戦略の基本は、見出したビジネスチャンスに対して自社の最大の強みを投下することです。最も効果があるところに、最大の武器を投下するイメージです。良い戦略は、狙いを定めて一貫性のある行動を取り続けます。組織もそれに従います。営業機能やマーケティング機能、製造や調達、財務会計など、あらゆる組織の機能を戦略に紐づけて一貫性を保ちます。既にある強みを活用して、そして新たに強みを増幅していきます。複数のことを多面的に散漫的に行いません。しないことを明らかにして、ひとつに集中します。行うことが多ければ、それだけ資源が分散して、互いの行動につじつまが合わなくなり効果が薄れるからです。
大企業と違って中小企業のリソースは限られています。しかし、そのリソースを最大限活用できる市場に集中投下し続けることで、中堅企業、場合によってはその領域に限っては大企業にも勝ることができます。そのための方針を明確にすることが大切です。戦略とは何をするかを決めること。逆を言えば何をしないかを明確に定義することです。あれやこれやではなく、あれはする。これはしない。その方針を明確にすることで、全ての事業活動に一貫性を出すことができるようになります。
数多くの中小企業の戦略を分析していくと、どうも辻褄が合わない。痛いところを見ないで判断を下している。自社の経営資源を過大に評価していると感じることがあります。分析や理屈を考えないで戦略をこしらえている感がたっぷりなのです。背景には、面倒な作業や分析、調査や下調べをせずに、戦略を立てている、安易な思い付きの発想から立案していることが考えられます。
戦略を立てる時に地道なハードワークを避けると、決まって上記のような結果になるでしょう。格好ばかりで何かのテンプレートにはめておしまい。しかし、本当にそれが戦略といえるのか。現状に真摯に直面し、何が問題かを徹底的にあぶり出す。そして最も重要な作業は、その沢山ある問題から解決の糸口となる課題を発見する。もちろん、この過程で様々な意思決定が生じます。何かを決めるという作業は、必然的に選択する責任が生じます。ここに逃げがあってはいけません。
責任回避をするために、皆の意見を取り入れる。これも最低です。すべてのことを行おうとすると全てがツマラナイものになります。誰もが喜ぶことは、誰も喜ばない。全てに資源を費やせば、全ての資源が無駄になります。戦略に王道はないのでしょう。徹底的に分析を行い、現状を把握する。その上で自分たちの資源を何にフォーカスするのかを明らかにする。しないことを決める。そして、そこに集中砲火するのです。
企業には2つのパターンがあります。何となくビジネス活動を行っている企業と、明確な方針があってその方向性に向けて動いている企業です。前者は戦略がなく後者は戦略が存在します。
戦略が無い前者は、何となく活動することになりますので、売上規模でせいぜい3億円程度が限界です。一人の経営者の力技で何とかやりくりできる範囲がこの程度までだからです。経営者の頭の中がごちゃごちゃしていて迷いがあるため、明確に社員に方向性を示すことができません。従って組織の中では有効な資源を発掘できず無駄に見当違いの場所で浪費しているかもしれません。常に場当たり的で、すこし時間が経てばまた別の方向に目が移り、社員も困り果てているかもしれません。継続的に売り上げが安定することも少なく、常に綱渡りの状態で不安定です。この状態であれば、先ずは弊社のスポット対応のサービスである『課題整理コンサルティング』を選択ください。
戦略がある後者であっても、その戦略の検証を内部組織や外部組織を含めて実施している中小企業は多くありません。戦略は企業の一定期間の行動を左右する重要な方向性の決定ですから、その決定の如何によっては今後の運命が180度変わります。戦略立案支援コンサルでは、先ずは現在ある戦略のレビューを行い、その戦略が現在問題を扱っているのか、将来問題を扱っているのかに切り分けていきます。
現在問題とは、現状を良くない状況と捉えた場合に、一定期間をかけて良いとされる状態にするためにどのように課題を解決していくかという問題です。多くの企業はこの位置での戦略を立てていると思います。
この場合、下記の3つを確認します。
(1)、(2)、(3)が明確であれば、後はそのギャップを埋めていく活動にフォーカスすればよいのでマネジメント力があれば、問題が解決されます。定期的なマネジメントの補佐を必要とされる方であれば、弊社の定期的なサービスである『経営コーチング』を受けて頂き解決するまで支援を続けさせていただきます。
将来問題とは、現状を良い状態と捉えた場合に、一定期間をかけて更に良いとされる状態にするためにどのような課題を解決していくかという問題です。
この企業は、当面経営面で不安定な状態にはありません。しかし経営者としてはその状態を次のステップに進めたくてモヤモヤしています。いろいろとオプションがあって選択に迷っている。何となく考えているけれども、それを言語化できずにいる。あるいは、実際は明確に持っているのだが、何かのハードルがあって手を付けられない状態である。
この場合、(1)良いとされる状態を徹底的に議論し、現状やこれまでの成果、自社の資源や競合との関係、市場や顧客との自社の関係、市場を取り巻く大きな変化などを総合的に分析して方向性を明確にしていきます。
戦略立案支援は、完全にカスタマイズでご提供差し上げるコンサルティングサービスです。経営者様とのご相談の上、弊社のコンサルの関わり方や取組内容を決定します。それに対して期間と報酬を提案します。
戦略策定の要は、直面する状況から死活的に重要な要素を抜きだすこと。企業であれば、そこに全経営資源を費やして行動を集中させることです。良い戦略は目標やビジョン以上のことを実現することを促します。良い戦略は直面する難局から目をそらしません。それを乗り越えるためのアプローチを提示します。状況が困難であっても、行動の調和と集中を図ります。良い戦略は問題解決や競争優位へと導きます。
戦略とは、野心を抱いたときに、或いは何か新しい局面を迎えた時に、リーダーシップや意思決定をいつどこでどのように発揮するのか、その道筋を定めることです。良い戦略には取るべき行動の指針が既に含まれています。細かい実行手順は示されませんが、やるべきことが明確になっています。今何をすべきか。はっきりと実現可能な形式で示されていない戦略は、欠陥品です。戦略とは組織が前進するためにはどうすべきかを示しています。
良い戦略には3つの核となる要素があります。すなわち、分析、方向性、行動です。状況を分析して問題点を明らかにし、それをどう対処するのかの方向性を示します。これが道標となります。この方向性の基で意思統一を図り、経営資源を集中投下して、一貫した行動を取り続けます。
悪い戦略には、困難な状況の分析が意図的に避けられています。都合の悪いことは知りたくないという意識が働くのです。また、戦略策定と目標設定を取り違えています。こうすると問題解決に方向が向かないため、悪い戦略になりがちです。また、四方八方に配慮するあまり、困難な選択肢がはじめから排除されることもあります。あらゆることを勘定していれば、リソースの集中投下はできません。