決めれない
2021年5月15日
早嶋です。
組織内で仕事をしている方の特徴で、何かを決めることができる方とそうでない方に別れます。
例えば、新たなプロジェクトを開始する場合。そのしえんで相談があった場合は、その目的やゴールの確認から始めますが、そこを決めて欲しいという。一瞬、んっ?それは本来我々ではなく、プロジェクトのオーナーが決めることだと思うのです・・・
そもそもどうして、今回のプロジェクトを依頼されたのか、そこを紐解くと整理できいると思うんですが。そのプロジェクト自体は社長からの指示で、誰もその意図をつっこんだり、確認していない。さらに事業部長はそれをうけて伝言ゲームのようになんとなく、できそうな若手に降りてくる。そして若手はPJTを作る。何のため、とか関係なく会議隊が出来上がっているのです。
実に不思議でしょ?普段はコンサル費用や研修費用に対して、とりあえずネゴってくるのに、最も大切な分に対しては何の議論も行っていないのです。まぁ、我々が食べて行くためには、その当たり前のことをご指摘差し上げ、そこを作りだす、或いは確認することから始めるので納得度が高くなるのでしょうが、それって当たり前なのでは、と思うのです。
一例にしか過ぎませんが、なんか上から言われたのでプロジェクトをおこないます。というかたが大きな組織には一定数あると思うのです。すると当然ながら、なぜ、この取り組みを行うのか?なんて考えないので、どのような形式でこの取り組みが終わったらいいのか?なんて見ないのです。
ゴールも目的も成果物もイメージせずに、プロジェクトは予算をかけて動き出します。そこで何をして良いかわからないヒトは、それっぽい会社に丸投げして、それっぽいことを行ったふりをして仕事をするのです。
なんか無駄ですよね。
これはM&Aの世界でも観察することができます。歴史を持つ企業は、ある程度既存の事業モデルで安定した収益を稼ぐことができます。しかし、今後のことを鑑みるとやはり今の事業モデルが心配になり、新しい事業が必要だという判断をする。正当な議論です。
しかし、これまで既存の枠組みに乗っかって事業を行ってきたので、社内に新たな取り組みを始めるマネジメントや役者が少ない、あるいはいない状態になっている。それに気がついたからゼロからやってみようという議論になっているのに、どうしたら新しい事業ができるんだ?という。それはやって見ないとわからないでしょ。と突っ込みたくなるが、思考は既存の事業の延長なので、新規事業も3年後に◎十億と設定するとできると主ちゃうのです。
そうなると、次は新規事業の部隊が創設されます。そしてメンバはいつものメンバ。というのも大きな組織であれ、小さな組織であれ、その取り組みに対しての目的や条件を考えた上での人選をしているフリで、実は常に同じ役者に声をかけます。そしてそのメンバが常にてんてこ舞い状態で、さぁ、どうやってやるんだ?と、目的のWhyや新規事業の領域などを考えることなく、Howである具体的な手法を探し出そうとするのです。
そして、机上で計画して、Webでリサーチしてあっという間に1年、2年。それなりの予算を使っているとおもうのですが、誰も行動していないから新規事業の勘所も種も生まれません。
そこで煮えくり返って、もううちはそんな時間が無いからM&Aをするぞ!とどこから流行っているキーワードが飛んでくる。お決まりのパターンでいつものメンバがM&A部隊として部署名を変更する。パターンは同じなので皆考えずにM&Aアドバイーにまるなげするのです。。
なんだかな。
根本は何も決めないことが理由なのでは無いか。とつくづく思うのです。わからないなりに、このよなことをやってみた方がよいのではないか。だったら、仮にそれが正しいか、いま時点でわからないから1ヶ月程度行ってみようよ。そして、その結果から再度自分たちが向かうべきところを決めよう。それがあってそうだったら、もっと資源を費やして一気に行ってみよう。そんなことも決めきれないのです。
だから戦略コンサルという仕事があるのでしょうが、なんとなく、その決めれないヒトの集まりが今の日本にはたくさんあって、将来の可能性をツビしているのではないかと思うのです。
マクドナルドはなぜ強い
2021年5月13日
1.コロナ渦で強いマクドナルド
原田です。
コロナ渦の中、外食業界全体が大きな打撃を受けています。しかし、その中でマクドナルドは成長を続けています。
日経MJによると、既存店売上高は、4月まで10ヶ月連続で前年を上回っています。2021年12月期の連結営業利益は、前期比2%増の320億円です。2期連続の最高益を見込みます。
単に数字がいいだけでなく、デリバリーへの対応、アプリの開発、新たなキッチンシステムの開発など、様々な革新的な取組みをしています。
2.マクドナルドが強い理由3つの理由
マクドナルドが、この非常事態に強い理由は、1)明確な戦略と業界地位、2)生真面目な日本風土への適合、3)危機を乗り越えた過去の3つが挙げられます。
まず1)の明確な戦略と業界地位です。マクドナルドは、ハンバーガに特化しています。もちろんロープライスです。そして顧客は、ファミリー層から、学生、ビジネスパーソンまで、幅広く対応しています。飲食業の中で、典型的なコスト集中戦略を実行しています。
業界地位を見ると、マクドナルドは、外食産業の中で、売上は3番目の規模です。1位はゼンショーHDの6,304億円、2位はすかいらーくHDの3,753億円です。マクドナルドは、3位で2,817億円です。しかし、マクドナルドはハンバーガーというカテゴリーに特化しています。幅広い客層が利用できます。特にファミリー層に強いです。一方で、ゼンショーHDは、その柱は牛丼ですが、このカテゴリーは熾烈な競争です。すかいらーくは、ファミリーレストランで、商品のレパートリーが豊富で、扱う食材も多いです。そして両方とも、複数の飲食ブランドを抱えています。
マクドナルドはやることが明確です。まず一番の優先事項はローコストオペレーションの確立です。なので、店舗、製品、人材、IT技術などへ集中して投資ができます。今回も急増するテイクアウト、デリバリー需要へ迅速に対応することができました。さらに生産性の高い新たなキッチンシステムも開発しています。今後、外食産業のDX化が進むなかで、この投資が集中できるというメリットはより大きくなります。
次に、2)の生真面目な日本風土への適応です。特定のカテゴリーに集中して、ローコストオペレーションを確立する戦略は生真面目な日本の風土に適合しています。コスト集中戦略の成功例は、マクドナルドだけでなく、ユニクロ、ニトリなどの製造小売業があります。コツコツとオペレーションを改善していくのは、日本人の気質にあっていると思います。
最後に、3)の危機を乗り越えた過去です。マクドナルドは長い歴史の中で、何度か危機に見舞われました。店舗急拡大、極端な安売り路線後の業績の大幅な落ち込みがありました。鶏肉スキャンダルの時も、ショッキングな写真がテレビ、ネットに流れ、大きく業績を落としました。
しかしその中でも、ブランドを陳腐化させず、リニューアルして復活してきました。こういうクライシス(危機)を組織一丸となって乗り越える風土があります。
3.クライシスの中でリーダーに必要なこと
クライシスの中、組織には明確なビジョンと戦略、そして強いリーダーシップが必要です。それがあれば、生真面目な日本人は、一丸となって働くと思います。
多くの企業が「新たな強み」を得るのは、クライシスを乗り越えるときです。コロナ禍のなか、苦境に立たされている企業がたくさんあります。しかし、この不遇な時代に培ったものが、また次のステージで活かされていくと思います。
社会で働く多くの人がコロナ禍の中で、何をやればいいのか途方に暮れていると思います。一方で、多くの人が何らかの形で社会に貢献したいという気持ちを抱いていると思います。明確なビジョンと戦略を掲げる、そしてみんなに伝えるというリーダーの役割が、何よりも重要になります。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
意味は無い
2021年5月13日
早嶋です。
養老孟司さんの話の中で、感覚所与の話題が出てくる。これが実に興味深い。例えば、学校の黒板にチョークで青と書いた状況を想像してみてください。「青」と、まぁこんな感じでしょうか。
おそらく、このブログを読んでいる人は僕と同じ40代前後の方々でしょうから、青という言葉のイメージをアタマの中に取り入れたと思います。一方で、ヒト以外の動物と何らかの方法でコミュニケーションができたら、彼ら彼女らは、白いチョークで書かれているだから感じの意味はさておき、白い何かというイメージをアタマの中に取り入れるでしょう。
白い文字でも、赤い文字でも感じで「青」と表現すると、ヒトはアタマの中で解釈して青という概念を想定します、少なくとも日本の教育を受けていれば。しかし、動物はアタマの中で解釈することが出来ないので見た情報そのものを捉えるのです。これが感覚所与です。
例えば、震災直後の地震が来ると、多くのヒトは恐怖を覚え、避難経路の確認や情報収集といった行動を取ったと思います。これは感覚所与を受けてすぐに行動をしているのです。その際、脳に刺激を与えながら得たインプットを処理して判断して行動を起こします。しかし10年経過して、たまに地震を感じると、その行動のフィードバックを整理すると、そろそろ大丈夫ということで慣れてしまい、結果、10年前のような行動をしなくなるのです。
自然界では常に想定外の刺激が外部環境からやってくるので、アタマで考えて処理するのでは遅く、取り入れたインプットから意味を考えずにすぐにアウトプットを繰り返します。しかし、そのような行動を繰り返し行うとヒトは学習し始めて、インプットとアウトプットの差分を比較するようになるのです。ITにおけるいわば、フィードバックループのようなものです。そして、そこにギャップが生じていれば、つまり得たインプットを解釈してアウトプットしたけれども効果が薄かったなとなれば、徐々にそのインプットに対してはアウトプットしなくなり結果的に慣れてしまうのです。
つまり変化があれば人は行動をするでしょうが、その変化がづっと続けば慣れてしまい、何もしなくなるのです。この感覚所与はありとあらゆる感覚に生じます。つまりヒトが持つ五感です。
大学1年生、2年生の夏、富士山8合目の白雲荘という山小屋で長期のバイトをしていました。当時のバイトの仕事の中で辛かったのがトイレ処理です。今では信じられませんが、トイレはそのまま山の斜面に垂れ流していました。バイトの仕事は、たまにその現場に言って人工物を取り除くという仕事です。はじめは最悪だと思おっていましたが、実際行う中で慣れてきてその強烈な変化に対して慣れてしまったのです。
田舎で用を足すときのぽっとん便所。あれも今は無いのでイメージできないひともいるかも知れませんが。はじめのうちは匂いがきつくて出来ませんでしたが、徐々に慣れてきて鼻が鈍ってしまいます。これもヒトの慣れなのでしょう。
チョークで書いた青の話に戻ります。自分を振り返ると、小学校や中学校や高校と記憶優位の勉強を進めていたときは、先生が言ったこと、すなわち正解と無意識に捉えていました。しかし、今同じようなことを聴いた場合は、すぐに「ん?」それって本当なのか?片方の意見のみの情報で反対する側の意見はどうなっているんだ?と何らか受け取った情報に対して違和感を覚えるようになりました。昔は、先生が神様、正解と思っており、その情報が慣れてしまったら、全てを受け入れるようになったと思います。今は、受け入れても異なる世界が無数に有ることを知りました。したがって意識的に外部からの刺激があった場合、あまり考えないで行動していることに対しては時々振り返りをしています。
養老さんの話の中に、このような話題が出てきて、「感覚所与は意味あると思うものに限定して最小の世界を作り出す、そして世界を閉じ世界を満たす」という表現を使って話されています。非常に納得できることです。自分の興味があるものに関して意味を捉え、それ以外の外部からの刺激は無視するということです。その結果、自分で小さい世界を作り出し、無限に広がる世界の中で起きていることはそのヒトにとって全く関係なくなるのです。
話は飛躍しますが、結果的にヒトは概念の世界を作り出し、ヒトの世界を自分たちで限定し始めました。それが文明の世界で、今では都市の世界になっています。そして、ある時意味の無いものに触れた瞬間に、その意味を考え始め、自分が理解できないことに苦しむのです。
でも、本来は、意味があるか否かの意味さえもなく、意味が有るものを勝手に自分の中で意味があると思いこんでいたに過ぎないのです。自然の中を有るきまわれば、すべてのものに注意を向けて考え込むかと言えばそうでは無いと思います。しかし都市の現代社会の中に、ぽつんと大きな岩があったら、ヒトはその岩を排除する方向に動くでしょう。交通の妨げになるからです。でも自然の中を歩いていても、そのような行動をしないのです。
それは、最終的にヒトが定義した意味のあるもの以外の排除によって、自分たちの世界を作ったつもりになったからです。でも実際は、世の中のすべてのモノが意味があると捉えるよりも、意味は無いと捉えた方が自然なのです。すると九に、思考がすーっと楽になることが多々あります。
ソクラテスの無知の知。知らないことを知っていれば、全てにおいて興味がわく。勝手に脳が働いて楽しいことに満ち溢れる。意味がないことを前提に排除するのではなく、自分たちで意味付けをする世界を知る。することで常に考えて動き始めることができる。
ただ、上記の度がすぎると脳に対して負荷がかかり始めるので、意味を見出して考えなくなるという選択肢をヒトは選んだのかもしれません。
【動画】新出光リテール販売部特約店課様向けページ
2021年5月12日
こちらのは、新出光リテール販売部特約店課向けのページです。
6月15日の研修日までに、以下の動画3本を視聴ください。その後、既に策定している特約店様の事業計画のうち、新規事業として生み出す必要のある売上、利益等のギャップを把握してください。合わせて、特約店様の環境分析(SWOT)を行ってきてください。特約店の特定に対しては、事務局の指示を受けてください。
1)新規事業の基礎(40分)
特約店様において、今後減少する売上分を新規事業で行う場合、どのような流れで新規事業を開発するかの基本的な考え方を整理します。視聴する際は、特定の特約店をイメージしてビジネスアイデアの発想、ビジネスモデルの組み立て、そしてビジネスプランに落とし込む考えの流れを把握いただけます。
2)イノベーションの基礎_2_開発(40分)
こちらの動画では、新規事業のアイデアを創発するためのポイントを理解頂きます。アイデアの基本は事業チャンス✕強みです。コンサルタントがどのように創発するのかの考え方を整理しながら、特定の特約店へ寄り添うイメージを持ちながら視聴ください。なお、イノベーションの基礎は3本の動画がありますが、今回はその中の1本を抜粋しています。
3)戦略思考の基礎_5_環境分析(27分)
こちらの動画では、事業チャンスの見つけ方や自社の強み、市場の分析、競合の分析についての基本的な考え方を整理します。特定の特約店をイメージしながら、動画を視聴ください。ワークショップの1日目に、こちらの動画の内容に沿っって、特定の特約店の現状を確認します。なお、戦略思考の基礎は6本の動画がありますが、今回はその中の1本を抜粋しています。
ポルシェの環境事例・911
2021年5月11日
早嶋です。
「新品を今買うか、新しい技術が普及するまで購入を伸ばすか?」このような問いを持つことは無いでしょうか。今、世界を取り巻く自動車環境は電気自動車への移行時期です。しかし欲しい車はガソリンエンジン。今買って乗らなくなった頃のリセール・バリューを考える頃には、二束三文になっているかもしれない。ということで購入をためらう経験です。
スポーツカーの代名詞911。それを世の中に送り出すポルシェは、この取り組みに対して正面から取り組み解決策を提示しています。従来のガソリンエンジンは、化石燃料由来の燃料ということでCO2の排出に大きな影響を与えた。しかし、既に走っている自動車を電気自動車に置き換える過渡期において、走れる車をスクラップにして新車を普及させることもナンセンス。そう考えたポルシェは、既存の911オーナーに対して新たな環境技術で脱炭素を後押しするのです。水素から「ガソリン」を生成して提供する取組です。
(水素ガソリン)
ポルシェはドイツのシーメンス・エナジーなどとタッグを組み、チリ南部パタゴニア地方で風力発電を活用した水素ガソリンのテスト生産をはじめます。生産地のパタゴニア地方は常時風が強いことで知られ、南半球で偏西風が吹く唯一の陸地です。その風はアンデス山脈にぶつかり、冷やされ、密度が高くなったアンデス吹きおろしの風は風力発電にも最適なエリアとされます。
風力発電で得た電力から水を電気分解して水素を取り出します。そこに回収したCO2を化学的に合成することでガソリンと同じ炭化水素(水素ガソリン)を作るのです。
今回の初期投資は2000万ユーロ、日本円で凡そ26億円です。計画では22年に年間13万リットルを生産し、26年には約100万台分の5億5千万リットルを生産します。生産した水素ガソリンは既存のガソリン車に使用できディーラー等を介して既存ユーザーに直販するのです。
課題はコストです。テスト生産では1ℓ当たりの生産コストが10ドルで、26年の量産時期までに2ドル以下をターゲットにしています。ガソリンの生産から輸送、販売コスト、税金等を考えればオーナーが購入する小売価格はやや高くなるでしょうが、911を中心に特別な顧客にとって、既存のガソリン車がこれからも乗れるのであれば合理的な提案となるでしょう。
(911)
1964年の発表から今に至るまで、スポーツカーの代名詞でもあり、ポルシェのフラグシップモデルです。一貫してRR方式(リアエンジン・リアドライブ方式:車体の後部にエンジンを配置し、後輪を駆動する方式。駆動するタイアに重荷が大きく、発進時の機動が機敏になる。またブレーキ時も4輪にかかる荷重がバランスされ安定した走行を実現するとされる。)を基本として、21世紀の現在では量産RR車として独自のポジションを構築しています。
1990年代までは4輪車では数少なくなった空冷エンジンを搭載していたことでも有名で、時代によって多少の変化はあるでしょうが基本的なデザインは不変でポルシェの代名詞になっているのです。
更に注目するのはその利益率です。911の販売は2020年の販売ベースで3.4万台とポルシェ全体の約1割程度です。販売車種としてはカイエンなどのSUVが伸ばしていますが、911が稼ぐ利益はポルシェ全体の3割を占めています。ポルシェオーナーは大切にポルシェを乗り継ぐことから、過去生産されてきた911の7割は今でも現役で世界を走っています。
代名詞で稼ぎ頭、生産された7割が現役の911。これをテクノロジーが変わるからと言って全て電気にシフトしてね。というのはやはり大きな課題だったのでしょう。そこを水素ガソリンの生産から供給というエコシステムを独自でつくり911オーナーを中心に提供する取組を開始したのです。
他方では、ポルシェはEV化の商用も進めています。20年に投入したセダンタイプのEVであるタイカンは年間に2万台の販売を実現して、現在でも注文過多でフル生産を続けています。23年以降は売れ筋商品のSUVのマカン、カイエンとセダンタイプのパラメーラのEVシフトも計画しています。ポルシェは2030年の新車販売の8割をEVにする計画です。
ポルシェの取組は、既存の911を中心とするガソリンオーナーの将来の悩みを解消するばかりではなく、水素ガソリンを活用することでカーボンフリーの取組を推進するという素晴らしい発想で事業を進めているのです。ガソリン車とEVの共存。利益率の高い911を水素ガソリンで維持するが出来れば、環境対応と事業の両面の帳尻も合うのです。
(購買後の取組)
SDGsと環境と両立する社会が求められる中、多くの日本企業はいまだに逆行した行動で成り立っています。大量生産を進め、商品アイテム数を拡大、在庫を抱え、まだ使える商品に対してリプレースを促進する。その中で利拡大を得る高度成長期と変わらないビジネスモデルです。
マスク、ファーストフード、冷食、食器や家具など日常的に使う商品から、家電や車や住宅を見渡しても、どこか「使い捨て」の感覚が色濃く普及しています。もちろん経済を合理的に回す、衛生に保つ、コストを下げて提供するためには必要な面もありますが、過度な安全、安心、コスト安の日本は本来持った文化的側面と思想を壊す側面もあるでしょう。
一方で昔の日本は、モノを大切に使うことが当たり前でした。茶碗や漆器や着物などはそもそも高価なもので、複数所有することなく、大切に修理して世代を渡り使用されてきました。継ぎはぎや金継ぎなどの技術はモノをただ大切に使うことに加えて、修理して修復することでむしろ価値を上げる粋な技でもありました。
私がスイス機械式時計ブランドを創業したきっかけも、まさにモノを大切に使う文化を取り戻すことでした。スイス、フランス、ドイツ、イギリス。街中を歩けば古い商品が大切に修理されてリセールされています。モノに対しての価値は、新しいものよりも使用した歴史あるものに対して一目置く文化が今でも生活にのこっています。沢山所有することなく、自分が良いと思ったものを長く使い続ける。機械式時計は200年前の技術をベースにスイスの職人たちと手作業でつくっていきますが、文明が途絶えても、同じ部品を削り出し、組み立てることで後世でも継続して使用できます。
クリステンセンが主張したジョブ理論の中で購買後の使用にフォーカスする、リトルハイアの重要性があります。企業のビジネスモデル自体、売ることをゴールと捉えるのではなく、販売することをスタートと捉え顧客と関係構築を行い、その後の商品の使用やサービスの提供の中で顧客が問題を解決していく。そこに注目すると自ずと顧客との関係性が高まり永続的な事業につながっていきます。
ポルシェの革新的な取組は最新のEV技術を推進する中で、既存のガソリンエンジンがそのままの形で後世でも使用できるビジネスモデルを考え実現しているところにあります。誰でも思い付くことができるアイデアかも知れませんが、実際にテストマーケティングを行いながらその構想を示す。
確かに911はポルシェを象徴するアイコンです。利益率が高くても販売が続き、過去の販売者の7割の車が今でも現役であることを捉えると、それだけ多くのオーナーがこよなく911を愛しているのです。そこに対して正面から環境対策に取り組み、911のオーナーはそのガソリンまで気遣っている。将来的にはそのようなキャッチが浸透することが目に浮かびますね。
(提言)
さぁ、今911の購入をためらっている皆さん。臆せずに買いましょう!
自然環境保全と地域デザイン
2021年5月7日
原です。
地域が自然への環境保全に取り組むことに国民は力を貸してほしいです。
海外では、非営利の環境保全財団の活動が活発であると聞いたことがあります。
財団が基金を募り、集まった基金で必要な自然環境を買う。または、借り上げて維持していくことが必要です。
自然環境保全への取組の理由は、以下のとおりです。
私は都市と里山の2拠点生活をしています。
たまに、大都市に行くと空気の異様な匂いと水のひどさに呆れてしまいます。
しかし、住み慣れた都市住民の多くは、そのひどさに気づかないと言います。
人間の五感という機能そのものが崩されているのではないかと思います。
当たり前ですが、水や空気は大事なものであり、それが都市の発展や所得から生まれるものではなく、山や森、川、海から生まれるものであることは誰でも知っています。
それにもかかわらず、その大事な山や森や川や海の自然を遊休地と指定し、無駄な開発に取り組むことで、地域は貴重な価値である自然環境を失っていきました。
国などが取り組んでいるツーリズムとは、自然環境を価値あるものと認めたうえで都市との文化的・経済的交流を活性化させていくことが目的のはずです。
しかし、価値となる自然環境を悪化させてまで経済環境を追及した結果、農村地域は地域資源という価値を失い、都市は得るはずの価値を失っているのです。
経済原理の上に乗っかっただけの計画は、自然の姿を保全し、循環させる力を衰弱させていきます。
必要なことは、非営利の財団による自然環境の保全を同時に進めていくこと。それと、地域デザインの構想力なのです。そうすれば、市場を使って自然を守るという発想により生態系サービスという地域ビジネスが創造できるのではないでしょうか。
私は、「空気と水は汚いもの」ではなく「空気と水は美しいもの」という当たり前のことを取り戻し、都市と里山の双方が価値共有を得るために、里山の農園再開発後には山の保全や植林活動も微力ながら継続していきます。
繊細な若者へのマネジメント
2021年5月6日
安藤です。
ここ数年、研修やカウンセリング・コーチングの後に、「最近の若者は主体性がない、繊細になった」という言葉をよく経営者、管理職、人事担当者の方々からよくうかがいます。
「電話が怖くて電話がとれない」、「ちょっと強く注意すると、すぐにこころが折れる」、「自分の意見を伝えらなない」などです。新型コロナウィルス禍で、リモートワーク、オンライン会議など新しい働き方の対応が求めれています。一方で、そのような状況の中で、上司と部下の意識の溝に対してどのように対策をしたらいいのか解決できないまま、若手社員の離職に繋がり、育成できないのが現状です。
若手社員が、受け身で、繊細になった背景には、彼らが育った社会環境も多く影響を受けていると考えられます。テロ、震災、異常気象、感染拡大等です。この激動の時代を過ごしている世代は、確実なものはなく「不安心理」が常にある状態であるということです。何も考えていない、気弱だから何も言えないのでなく自分を主張する、無理にNOを言わないという基本的態度になっているといわれています。次に、「同調圧力」です。児童期からパソコンや携帯電話、インターネットが普及している若い世代は、ネットリテラシーが高い反面、ネットいじめ・常に他者からの反応を気にする環境などの負の影響を受けています。SNSの発展によって、Netで自由に表現できる反面、発言が世の流れに沿っているかを気にしなくていけない時代に育っています。
最後に価値観の違いがあります。今の若い世代は外の世界に価値観をおかずに内に価値観を置く傾向があります。目に見える価値観、数で測れるものではなく、目に見えない価値観、存在そのものに価値観を置きます。職場においては、上司との「ワークライフバランス」についての考え方の相違、転勤を嫌がるなどもその理由と考えられます。もう少し詳しくいうと、若い世代と、中高年の管理職世代とは「ワークライフバランス」に対する意識の違いがあります。『何を大切にして生きるのか』という価値観が違います。キャリアに基づいた、生涯にわたってブレない自己欲求・自己が望む価値観の図るのに「キャリアアンカー」というものがあります。大半の若手社員は、仕事とプライベート、企業人として個人などどちらも大切に考え、熱心に仕事に打ち込む一方で、子どもが生まれると育児休暇を取得し、育児にもしっかりと関わりたい。よって、予定のない会社の飲み会や残業はきっぱり断る。仕事以外の自分の時間・生活を大切にしたい。有給休暇はしっかりと取得したいというのが、軸になっています。
若手社員の“やる気スイッチ”を押すには、今までの自分達が受けてきた動機付けや価値観、競争心をあおる等のやり方では通用しなくなっています。若手社員との関係を築いていくためには、一人ひとりとラポール(信頼構築)形成がまず先です。そのためには、傾聴スキル、言いにくいことを伝えるスキル・クッション言葉活用、
感情のコントロールをすることで信頼関係を築いていくことです。まずは、彼らの“内”なる部分で信頼を得ることが優先と考えます。
私毎で恐縮ですが、この度、国家資格キャリアコンサルタント1級技能士(国家資格キャリアコンサルタント
指導者レベル)を取得しました。企業内でのキャリアコンサルタント取得の方々・目指していらっしゃる方の
指導、また、資格に関わらずキャリアコンサルタント育成を検討されている場合は、お声かけ頂けたら幸いです。他、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が長くなり、社員の仕事ぶりや表情が見えづらくなっただけでなく、メンタルヘルス不調者への対応,ハラスメント対応,若手社員への対応等を強化していく必要ができきています。
若手社員との関係作り・コミュニケーションの取り方などでお困りの方は、気軽に弊社にご相談くださいませ。
目標達成の逆算思考プロセス
2021年5月6日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、数回に分けてお伝えしています。
今回は『目標達成の逆算思考プロセス』というテーマでお届けします。
新入社員の方の中にはすでにフィールドに出て営業活動をされておられる方もいらっしゃるでしょう。営業に限らずビジネスマンに目標達成は付き物です。5月ということで、特に新人の方向けに目標達成のコツをお伝えします。
さて、突然ですが、ここにあみだくじがあります。A、B、C、Dと選べますがその先に一か所「アタリ」があるわけです。
さて、どれを選びますか?と言われても、カンで選ぶしかないですよね。あみだくじなんですから。
でも、「アタリ」の位置がどこか分かっていると?当然「アタリ」から逆に辿ってくじを選びますよね。逆算思考とはそういうことです。ゴールがわかっているから選べるのです。
営業目標に限らず、人生も仕事もゴールを明らかにしてからの逆算が大切です。
特に新人の方は、将来どうなりたいのか?何をしたいのか?そのゴールが明確になれば、そのために今、優先して何をすればいいのかハッキリします。会社や目先の成績だけではなく、自分がこれから送る長い人生の中で、今の仕事の意義付けや目標が変わってくると思います。
ちなみに、そんな将来のゴールなんて見えてないという方は?私も人生の目標が明確にあったわけではありませんでした。そんな場合は、まずは目の前の課せられた目標を達成することに全力を注ぐだけでいいのではないでしょうか。そのうち自分の成長に伴い、環境も変わり、ふさわしい出会いもあり、やりたいことが明確になる時期がくると思いますよ。
さて、逆算思考プロセスを営業の仕事で説明しましょう。
今期の目標が売上なのか利益なのかその他色々あるでしょうが、いずれにしろ何かしらの目標(ゴール)をお持ちのはずです。その目標を達成するために、いつまでに何をどれぐらいしないといけないのか?を順に逆算していくと、今月何をしないといけないのか?今週何をしないといけないのか?では今日何をしないといけないのか?が明確になるはずです。これが計画です。
一例として、生命保険の紹介営業の進め方をモデル化すると以下の通りになります。
【紹介入手リスト→アプローチ→ヒアリング→プレゼン→クロージング→契約→紹介依頼】
をぐるぐる循環します。
このプロセスにおいて、経験上自分の現状の営業スキルから目標達成するためには各プロセスを何件ぐらいしなければいけないのか分かっていれば逆算できます。(質と量の問題ですね)
例えば、今月の目標を契約10件とすると、クロージングは14件必要、クロージング14件するためにはプレゼンを20件しなければならない。プレゼン20件するためにはヒアリングを30件しなければならない。ヒアリング30件するためにはアプローチを50件しなければならない。そしてアプローチ50件するためには紹介入手を150件しなければならない、となります。
つまり当月の月初に150件の紹介入手ができていないと月末での目標達成はほぼ不可能だとわかります。これが逆算思考です。
では、まず優先して行わなければならないことは?そう、月初に紹介入手リストを150件揃えることです。ではそのためにどういった行動を起こさなければならないのか?どれぐらい行わなわなければならないのか?「何」を「どれぐらい」ですね。それを月、週、一日に振り分けると行動計画の出来上がりです。
あとは粛々と毎日計画通り行動を行えば、月末には目標達成している確率が高いです。
これが目標達成の逆算思考プロセスです。営業をプロセスに分解し、何をどれぐらい行えば望む目標が達成できるのか逆算し、計画し、実際に行動する。何回かやればデータが蓄積されますので、より達成の確率が高い計画が立てられるようになります。ぜひやってみられることをお薦めします。
『厳しいプロは、高い目標を掲げ、それを実現することを求める』 by P・F・ドラッカー
営業プロセス、顧客満足、人材育成、セールスコーチなどをお考えの経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
「安い日本」〜構造的なデフレの果て〜
2021年5月6日
◇「安い日本」という衝撃
原田です。
「安いニッポン「価格」が示す停滞」という本を読みました。日本が置かれている環境は、ある程度はわかっていたことなのですが、こうしてデータと事例でまとめられると、かなりの衝撃を受けました。以下、本の要約と個人的感想です。
◇他国の価格は高い? ビックマックとディズニーランド
2021年現在、日本のマクドナルド、ビックマックの価格は390円です。一昔前、2010年の価格は320円でした。およそ10年で、70円値上げされました。とはいえ、まだまだリーズナブルな価格だと思います。
アメリカでは、2021年、その価格はおよそ590円です。日本より200円も高いです。なんと2010年の価格は、およそ330円でした。この10年で、250円以上値上げしています。
この10年で、なぜこれだけの差が開いたのでしょうか?アメリカでは、ビックマックはちょっとした高級品になったのでしょうか?
2021年、ディズニーランドの入園料は8,200円です。この6年で2,000円値上げしました。値上げはニュースで話題になりました。ファミリー層の悲鳴もよく記事に取り上げられました。でも、世界のディズニーランドはもっと高いのです。パリで約1万8千円、フロリダで約1万5千円です。「日本より狭い」と言われる香港でも約8,000円です。
他国は、この価格でお客さんが来るのでしょうか?中流のファミリー層では滅多にいけないところなのでしょうか?
◇「安い日本」ということ
これらのことは、日本の価格が世界的に見て、「安い」ということです。
日本は30年超デフレが続いています。日本の消費者は安いということを何よりも重視します。企業は消費者のニーズに答えるため、懸命に努力してきました。結果として、企業が価格転換するメカニズムが破壊され、物価が上がらないのです。そして当然、賃金も上がらないのです。
一方で、アメリカの物価は20年間、ほぼ毎年2%ずつ上昇してきました。結果、2020年の物価水準は、20年前の2000年の5割増しになります。
では為替(名目為替レート)の動きはどうだったのでしょうか?2000年も、2020年もおよそ1ドル110円で大きな動きはありません。そのため日本人が久しぶりに、アメリカに行くと、価格の高さにびっくりすることになります。一方でアメリカ人は日本の安さにびっくりします。相対的に日本人の購買する力が落ちました。為替が安くなった(円安)わけではなく、20年間にわたるデフレ傾向が原因だと言えます。
ここでは、「購買力」を簡単に、一個人が、一定の金額で様々なモノ、サービスを買うことができる力と定義します。そしてこの購買力を比較すると、日本の購買力は、アメリカの7割以下なのです。アメリカでは所得が上がっているので、ディズニーランドの入園料が上がっても負担感は高まらないのです。ビックマックもこれまで通り、リーズナブルな食事なのです。
日本は豊かな国だったのではなかったのでしょうか?「豊か」という概念をどう定義するかによりますが、ある程度の所得である程度の暮らしができるという意味では、日本は十分に豊かだと思います。しかし、世界と比較すると長期デフレによる物価の停滞、上がらない所得、そして企業の賢明な努力によって、世界の中でも個別の製品、サービスの価格の安さが際立つようになりました。こんな先進国は世界でも日本だけです。
他国から日本にやってきて大量の品物を購入する「爆買い」の背景は、日本の品質がいいということだけではなく、単に安いからなのです。海外からの旅行者、インバウンドの急激な増加の背景も同じです。彼らはとてもクオリティーの高い日本の製品、サービスを信じられないほど安く買えるのです。
◇「安い日本」の現状
「安い日本」は、世界の優秀な人材を獲得することができません。どの企業も喉から手が出るほど欲しいIT人材は、他国が高いお金で獲得します。さらには、日本から優秀な人材も他国へ流出していきます。
「安い日本」は技術も安く買われます。高い技術を持った中小企業が、中国系の企業に買収される事例も増えています。皮肉なことに中国系企業の支援を受けることで、日本の「ケイレツ」による下請けいじめから脱出できて、付加価値の高い企業になった事例もあります。
「安い日本」はリゾート地もお買い得です。コロナ禍のなかでも、日本のリゾート地を、他国が購入しています。億単位のコンドミニアムが普通に売れています。なぜなら世界と比べてとても安いからです。
「安い日本」は何より人材が育ちません。海外で活躍できる人材を育てたくても、海外大学の授業料、そしてその生活費が高いのです。これまでのように簡単に留学できなくなるでしょう。
そして日本人がグローバル企業や国際機関のトップに慣れないだけではありません。日本企業のトップも外国人が増えていくでしょう。結果として日本人が貧しくなっていくということです。
◇「安い日本」への対応策
デフレの悪影響は、もう20年以上前から盛んに論じられてきました。この本でも、日本型雇用を改め、人材の流動性を高めることや、賃金を上げることなどの様々な対応策が提案されています。
しかし、これらの対応策も大きな効果はないのではないかと個人的には思います。なぜなら本質的に日本人はディプレッション(停滞)を好んでいるということです。経済がインフレになり、賃金が上がっても、結局は物価も上がり、乱気流のような環境へ移るだけです。であれば、今のまま、緩やかに日々を送る方がいいということです。もちろんそれは危険な幻想ですが…。
結局は、国の政策に頼るのではなく個々の企業が局地戦で勝ちを得ていくしかないと思います。「安い日本」の中にも多くのビジネスチャンスはあります。安く仕入れて高く売るは商売の原理原則です。日本にはまだまだ高く売れる製品・サービスがたくさんあります。
また、モノ消費でなく、コト消費に対しては高いお金を払います。最近流行りの、フルーツ大福はインスタ映えもよく、1,000円近い価格です。大企業が、ステレス値上げに励むなかで、小さな企業のちょっとしたアイデアが、大きな商機を生み出します。
今は大きな変革期で、様々なビジネスが生まれています。停滞を抜け出す大きなチャンスだと思います。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
マーケティング関連の書籍
2021年5月6日
早嶋です。
マーケティングについて学びたい。もっと深堀りをしたい。というような問い合わせや質問が多くありますので整理します。結論を言えば、最新の事例は本屋さんやWebで常にチェックをしつつも、基本的な考え方を軸に自分なりの理論や理屈に落としこむことが大切です。そしてできる限り自分自身で顧客としての体験を積むことです。いろいろや商品を実際に購入して体験する。そしてどのように感じるのか、提供側がどのような仕組みを考えているのかを1次体験として確認することも重要です。コンサルや企画職としてのマーケティングを行う場合は、言うだけで実際に行わないので、可能な限り実験をしながらブラッシュアップする感覚も欲しいです。そのため小さな事業で良いので実際にお金を投じて自身の商品をマーケティングすることもおすすめです。
ここまでで、
1)最新の事例は最新の書籍やWebを定期的にチェック
2)基本的な理論や理屈を理解しておく
3)2次情報に加え、実際にお金を払って顧客体験を積む
4)トライ&エラーで学ぶことが多いので自分でマーケティングを実践する
ということを記述しています。
上記において、3)と4)は難しいだろうと思うかもしれませんが、自分なりに工夫して考えて実践し続けてください。ここでは2)の基本的な理論や理屈を整理する上で把握しておいた方が良いポイントを紹介します。本自体の紹介ではなく、なぜそのような知識を身に着けておいた方が良いかの解説です。
基本的な理論
マーケティングの基本的な考えたかを身につけるためには、MBAなど経営大学でマーケティングを専攻する際に使用されているテキストを理解することが最も近道です。ただし、数学の勉強と同じで全体像を理解しないと細かい内容が把握でいないので、このようなテキストは辞書感覚で他の図書を読んでいる際に、都度調べる感覚で、一気に読んでも流れが把握出来ません。
辞書的な活用
コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版(フィリップ・コトラー)
流れを把握する目的
グロービスMBAマーケティング
マーケティングの基本は、環境分析をしっかり行った後に、市場を自分なりに定義して(セグメンテーション)、そのセグメントの中で顧客を絞り(ターゲティング)、同じような競合との位置づけを明確にする(ポジショニング)です。そして、そのSTPを軸に商品、価格、流通、販促などの戦術を行うこと。更に、販売後の取り組みにフォーカスするためにCRMの導線をしっかりと描くことです。
加えて法人企業でマーケティングを行う場合は、法人企業特有の考えを理解することが必要です。個人は個人の目的を達成するために商品を購入しますが、法人は属している組織の目的を達成するために商品を購入します。そのためマーケティングを考える以前に、ターゲットが属している業界についての理解や組織の中の理解が大切になります。深く行う場合は、戦略や組織マネジメントなどの知識がなければ理解が難しい分野で、書籍としてもあまりまとまったモノがありません。分野が広くなるので、書いても売れないのです。もし書店で見つけることが出来たとしても、法人営業にフォーカスした内容が殆どでしょう。
法人マーケティングを理解する目的
戦略的産業財マーケティング: B2B営業成功の7つのステップ(笠原英一)
法人営業のアフターセールスの仕組みを理解する目的
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス(福田康隆)
マーケティングを実施する際に術としてITを活用します。2000年代の理屈理論は理想論でしたが、近年のスマフォやIoT等を活用してビックデータを武器として活用することでマーケティングの考え方は大きく前進しています。それでも企業が顧客のことを知りすぎるということでGAFAMあたりがデータの活用に対して制限をかける取り組みが進んでいるので、ベーシックな取り組みは自分たちで行えた方がベターでしょう。何れにせよテクノロジーのっキャッチアップは適宜学ぶ姿勢が正解だと思います。
消費者の心理をマーケティングに取り入れる視点を得る
消費者行動論―――なぜ、消費者はAではなくBを選ぶのか(平久保仲人)
顧客の購買理由からアプローチする発想
ジョブ理論(クレイトン・クリステンセン)
実践ジョブ理論(早嶋聡史)
価値について再考する一冊
リ・ポジショニング戦略(ジャック・トラウト)
高級品を理解することで日常のマーケティングの視点を得る
ラグジュアリー戦略 新のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか
(ジャン=ノエル・カプフェレ、ヴァンサン・バスティアン他)
消費財メーカーを中心に既存顧客からマーケティングする方法を学ぶ
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(西口一希)
デジタルマーケティングの基本や今後の可能性を理解する
D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (佐々木康裕)
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