡
や秘話などを詳しく聞くことができます。
ボートの窓から眺めながら、目にするものの説明を受けるというの
は、他では得られない旅の楽しさです。
・ ボートの窓から見ると、通りを歩いたのでは気付かない景色を目に
します。水の都と言われるベニスにかかる橋は約400、
それに対してここでは約1,200。船からでなくては見られない景色
も沢山あるのです。
・ 特にお勧めは、ボートから眺める家々の窓とハウスボートです。
どちらもボートに乗る人々の目を十分に意識して絵画や家具を
配置し、それを最もよく見せるように、さりげない角度にカーテンを
開けているのです。
<ルクセンブルク>
・ 夜間人口は約100万人、それに対して昼間人口は約500万人に
増えるという人口構造が興味を引きました。
隣接するフランスや、ドイツ、ベルギーなどから列車や車で通って
くるのだそうです。理由は生活コスト、市内の家賃は2寝室で
2,000~2,500ユーロ。
・ 旅行者への魅力は、何と言っても12世紀からそのままに残る
中世の街並みです。V字谷に三方を囲まれた大地の上にできた
街は、特に街の周辺の崖によって生まれた坂道と、街と外部を
つなぐ入り組んだ路地が特に魅力的です。
・ 通勤するものにとっての魅力は、
小さな(南北60キロ、東西45キロ)国土に似つかわしくない、
120を数える銀行(商業銀行や投資銀行)です。
中には、イギリスから毎日飛行機で通勤する人もいるほどと
聞きました。
・ その多くは小さな事務所に行員一人だけの銀行、タックスヘブンの
恩恵を利用するために作ったものなのです。
そのために、小国ながら数多くの国々が大使館を置いています。
私が目にしただけでも、ロシア、中国、アイルランド、日本など
でした。
・ 面白いのは大学を持たない事です。小国であること、国内での
経済活動には限りがあることから、高校までに英語、フランス語、
ドイツ語を身につけて、国の奨学金で留学するというのです。
その方がコスト効率が良いでしょう(現在大学設立中)。
・ 道路は狭く車には不便ですが、街の中心部には、地下に10,000台
を超える駐車場が、景観を壊さないように完備されています。
そして路線バスは充実しており、優先権も高く、値段も国内どこで
も1回乗車1.5ユーロ、何度も乗りましたが便利です。
<ボン>
・ 1989年の東西ドイツ統一まで、西ドイツの首都として、世界中から
100ケ国を超える国々が大使館を置いていた。そのために、
ケルンやフランクフルトに挟まれた小都市ながら、文化の香りが
高く、大きな劇場や大学など施設も充実しています。
・ 東西ドイツ統合後に、各国の大使館はこの地を去り、ミュンヘンに
移転しました。そこで統一ドイツ政府は巨額のお金を積んで
国連機関(UNFCCC)を誘致し、今では人口に占める職員の
比率も1%を超えているともききました。
・ そのような背景から、質の良い住宅も豊富で家賃も高くありません
(70平方メートルで80,000円くらい)。
鉄道や地下鉄(Uバーン、Sバーン)、
タクシー、路線バス網も充実していて便利なうえに、女性が夜中で
も一人で歩けるほど安全な街です。
・ 国連の施設の近くにドイツ語で”Baseball Ground(野球場)”という
標識があるのを目にしました。ヨーロッパの国にしては珍しい
ですね、それもそのはず、この場所は以前には米軍の駐屯地と
して使用されていたということです。
いかがでしたでしょうか、短い期間でしたが、感じるものはたくさん
ありました。
正月の間にも、テレビでグローバル化を取り上げた番組を幾つも目に
しました。冒頭に書いた気候の変動と同じく、これももう常態と捉える
ことが必要です。
そのうえで、それにどう備えるかです。国が、組織が、自身が、
それぞれのレベルでそれを考える必要があります。
次の機会には東ヨーロッパの国々(チェコ、ハンガリーなど)にも
足を伸ばしてみようと思っています。
“観光”とは”光を観る”ことです、ぜひ皆さんも機会を捉えては、
どこかにお出かけになっては如何でしょうか。
それまでに見えなかったものが見えるかもしれません。
株式会社 ビズ・ナビ&カンパニー
代表取締役 長田周三