新規事業の旅105 経済的なインセンティブの大切さ
2024年4月23日
早嶋です。
この10年。スタートアップやベンチャー企業は、国内でも一定の認知を得られる仕事になった。学生や脱サラした人が、自らの志と事業アイデアを試すべく起業し、そこにジョインする人材も後を絶たない。一方、国外でのスタートアップの成長や時価総額を見ると、量と質の両方から日本のベンチャーの勢いはが少ない。質と量のさにインセンティブはないだろうか。スタートアップは自社の企業価値の向上とともに、その組織で初期に活躍する人材の経済的なリターンを提供する取り組みだ。
20年、30年前には存在しない企業で、現在では時価総額が高い企業の多くは、企業価値をベースに巨額の資金調達を実施している。そして、他のスタートアップを内部に取り入れ、従業員にもストックオプションを付与し、企業の成長果実を利害関係者にバックする仕組みを構築し勢いを加速している。
一方、20年、30年前は時価総額ランキングで上位にあった企業の多くは、ストックオプションの制度が無い。またM&Aは近年こそ活発になりつつあるが戦略的に仕掛けている企業も少ない。資金調達の手法は、金融機関から融資を受ける取り組みもあれば、株式で資金調達する手法もある。しかし株式を活用したエクイティファイナンスの醍醐味は、資金調達目的に加えて、起業家、経営陣、従業員、投資家、買収候補先、取引先を強烈にモチベートさせる経済的なインセンティブの側面も忘れてはいけない。
このインセンティブを取り入れた企業とそうでは無い企業の比較は、三輪車で漕いでいるそばを911で爆速するくらいの違いを発揮すると思う。実際、米国ではVCの投資額はもちろんのこと、未上場企業を買収する目的で設立されたペーパーカンパニーを上場させ、そのSPACを活用したM&Aも盛んだ。ここにも強烈なインセンティブがバックに潜んでいるのだ。そして、日を追う事に新しいファイナンス手法も生み出され、進化が止まらない。
これは何らかのマネーゲームに見えるかもしれないが、成長したスタートアップは、上場した元スタートアップやM&Aでイグジットしたスタートアップの役員が手に入れた資金で、新たにスタートアップを起こし(シリアルアントレプレナー)、あるいはエンジェル投資家やアントレプレナーのメンターになりベンチャーにおけるイノベーションを加速するエコシステムの源泉になっている。
この急速なスタートアップの成長、M&Aによる出口における資金回収は、投資家の期待利回りを向上させることにもつながり、VCなどのファンドにさらに資金を集める仕組みにもつながる。そして投資額も巨大化しているのだ。本来スタートアップの成長はすべて将来の話。何の確実性も存在しない期待のみの世界だ。スタートアップの時価総額も将来の期待キャッシュフローを現在価値に割り引いた金額に過ぎず、あるいみ虚構で、極めて自由な市場で、個々人の欲望と期待が交錯する世界だ。
国内では、このような不確実な世界に政府が介入し、税制を優遇し、コントロールしようとしている。しかしナンセンスだ。そもそも不確実な世界を確実にコントロールできると思う発想がのっけから間違っているのだ。そのために、将来のとてつもないインセンティブをベースに事業を爆速させる仕組みがファイナンスの手法にはあるのだ。
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【動画】2030事業(営業)戦略策定WS
2024年4月22日
新規事業の旅104 運とリスク
2024年4月19日
早嶋です。
運とリスク
一定の事業は、あるタイミングで、ある業界に、何らかのきっかけを持って開始することでチャンスを掴む。同じタイミングで、同じ業界に参入する可能性がある組織は多数ある。しかし、取り組むか、取り組まないかの意思決定は組織によって異なる。そして組織の努力によって一定の成果を出すこともあるが、たまたまそのタイミングでその業界に参入したことで達成できた成果として考えることもできる。
成功した組織を、成功した後に観察し、関係者に話を聞き、調査をすると、成すべくして成功したように勘違いしてしまう。しかし、成功した組織の最も素晴らしい取り組みは、早いタイミングで、その業界に入って、その事業をスタートしたことのようにも思える。そして、そのタイミングは、意図的に戦略的に計算された結果ではなく、もっぱら偶然という表現の方がフィットするケースが多いのだ。
事業の成功=運と言いたいわけではない。一方で、運と表現した方が成功要因を説明することが簡単な場合も多々あるのだ。この解釈を持つことができれば、他人の芝を青く捉えず、どこにでもチャンスは転がっているという思想を持てる。
環境分析をする際、マクロの視点とミクロの視点から事業チャンスを分析する。自分たちのリソースを活用して、あるいはゼロベースで取り組め成果を出す領域を選定する。ある組織にはチャンスに見える業界も、別の組織には脅威となる。誰もが同じ物差しがあるわけではない。考え方の基準や判断基軸は千差万別なので、結局、その事業に参入するか否かの判断は戦略的に見えても、他の組織からすると合理性が乏しいのだ。
成功した組織は、その参入後も、継続的に、その業界のペインを解消すべくワークし続けていることだ。チャンスを掴み、信念を持って取り組んだ結果、成功がたまたま舞い込んでいる。事業における再現性は、じつは偶然や運の部分も無視できない。だれも神様ではないので確実に正確に知ることもでいない。個別の事例を研究して法則を見出し再現することは机上の作業でできても、現場では大変なのだ。
ここからの学びは、どのようなことでも、見方によっては良いし、悪いのだ。そう実は良くも悪くもないのだ。この視点を持つことができれば、成功しても、失敗しても、冷静に客観的に分析して判断ができる。成功と失敗には運とリスクが介在しており、運とリスクは紙一重なのだ。
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新規事業の旅103 誰もわからない
2024年4月11日
早嶋です。
投資の仕方や意思決定の仕方は皆異なる。人は基本的に同じではなく違う。世代も、育った環境も、地域も文化も食生活も全て違う。結果、人は他人と異なる知識と経験と素養を持つ。考え方が異なることが当たり前だ。
知識は学習によって補うことができるが、個々人が生きた中の体験は、間接的な学びよりはるかに説得力がある。従い、投資に対しての考え方やスタンスも異なるのだ。
一方で、自分の経験をベースに議論を進めると、その考えが自分の中でマジョリティになる。当然だ。強烈な説得力の中で他を知ることが無いからだ。しかし仮に人口が80億人だとしたら、個人の考えは誤差だ。同じ知的レベルであっても、この母数を考えると投資に関する考え方が大きく異なって然りだ。
整理すると、我々は個々人の体験に基づき、異なる視点をとして物事を判断する。結局、誰も世の中の事業の仕組みを完全に理解できていない。無数に存在する仕組みの中でごく僅かな部分しか経験できないからだ。
一方で、判断をする際の傾向地は少しは分かりつつある。一つはいつ生まれたかだ。個々人が生涯にわたる投資判断は、その人がどんな時代に生まれたか、そしてその時代に経験した取組に左右されるという。
インフレ率が高い時代に育った人は、その後の人生で株式に投資する額が多くなる。今の50から60代前半のバブル世代は、いまのZ世代と比較するとお金に対しての考え方や使い方が明らかに異なる。豊かで快適な生活を求め、Z世代から考えると大盤振る舞いする豪快な投資をしている用に見えるはずだ。
1990年代後半から2012年頃に生まれたZ世代は、世の中(少なくとも国内)の目まぐるしい経済変化を体験していない。はじめからインフラが整い、貧富のさが少ない。そんな中で特段努力しても報われない。そのような思考が投資判断に影響するのだ。
更に、投資判断において面白い側面がある。人は、経験に加えて投資判断を下す際に、その時点で得た情報を自分の世界観に取り込み正当化することだ。FBから日々流れるエセ情報でも、確実な筋から得られた情報でも、当人には関係ない。独自の世界観で判断を下し、自分の中のストーリーに埋め込んで自分自身を納得させるのだ。
少し話を飛躍させよう。結果、我々は経済的な判断が苦手だと考えても良い。その理由を別の視点でみると歴史が浅いことに気がつく。お金は昔からあったが、世界で初めての通貨制度は紀元前600年頃。現在トルコのリュディア、アリュアッテス王がつくったとされる。しかし、投資という概念はこの時間軸でみるとごく最近だ。
老後をゆとりを持って生活するという概念は2世代前頃からで、第二次世界大戦迄は、基本的に多くの人が死ぬまで働いていた。老後の人生を豊かにはじめる投資判断も、学資ローンを受けてその後の人生を考える判断も、投資家から資金調達をしてベンチャー企業を行う判断も、極めて歴史が浅いのだ。
歴史が蓄積されたものではないので、個々人の中で合理化されるストーリーが正しく思うのだ。投資というお金のゲームは新しく、皆がおかしなことをしている。20年から50年程度の経験しかない金融システムに対して、独自の経験に基づき、その時々の意味に自分の判断基軸を交えて合理化しているだけなのだ。
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新規事業の旅102 ドーミーイン
2024年4月9日
早嶋です。
出張先でドーミーインを探すことが多々ある。仕事仲間がいつもドーミーインを予約していた。なんでまた、そんなホテルを推すのか、モノは試しに宿泊したのが始まりだった。なるほど、はまる。
基本、出張先のホテルは2つに分けている。しばらく滞在して、ホテルのロビーでの打ち合わせが必要な場合と、ただ泊る場として使う場合。前者は、ホテルはランクが上がり、後者は、快適、清潔、便立地であれば狭くてもどうでもよいと思っている。
時にはアパホテルだったが、価格が需要によって変動するので、その場所を確保する必要性がない場合はスルーだ。他のビジネスホテルは、都内の地下鉄系、JR系、独立系と諸々似たようなコンセプトでどこでも良く差を感じない。
が、ドーミーインはなんか違う。
北海道から長崎まで90拠点以上の宿泊施設を運営する同社。他のビジネスホテルと異なる差別化ポイントが複数あるのだ。
・ロビーでのコーヒーサービス(機械セルフで無料飲みほ)
・充実した洗濯機(使ったことないが)
・天然温泉の大浴場とサウナ
・湯上りのアイスクリーム
・夜食に名物夜鳴きそば(もちろん無料)
・時間帯によって、乳酸菌飲料の提供
・宿泊世代を意識した充実漫画本コーナー
そして、何よりも朝食だ。どの拠点に行っても、ご当地を意識した朝食ブッフェを楽しめる。宿泊金額から考えるとバリューだ。たとえ、一泊の仕事でも、ご当地の名物は朝食会場で一通り食べることができて、なんちゃってでもその雰囲気を楽しめる。
ドーミーインを展開する共立メンテナンスは、学生寮や社員寮の運営事業を母体とする。基本的に、宿泊して終わりではなく、一定期間そのエリアで過ごす学生や社会人に対して生活全般を提供してきた。つまり常にリトルハイアにフォーカスしているのだ。
ビジネスホテルは、アパホテルの事例でも紹介した通り、一見さんを相手にする事業というよりは、そのエリアで不定期に宿泊するリピーターの心をつかむのがカギになる。そのためビックハイアの満足を獲得するよりも、リトルハイアにフォーカスすることがとても大切だと思う。
ドーミーインは宿泊顧客に対して、「第二の我が家」を価値として提供すると聴く。宿泊事業のマネジメントには、特定の状況における「顧客のあったらいいな」を追求し、宿泊サービスを日々改善しているのだ。
例えば、
・シャレオツの間接照明ではなく、天井設置のシーリング照明
ターゲット層は、日本的な庶民文化で育った層、やっぱりその照明が家のようでくつろげるのだ。
・ベットメイキングは高級ホテルと異なり、足を自由に動かせるかけ布団風のデュベスタイル
ベットメイキングの後に、毎回布団をつかんで足を引っ張って、布団とベットを離して、足を開放させる動作が不要だ。こちらのほうがやっぱりくつろげるのだろう。
・館内のパジャマはパンツと上着が別々のタイプ
・スリッパで館内を移動できるように、若干立派なスリッパ
要は、チェックインの後に、パジャマに着替えて、風呂やサウナで汗を流し、そのあともスリッパで館内を自由に移動できる空間を提供したのだ。もちろん、この層にハマらない顧客は度外視しているだろう。特定の顧客をターゲットにしているのだ。
差異化のポイントは、他社と異なる違いを作ること。つまりベターの戦いではなく、ディファレントの提供だ。そのことをよく研究しているのか、改善のマネジメントも独自の手法を持つ。通常視察は、他社のライバル店の宿やホテルを見に行く言葉をさすが、同社は違う。他の自社店舗を見に行くことを視察と表現するのだ。
各地で行われる会議の前に、マネジメントは必ず前泊で自社の他の管轄のホテルに宿泊する。そして風呂、サウナ、アイス、夜鳴きそば、朝食など、すべてのコンテンツを満喫し顧客として体験する。同時に、部屋の中では、ちょっとした仕事をして、電源や照明、部屋の備品などを顧客目線で確認する。そこからのインサイトをベースに次の「あったらいいな」を提案する。
ドーミーインのように全国で90以上の宿泊施設を展開する場合、自社サービスを徹底的に調べて特定の顧客層の立場でn=1分析を地道にくりかえすことには意味があるのだ。このn=1分析は、何もホテルの支配人だけの取り組みではない。副支配人、一般社員も含めて日々顧客目線でサービスを追求しているそうだ。そのチャンスは毎月の月例で、自由に気づきやインサイトを発言提案する心理的に安全な場が確保されている。なるはや提案の場合は、マネジメントや部長職に部下から直電があり、提案されることもあるという。
以下、社員やワイガヤでやってみよう的に開始された取組の例だ。
・池袋はアニメの生地ということで大浴場のBGMにアニソンを起用している。
・御殿場のドーミーインは一般顧客の利用が多く個別サウナの提供や部屋から愛車を愛でる部屋などを展開する。
・調べていくとご当地グルメの朝食も各現場が工夫して提供しているという。
・青森のドーミーインでは地元の作家とコラボしてサウナソングを作った、これが評判で他にも展開する計画を持つ。
ナショナルブランドでありながら、ご当地感がたんまりあるドーミーイン。同社のマネジメントは、インディーズ的な感覚を残しつつ、ナショナルブランドとしての展開をする。常に、特定の顧客のあったらいいなを考えて現場でテストを繰り返す。
まさに、顧客のジョブの解決を日々行う企業のぐっとな事例だと思う。
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【動画】DOJO
2024年4月4日
本動画は、プラネットのDOJO参加者向けの動画です。
事前動画 Day1(問題解決と概念化)
論理思考の基礎_概論(15分)
論理思考の基礎_問題の定義(10分)
論理思考の基礎_ゼロベース(24分)
論理思考の基礎_MECE(21分)
考える道具_Whatツリー(12分)
事前動画 Day2(分解・分ける)
問題解決の基本_流れと事例(19分)
問題解決の基本_問題の特定(11分)
問題解決の基本_課題の発見(14分)
論理思考の基礎_仮説 (16分)
考える道具_Whyツリー(11分)
事前動画 Day3(分解・分ける・集約・まとめる)
問題解決の基本_解決策の方向性(11分)
考える道具_Howツリー(15分)
考える道具_グルーピング(13分)
事前動画 Day4(選択)
考える道具_マトリクス(16分)
事前動画 Day5(計画)
問題解決の基本_計画策定(8分)
問題解決の基本_整理(7分)
考える道具_プロセス( 21分)
早嶋聡史の関連事業
・戦略策定と実行支援はビズ・ナビ&カンパニー
・M&Aの実務はビザイン
・M&Aアドバイザーの教育機関は日本M&Aアドバイザー協会
・スイス高級時計のParris DaCosta Hayashima
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実践「ジョブ理論」
「M&A実務のプロセスとポイント<第2版>」
「ドラッカーが教える問題解決のセオリー」
人生100年時代の働き方
2024年4月4日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今月のテーマは「人生100年時代の働き方」です。ちょうど新社会人の方々が新しい門出を迎え、街で多くのフレッシュな社会人を見かける頃です。満開の桜とともに、清々しくさわやかな風を感じます。フレッシュな人もそうでない人(笑)も、将来の働き方を考えるきっかけになればと思います。
さて、新社会人の方々は、これからあと何年働くことになるのでしょう?今、働き始めたばかりなのに「先のことはわかりません」と思われるかもしれません。しかし、人生100年時代と言われる昨今では、定年という概念もなくなるかもしれません。つまり死ぬまで働き続ける世の中ということです。
これまでは、人生を80歳と考えた場合のライフステージを最初の20年間を教育、次の40年間を仕事、最後の20年間を老後と分けていました。老後、つまりビジネスを終えた後の期間は20年間です。
それに対し、人生100年時代では教育と仕事の期間は同じでも、その後の老後の期間が40年になります。この長く伸びた老後40年をどのように過ごすことになるのでしょうか。
以前は新入社員として入社した会社に定年(60歳もしくは65歳)まで勤め上げ、老後は退職金と年金で穏やかに余生を過ごすのが一般的でした。しかし人生100年時代では伸びた老後にかかるお金を工面しなければなりません。生活費、医療費、介護費、趣味のお金、旅行やグルメ、孫へのお小遣い等々、お金のかかることはいっぱいあります。
そうなると、これまでより長く働く必要があるでしょうし、働き方や働く環境、条件も多様化するでしょう。またよりお金を稼ぐために自分の能力を高めそれを活かす働き方や、自分の興味や趣味を活かした働き口を探す、若いうちから将来を見据えスキルを磨いたり副業をおこなっておく、ことなどが必要となってくるでしょう。
長くなった老後ではお金だけではなく、やりがいや社会貢献、コミュニティーを重視した働き方もひとつの選択肢となるでしょう。そういう意味ではボランティア活動も大きな意味では働くことと言えるかもしれません。
そのように考えた時、これからの働き方、生き方というものは、当然一括りにすることはできず、自分らしく生き生きと過ごしていくことができるかを判断基準にする必要があるのではないでしょうか。今から将来を見据え、長い老後をどのように過ごしたいのか、自分らしい人生100年を過ごすためには何を準備しておかなければならないのか、このスタートの時期に新社会人もそうでない社会人も考えてみるのはいかがでしょう。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
新規事業の旅101 最近の経営企画
2024年3月28日
早嶋です。
5年、10年取り組んだ事業は、過去の延長を考えることで、一定の確度で将来を予見できる。そのため経営計画を入念に練ることには一定の意味があると思う。一方、今後5年、10年先の事業を開発するための机上の議論は、そこそこで良い。やってみないとわからない部分が多分にあるからだ。
10年前と比較して、経営計画の内訳や売上のポートフォリオに占める新規事業の割合が高い。しかし、相変わらず一定の経営企画がいる部隊は10月頃から来期の経営計画の準備に入り、翌年1月から3月はほぼ会議づくしだ。
計画、実行、検証、ブラッシュアップと仕事を分けるとすると、1年の半年近くに計画をしている。そして、半年かけて実行するが、検証とブラッシュアップを繰り返す取組がほぼ無い。更に、新しい取組でテスト的に行った内容、一部の部門でテストマーケティングを実施した取組を展開、全体最適でより高効率にするためにはどうするか?などの議論がみられない。
企業の顧客は、内部にもいる。経営企画や本部と言われる部隊の顧客は現場だと思う。社長ではない。しかし組織の10%いかに過ぎない本部スタッフがあまりにも現場を知らず、社長のみにフォーカスするので、計画は立派だが、1ミリも現場で試されない絵に描いた餅的経営計画が多数存在する。
計画は実行しなければ意味が無い。成果は行動の継続の結果でしかない。新しい取組は、どんなに机上で議論しても、価値はない。現場が行動に移し、事業として再現可能な状態になってキャッシュフローを生み出す。
新規事業に関しては計画はそこそこで良い。その計画を試行錯誤しながら現場で取り組むための知恵を得るための実験が必要だ。そして本部スタッフがその実験結果をまた整理して、より楽に、より効率的にできる手法に変えていく。これが検証とブラッシュアップだと思う。
計画:実行:検証:ブラッシュアップ=5:5:0:0
ではなく、
計画:実行:検証:ブラッシュアップ=1:3:3:3
を初期は意識的に行い、ブラッシュアップした取組を大きな組織では束ね全社展開する手法や、ITのようにプラットフォーム化して他の顧客や他の業界に展開できないか?を考えるのが経営企画の役割だと思う。
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テルモンの一貫性
2024年3月26日
早嶋です。
マーケティングにおける哲学は、徹底的に一貫性を持たせることだと思う。SDGsが流行っているので自社もその取り組みの波に乗る。国連本部が販売するSDGsバッチを10個セット$35で購入して社員がつける。悪くはないが、それはマーケティングではない。
自社が戦略として打ち出したポジションを実現するために、自社の顧客に対して徹底的に4P を検討して提供する。その中で、試行錯誤をしながらチューニングを施す。SDGsそのものはすごく重要で、持続可能な社会を構築するために企業も持続する必要がある。企業が提供する製品やサービスによって社会が回る側面が多々あるからだ。
ハリウッドスターであるレオナルド・ディカプリオも出資するシャンパーニューメゾンのテルモンは、マーケティングを体現する企業の一つだ。1912年に創業で「母なる自然の名のもとに」をメゾンのモットーに掲げ、オーガニック農法や二酸化炭素排出量の削減などを徹底したブドウ畑を守りながらも、トレーサブルなシャンパーニューを提供している。
テルモンが所有するブドウ畑は22ヘクタール(東京ドーム5個分)で、ブドウ畑とその周辺の生態系と環境保護に配慮している。2022年には、ぶどう畑の約8割に対してオーガニック認証を得ている。シャンパーニュの製法は創業時から受け継がれ伝統的な手作業で行われている。
テロワールは伝統的な少量生産のアルチザンに加えて、サステナビリティにも力を注ぐ。テルモンのエチケットには、トレーサビリティの証明がされ、ボトルナンバーからボトリング年、糖分量、ブドウ品種、ビンテージ、製法、メゾンのマニュフェストまでが明記されている。このように情報を開示しているシャンパーニューは他にないのだ。
更に徹底している。テルモンは一般的な限定ギフトボックスがない。その理由はすぐに廃棄させられるものだからだと言う。ボックスを廃止することで、無駄な二酸化炭素の排出を減らすことができるので実行している。また、テルモンのボトルにもこだわりがある。リサイクルガラスを使用しているのだ。ロゼワインなど、色を確認する必要のあるガラスも今後リサイクル可能なグリーンボトルにシフトする。ワインの輸送も海運のみにし、すべてにおいて一貫したこだわりを持ち合わせている。
新規事業の旅100 自分事と他人事
2024年3月21日
早嶋です。
自分事と他人事。事業を行う場合によく聴く言葉だ。モノゴトや課題解決の取組を、主体的に捉えて自ら取り組むことだ。が、実際に自分事(我が事)として取り扱い、行動する人は少ない。他人事として行う限り、そこから得られる過程や成果を一切、コントロール出来ないのだ。
子供がソフトボールをしている。応援している立場で、場外や応援席からエールを送る。もちろん子供のチームなので応援にも熱が入る。しか実際に一緒にプレーすると応援している時の見え方や考え方と異なる。あるひ、練習の見学をしている。子どもの人数が足らないので練習のフォローのため外野選手として持ち場を守る。子供にエールを送りながらも、自分の守備位置の確認をしながら攻撃する選手の球の位置や塁に出ている選手への送球を考えている自分がいた。応援しているときとは視座が異なっているのだ。モノゴトを外から見るか、内から見るか。視座が変われば思考と行動が変わるのだ。
自分で行う場合と他人が行っている場合、自分で考察をする場合と他人の答えを待つ場合では、全てが異なるのだ。
事業においてもしかりだ。上司や会社からいわれたことを仕事と理解して行っている限り、何かあった場合も全て他人任せだ。しかし、自分事と捉えた場合、変化が起こる。自分だったらこうするけどなと。仕事のモチベーションが低い、パフォーマンスが出ない。そこで悩みくよくよする人の多くは、その経過と行動を全て上司や会社に丸投げしていることに気がついていない。人の将棋盤の上で、人に動かされている駒のような存在になっているのだ。駒である限り、駒を操るプレイヤーをコントロールすることは不可能だ。そして、駒の動きを駒が勝手に指示して動かすことも出来ない。
自分が将棋盤を操るプレイヤーになれば、全てが逆転する。試行錯誤でき、自分の駒や他の駒を動かすことができる。例え、動かすことが出来なくても、将棋盤全体を俯瞰しながら相手の攻撃と次の攻撃を予測して様々に考えることができる。そしてその思考をゲームに活用するのだ。
世の中、シンプルだ。全てはコントロールできること、出来ないことに分けることができる。無意識に将棋の駒になっている限り、コントロールできることが極めて少ないのだ。結果、たまたま良い社会、たまたま良い会社、たまたま良い上司がいたら経過も成果も楽しいだろう。が、その存在の人事は運だ。◯◯ガチャと言っている若者がいる。所詮駒であり、自分がプレイヤーになる視点そのものが無いのだ。駒である限り、コントロールできない。そのために不安定なのだ。
自分事、我が事、プレイヤーになる。結果的に自分で考えコントロールできることにフォーカスして行動を変えることで、実際にモノゴトが動きはじめるのだ。
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