職場に活かす心理学 エンゲージメント
2021年11月6日
安藤です。
「エンゲージメント」は、聞かれたことがあるかと存じます。エンゲージメントとは、ある活動に対して自ら能動的に関わり、それを楽しみに没頭している状態です。元々、労働・組織心理学として使われています。「ワーク・エンゲージメント」は、仕事の場面に特化したエンゲージメントのことです。具体的には、①仕事に誇りややりがいを感じている「熱意」、②仕事に熱心に取り組んでいる「没頭」、③仕事から活力を得て活き活きしている「活力」この三つの要因がそろっている状態を「ワーク・エンゲージメントの高い状態」と定義します。
③の没頭とは、仕事に完全に集中、没頭し、時間があっという間に過ぎ、仕事と自分自身を分離するのが困難なほど
一体感を感じることです。ワーカホリズムと違うのは、ワーカホリズムには、楽しくない、やらされ感、自己評価がマイナス、非現実的な目標設定などです。よって、上記の①~③の状態とは違います。
没頭は、フロー状態と同義語です。フローとは、「時を忘れるくらい、完全に集中して対象に入り込んでいる精神的な状態」を指しています。もう少し詳しくフロー状態を説明すると、フローとは、①活動自体が楽しく、没頭している時の意識が淀みなく流れている状態。②個人の良さや能力を伸ばし、興味や自信を成長させ、充足感を与える役割を持ち、人生を楽しく生きがいのあるものへと導く概念として提唱されています。③フローの概念は、認知科学の発展とともに「創造性や幸福感などの主観的経験の科学的研究の発展とともにその意義が十分に認識されてきています。
よって、ワーク・エンゲージメントを実現した職場では、バリバリ働くことができ、ストレスもない。個々の心身の健康度と、組織としての生産性やパフォーマンスが両立するといわれています。そういう職場は理想かと思われます。「職場の活性化」こうした職場のワーク・エンゲージメントを高めるには、トレーニングの機会やパフォーマンスに対する正当な評価といった「仕事の資源」を充実させる対策が必要になってきます。
では「仕事の資源」とは、どういうことなのでしょうか。仕事の資源は、ストレッサーやそれに起因する身体的・心理的コストを低減し、目標の達成を促進し、個人の成長や発達を促進する機能を有する物理的・社会的・組織的要因」であるといわれています。そのことは、以前もお書きしていますが、“心理的安全性”がある職場づくりにも繋がるのではないでしょうか。健康寿命の伸長、年金支給時期の後ろ倒しなどの要因により、私たちがこれからより「働く期間」が長くなってきます。1つの仕事や企業にとどまることなく、企業を移ったり、仕事が変わったりすることが多くなってくると考えられます。そのような中、個人が健康に、やりがいをもって仕事に取り組むことに繋がるワーク・エンゲージメントは、組織としても大切にしていかなくてはいけないことになると思われます。
今回は、エンゲージメント特に、ワーク・エンゲージメントについてお書きしました。これからの「組織と個人」との共生にも
繋がっていく概念です。何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
【動画】ダイバーシティ&インクルージョン研修
2021年11月4日
※本ページは、ニチレイ・ロジスティクス九州の「ダイバーシティ&インクルージョン研修」受講生向けのページです。
以下のタイトルをクリックして研修動画を視聴下さい。
PWは別途事務局より連絡があります。
第4章ダイバーシティ&インクルージョン推進に不可欠な要素と阻害要因
差別化って何ですか?
2021年11月2日
◇差別化は理解されていない?
原田です。
「差別化」という言葉は、ビジネスの世界で当たり前に使われています。一方で、差別化について具体的に説明できる人は少ないです。経営陣は現場で働く人たちへ差別化を図れと、檄を飛ばします。しかし、具体的に何を、どうやるのか不明な場合がほとんどです。
具体的な差別化の論理は、マイケル・E・ポーターの「競争優位の戦略」に説かれています。しかし、この論理をきっちりと説明している解説本や、WEBの記事を読んだことがありません。ちなみに、翻訳本の「競争優位の戦略」を読んでもわからないと思います。僕も翻訳本を読みました…が、何度この日本語を読んでも意味がわかりませんでした。こんな日本語ははじめてでした。結局、原著と並行して読みました。それで、ようやくわかりました。
◇活動のつながり < バリューチェーン >
ここでは、架空のチーズタルト製造業をモデルに差別化の根本的な論理を説明します。この企業は、厳選材料、本格製法のこだわりタルトを製造しています。
まず、差別化を通常より高い価格で販売できることと、簡単に定義します。顧客は企業が提供する製品に価値を認め高い価格を支払います。
企業は、製品という形で顧客にとっての価値を作り出します。企業は様々な活動の集合体です。下図の通り、タルト製造業の活動は分類されます。ここでは直接価値をつくる主活動のみを取り上げます。
これらの活動のつながりを「バリューチェーン」と呼びます。各活動がそれぞれの役割を担い最終的な価値をつくります。
◇活動の連結
個々の活動は、図のように連結しています。一つの活動で実行したことが、他の活動のパフォーマンスを上げる(より多くの価値をつくる)、または、コストを下げることにつながります。
製造活動で、長時間低温で焼き上げることは、製品の味わいを高めるだけではありません。販売活動で、本格製法であることをプロモーション情報として活用できます。顧客が認識する価値が高まります。結果としてマーケティングのパフォーマンスが上がります。
入荷活動で、原材料をロット単位で区分して保管することで、製造活動の作業を削減し、効率を向上させます。結果としてコストが下がります。
このように一つの活動のやり方が、他の活動へ影響を与えます。これが連結関係です。
◇社会は価値をつくる活動の集合体
社会は、最終的な顧客(消費者)へ価値をつくるための活動の集合体です。社会では企業が、一般に下図のような役割を担っています。
その役割は、下図のように活動の集合体になっています。ここではチーズ生産者、タルト製造業、小売業、そして最終消費者のつながりを描いています。
この活動の集合体のなかで、差別化は、①製品の利用、②活動のつながりという2つの原理で実現されます。
◇①製品の利用
ここでは、チーズ生産者が、どのように差別化を実現するか説明します。チーズ生産者は、顧客であるタルト製造業のパフォーマンスを上げる、または、コストを下げることで、通常よりも高い価格(プレミアム価格)を手にすることができます。
まず、図のように、製品は顧客のバリューチェーンで利用されます。そして、顧客のパフォーマンスを上げる、またはコストを下げるように影響を与えます。
品質管理されたチーズは、タルト製造業の入荷活動の検査業務を簡素化します(コストを下げる)。また、製造活動における製品のクオリティーを強化します(パフォーマンスを上げる)。形状の定まったチーズを納品することで、製造活動の効率を上げることができます(コストを下げる)。脂肪含有率の高いチーズは、販売活動のプロモーションを強化します(パフォーマンスを上げる)。
◇②活動のつながり
企業が顧客のバリューチェーンへ、影響を与えるのは製品だけではありません。企業間の活動のつながりを通して、影響を与えることができます。チーズ生産者と、タルト製造業のバリューチェーンは図のようにつながっています。
チーズ生産者の配送活動における多頻度配送は、タルト製造業者の入荷活動の在庫量を減少させます(コストを下げる)。また、チーズ生産者の生産活動における生産情報の提供は、タルト製造業の販売活動における製品開発力を向上させます(パフォーマスを上げる)。
◇差別化とは
差別化とは、製品、活動のつながりを通じて、顧客のバリューチェーン全体へ影響を与えることです。影響を与えるとは、パフォーマンスを上げる、またはコストを下げることです。結果として顧客がプレミアム価格を支払うようになります。
パフォーマンスを上げるとは、ブランド、ステイタスなど、心理的な要因もあります。またバリューチェーンは、顧客が消費者の場合は、やや複雑になります。しかし、基本は同じです。
価値は、顧客が認識しなければ価格につながりません。価値は、企業が一方的につくるものではありません。顧客が認め、お金を払ってくれて、はじめて価値になります。実務では、顧客に価値を伝え、わかってもらうとことが難しいです。
◇差別化を実現するために
まず差別化の論理が必要です。論理がなければ、検証できず、改善できず、続きません。論理だけでなく、関わる人々の理解と創意工夫が必要です。この創意工夫を引き出すのは、働く人の知識です。そのためには面倒でもバリューチェーンの「見える化」と、共有が必要です。
しかし、現実で目にするのは、「差別化」という掛け声だけで、何の論理もないことです。よくあるのが、「お客様第一」という言葉だけしかないことです。
「お客様第一」で、みんなで頑張って「差別化」する。なので高い価格で販売できる。論理がこれで完結です。「差別化」したので、次に「ノルマ」を設定する。さあ、「みんなで頑張ろう!」と…。まあ、お客様からしたら迷惑ですね。社員のモチベーションも下がります。経済的に高度に成熟化した現代社会では、「気合」と「根性」だけで「差別化」は実現できません。
一方で、バリューチェーンを「見える化」すれば、無限の差別化のやり方が見えてきます。「見える化」すれば、働く人の創意工夫を引き出すことができます。社会が複雑になるほど、差別化のやり方は増えていきます。小さな企業に多くのチャンスが生まれます。
大企業でも、びっくりするくらいこの基礎ができていません。バリューチェーンを「見える化」することで、具体的な取り組みが定まり、収益力に大きな違いを与えます。お宝は現場に、そのプロセスにたくさん埋まっています。
◇バリューチェーン解説動画
バリューチェーンについて、より詳しくgritの動画で解説しています。バリューチェーンは、基本戦略策定、業務改善、多角化、組織構築など実務でとても使えます。しかし、その基本概念を働く人たちで理解する必要があります。ご視聴いただければ、バリューチェーンとは、とても当たり前のことですが、大事な概念だということがわかります。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
企業が求めるコミュニケーション能力とは
2021年11月1日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は「企業が求めるコミュニケーション能力とは」というテーマでお届けします。
内閣府の調査によると、企業が新入社員を採用する時にどのような人物を求めているかというと、「コミュニケーション能力が高い」人を最も重視するという結果が出ていました。(出典:内閣府 学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査)
コミュニケーション能力を求めるというのは、実感として当然だと思いますが、その背景を見てみましょう。
「マネジメントの父」ピーター・F・ドラッカーは
「知識労働者は自分の貢献を利用してくれる組織があって、はじめて成果をあげることができる」
(出典:P・F・ドラッカー著「プロフェッショナルの条件」)
「専門家にとってはコミュニケーションが問題である。自らのアウトプットが他の者のインプットにならないかぎり、成果があがらない。」
(出典:P・F・ドラッカー著「マネジメント」)
と言っています。
現在の高度な社会では、労働者はみな知識労働者となり、ますます仕事やスキルが専門化していきます。そうなると、必然的に仕事は分業制になり「専門家同士の協力」なくして成果をあげることはできなくなります。そこで協力するためにはコミュニケーション能力が必要というわけです。
例えば、プログラマーの仕事を考えると、自分が作っているのは大きなプログラムの中のある一部分になるでしょう。自分の前に作られたモノを受け取り、自分がさらに付け加え、次の人にその成果物を送る。その際、前の人が行った作業を前提として理解した上で、自分が作業を行い、そして自分の行った作業の意図を次の人に理会してもらえるように伝え、上手く活用してもらわなければ最終的な成果に結びつきません。この一連の業務プロセスが、まさにコミュニケーションです。
よって、知識労働者はその知的能力だけでなく、自分の能力を使ってもらう、もしくは他のメンバーの能力を活かすなど、やり取りを上手にできるコミュニケーション能力が求められるのです。
学生時代に求められるコミュニケーションと言えば、「一緒にいて楽しい」「みんなを盛り上げる」といったことでしょうか。しかし企業が求めるコミュニケーションはズバリ「一緒に仕事して成果が出る」ということです。
またドラッカーはコミュニケーションについて4つの基本も述べています。すなわち、コミュニケーションとは、「知覚であり」「期待であり」「要求であり」「情報ではない」です。
「知覚であり」とは、誰も聞かなければ音はない、つまり聞いてくれる受け手に向けて相手が分かる言葉遣い、理解できるレベルでコミュニケーションしなければ成り立たないということです。
「期待であり」とは、誰も自分の知りたいこと、聞きたいことしか聞かないということです。逆に言うと、相手の関心あることでなければコミュニケーションできないということです。
「要求であり」とは、受け手に何かを要求する、つまり何かになること、何かをするということです。コミュニケーションによって、何かを得ようとするということです。
「情報ではない」とは、情報(論理)だけでは伝わらないということです。最も伝わるのは、感情であり、挫折や栄光の感動物語であることは、皆が経験していることでしょう。
次回はこれらの知識を踏まえ、ビジネスにおけるコミュニケーション能力をいかに磨くかということをお伝えします。
営業プロセス、顧客満足、人材育成、セールスコーチなどをお考えの経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
店舗から本部が集客機能にシフトしよう!(店舗事業2)
2021年10月30日
早嶋です。
時代が変わりました。従来は、顧客とコンタクトをとり、顧客情報を管理するコストが高く、店舗系ビジネスはその管理や集客を店舗に一任していました。しかし今は高校生が簡単にプログラムした程度で顧客を管理するアプリやライン等のツールを使って顧客とダイレクトにコミュニケーションできる仕組みがあります。それも企業の金額感からすると随分と安価です。それなのに、100店舗前後の店舗ビジネスを運営する本部は今でも店長任せ、スーパーバイザ任せの集客です。Webやデジタルマーケティングを本部が行い、店舗は来客の対応に徹するといのが構築できる時代になっているにもかかわらずです。
提言です。店舗の顧客管理の仕組みをゼロベースで刷新し、1年間でデータを集め直し、そのデータを利用して100店舗の店長が100通りの集客をするのではなく、本部が責任を持ってデータを分析してここにフォローする仕組みを作る。というのがスマートです。Webと顧客IDとGPSとライン等のコミュニケーションツールを使って、顧客の来店状況、商品の活用状況から適宜適切なマーケティング策を考えて本部がダイレクトに顧客にアプローチするのです。顧客のデータを取るなどの活動も店長が積極的にしなければ出来ない従来の発想を捨て、サービス利用時にレジで会計をする時に自然とデータが収集する仕組みに切り替えます。店長は、その日に来店する顧客のデータが事前にわかり、重要顧客に対しては、どのような接客をすると良いのかを毎朝仲間とミーティングして日々の接客サービスに没頭する仕組みに切り替えるのです。そして、その実現も実は難しくないのです。
現状の落とし穴はパッチワーク的に動いているITシステムです。複数のベンダーが部門最適で仕組みを入れており、しかも連動していない。そのためデータを駆使してなにかしようにも、データの整理や連携を店頭で行わなければなりません。無駄な時間がかかり結果的に目の前のお客様の接客サービスに没頭するという極めて正しい行いになるため、データ活用がすすまないのが現状です。
本部はそのような仕組みを一度捨てて、サンクコストとして処理してください。両利きの経営では無いですが、創造する。維持する。だけでは企業は伸びず、破壊するという行為を行わねければ刷新はできないのです。
上記の取組とともに実現すべきは組織の改造です。従来は顧客の動向は店舗でしか判断できなかったので店長がいて、スーパーバイザがいました。しかしDX化して現場のデータを本部で吸い上げるようにすれば、基本100店舗の店長は皆スタッフで良く、指示はダイレクトに本部から行えるようになります。そのため店長が不要になるか、スーパーバイザが不要になるか、あるいは両方が不要になります。
店長として成績を上げていた数名、現場で長年キャリアを積んで様々な取組をした社員数名。実質的な仕事が出来ているスーパーバイザ数名を本部に集めます。そしてITと経営のことを理解している責任者は、仕組みを構築しながら、彼ら彼女らの話を取り入れて実質的に現場で使える仕組みを構築します。
店舗ビジネスで良く観察できる失敗事例は、本部スタッフのインテリが現場の経験がなく、勝手にシステムを構築することです。そのため現場からは不平や不満が出まくる。更にシステムを一気に完成させようとする発想を持っています。どうではなく、全体の構想を明らかにしながらも、現場の困りごとを解決し、自社の方向性に進むような仕組みを上記の選抜チームとともに仕様をつくり現場でテストしてを1年の中に数回繰り返し、その後に一気に展開させるという発想で仕組みを構築していくのです。その後も、顧客のデータや店舗の売上推移をみながら適宜自動化できる分はIT担当に任せ、現場でしか出来ない接客サービスを特定して、そこに社員の資源を投下する発想をもつのです。
ぜひ、15年以上の歴史を持つ店舗ビジネスの経営者、スーパーバイザ、店長は昨今のD2Cの事業ケースを10社分くらい研究すべきです。基本的には店舗は集客せずに、本部がITを活用してデジタルで集客をする。リピート等の仕組みは店長とデジタルツールで顧客を管理していく。店長は店の売上に責任を持つのではなく顧客の推奨度や満足度と言った指標で管理をして、店長の評価は売上ではなく店舗スタッフの成長や行動に対して評価をします。昔と違って店舗がコンタクトポイントとなり別の店舗で売上が発生したり、Webで売上が発生するからです。店舗売上で店長を管理した瞬間から店長は部門最適になります。そのため参入が浅いD2C企業は、はじめから店長に収益責任を持たせないのです。
対前年比管理を見直して見よう!(店舗事業1)
2021年10月29日
早嶋です。
成長している時期、特に店舗ビジネスなど、毎日同じ行動の結果、ある程度の成果が出る手の商売は、対前年比管理を当たり前のように実施していました。しかし、業績が下がっている昨今、その手法を見直すことをおすすめします。
その理由は、以下のような分析を行ってから考えて見てください。例えば、直近の成績から5年位のスパンで管理会計区分の売上で大きな単位でその推移を見てみます。売上=A商品郡+B商品郡+C商品郡=α事業部+β事業部+γ事業部=X店舗+Y店舗+Z店舗などが管理会計区分での売上になります。
日本経済の特徴として1996年頃を堺に殆どの業界がステイか下り坂です。そのため5年程度の推移を見れば、明らかに業績が激減していることが見えるでしょう。意外なことに、こと店舗ビジネスにおいて、店長は昨対比か昨月費の数字しか見ていないので、経営トップが言っている業績の激減や環境変化について「体感」していません。毎年、あるいは毎月、少しづつ下がっているイメージはあるものの、数字を比較する上では、あまり変化が見えないのです。
これは実は店長を管轄するスーパーバイザに対しても同じです。彼ら彼女らもまた短期的な店舗の業績に追われ自身の給与を管理されているためその日の売上に一喜一憂するため数年スパンの傾向値など見向きもしません。その結果、本部と店舗(現場)では、危機感の感情がかなり異なっています。
そこで上述したグラフの作成です。できれば、デジタルのこの時代、敢えてアナログで店長を集めて、5年分の数字を持参させ、あるいは提供してグラフを描いてもらうことが効果的です。もちろんエクセルでもOKです。すると改めて数字が激減していることを直視します。
例えば100店舗ある企業が同様のことをした場合、店舗によっても特徴が出てきます。その場合は、なぜA:伸びている店舗があるのか。B:なぜ変わらない店舗があるのか。C:なぜ減少している店舗があるのか。の3つに分けて店長同士ブレストさせます。これをエリアごと、管理会計上の商品郡ごとなど、いくつかの種類に分けて、その稽古うちをA、B、Cに分けてブレストさせます。日々目の前の経営に直面している店長、スーパーバイザに取って何気ないことがどんどんフラッシュバックして、思い当たるフシがどんどん言語化されます。
その上で、本部は本部の方針を示し、新たな事業を行う意義や、管理会計上の主力商品の資源バランスを変えることなどを再度説明するのです。
対月対年管理をしている店舗ビジネスの本部が、突然方向変換の理由を説明して、現場に落とし込もうとしても現場に変化が置きない理由は、店舗に全くの危機意識も危機感も無いことに由来するのです。本部が焦っても、現場が動かなければ経営にインパクトが無いのが店舗ビジネスです。
DX化の呪文の奥に潜む現場の弊害
2021年10月25日
早嶋です。
一度でもデータをいじった経験があれば、かんたんにDX化が進まないことがわかると思います。そもそもアナログで最適化出来ていない企業がデジタルで最適化できるはずが無いのです。DX化は企業の仕組みをゼロリセットし、デジタル化に最適な指揮命令系統や組織、管理の仕方や評価など、まるっとするっと変える勇気と覚悟があっても結構大変だからです。したがって、DX化を実現できたら、そこには必ず組織の変革があり、新たな未来が見えるかもしれないのです。
DX化関門の1つ目はデータそのものです。多くの経営者は社内にはデータが溢れているから、「それらを活用して売上や利益を上げれるだろう。」なんて簡単に妄想します。が、間違いなく不可能です。そもそも偏在しているデータがいくら豊富にあっても、それらは活用出来ないのです。編集等手を加えない限り。
いわゆるデータの不備ですが、部門が異なる毎にデータの管理の仕方が異なったり、同じデータでも機能毎に意味が微妙に異なっていたり、全体としてルールがあっても現場レベルでローカルルールが正常運転している場合など様々です。データを分析する前に、それらのデータを使えるレベルにする必要がまずあるのです。
例えば、管理の仕方です。ある部門では大人を18歳と認識し、ある部門では大人を20歳と認識する。部門を統合してデータを分析しても大人の概念が異なり、統合したデータが無意味になります。例えば、定義の違いです。売上のタイミングをある部門では発生ベースで認識し、ある部門では入金ベースで管理します。2つの部門の売上を統合した結果の売上は何を意味するのか不明です。これらは全て全体最適で管理されず各々部門最適に動いてきた過去の弊害なのです。
データ統合の際に意味があるデータに修正する作業はクレンジングと称されます。じみーに大変であることが想像できると思います。当然、不足するデータに対しては新たに取得するルールを設けて収集することなども考える必要があります。これらのニュアンスが想像できない人は、既にデジタル化以前に近年の思考についていけない弊害です。断定しても良いですが、早く代替わりしたほうが良いのです。
上記のようなことが小さな会社でも発生しているのですから、組織再編する企業規模や、毎年のようにM&Aを繰り返して規模拡大している企業はデータのクレンジング作業がいつまでたっても終わりません。そのため企業によっては過去のデータに見切りを付けて、新たに収集したデータでDX化を実現させる企業もあると思います。
当然、データが集まっても、それらを解析し実行する部隊が必要です。2つ目のDX化の関門は人材です。企業において高々にDXを推進すると言いながら、毎年同じ人事戦略で、毎年同じルートで新卒採用を進めています。中途も代替同じような感じです。スペックをあまり決めずに集めています。そう、「その人材を獲得してもDX化なんて幻ですよ!」と助言したいくらいです。
もちろん初めは外部の専門家に頼んでデータの収集や社内データのクレンジングをすすめるでしょうが、その作業はDX化を宣言したら永続します。そのため社内でその取組ができる人材を内製化しなければ、いつまで経っても経費がかさむばかりです。データが揃って集まる仕組みが出来ても、分析するにもノウハウと経験の積み重ねが必要です。いわゆるデータサイエンティストの教育か、その確保が必須になります。
例えば、イメージして見てください。データ分析だけできる人材に、「このデータを適当に分析してなにか法則を見つけてみて?」と言っても100%当たり前の分析結果しかでてこないと思います。出てきたとしても、すごい工数をかけて「売上の80%を上位20%の顧客で賄っています!」なんて当たり前のコトを連発されて終わりです。そう、データを分析するためにはその業界やその事業の中身に対してある程度課題感と仮説構築を行いながら分析しなければ、鋭いインサイトなんて生まれないのです。
そのため成功している企業は、ある程度経営分析ができる社員や、現場の経験がある筋の良い社員にデータ分析のスキルとツールの使い方を教育しています。一定のキャリアを積み、ある程度分析に理解のある人材に対して課題提言を行わせ、データ分析の得意な専門家とタッグを組むなどしてデータの分析と活用を補完するのです。少なくとも事業がわかる人材がデータ分析の基本を持っていれば、外部に分析そのものの仕事を丸投げしてもある程度辺りを付けて指示をするので、「当たり前の結果」に高額の外注費を支払うリスクは低減されます。
とここまで見てくると、基本的に、色々器用にこなす人材に仕事が集中し、その人材がヘトヘトになるまで働く結果、疲弊していくというのが関の山なのです。経営者としては、そのメインディッシュ級の人材が仕事ができるように、必要なスペックの人材を適宜あてがうコトをしなければ、既存の取組に対しても逆効果になることを理解したほうが良いのです。
とここまで議論をすると、これがたまたまDX化というスローガンであって、過去からのイノベーションや新規事業などと唱え、全て同じサイクルで結局何も出来ていない企業がみんな連呼しているのがDX化じゃないかと。私はそのように滑稽に見てしまっています。もちろん、仕組みを作ってガンガン成果を出すお手伝いもしていますが、覚悟が双方に必要です。それが出来ない仕組みは極めて滑稽に感じます。
【動画】21年度異業種交流型・武者修行研修・リーダー版向け
2021年10月24日
本ページは、2021年度異業種交流型・リーダー版武者修行研修・受講者向けのページです。
セッション3(Day4)受講の事前課題
事後課題として、セッション2で議論した(強み)✕(社会課題)のアイデアをブラッシュアップして下さい。その際、1)ビジネス・モデル・キャンパスの視点を再び議論して深堀りしてください。また、その際に、2)MVPを作成して、実際の消費者や対象層にヒアリングを行ってください。サンプル数はできる範囲で結構です。セッション3では、各チーム25分の持ち時間の中で10分から15分程度、プレゼンして頂きます。3)各チームでプレゼン資料を整理してください。
1)ビジネスモデルキャンパスのブラッシュアップ
2)MVPの作成とMVPを活用した調査
3)セッション3のプレゼン発表資料の準備
上記をすすめる当たり、プレゼンテーションの基礎の動画を参照ください。
プレゼンテーションの基礎 概要編
プレゼンテーションの基礎 プレゼンテーションの流れ編
プレゼンテーションの基礎 準備編
プレゼンテーションの基礎 コンテンツ編
プレゼンテーションの基礎 デリバリー編
また、セッション2のリーダーシップの学びを深める目的で、以下のリーダーシップの基礎の動画を見て振り返りに活用ください。
動画視聴のパスワードは各社事務局の指示に従って下さい。
セッション2(Day2&Day3)受講の事前課題
事後課題として、別途事務局から連絡があった通り、1)ピクト図の作成、2)登場人物の整理と調査を各チームで整理、を行って下さい。なお、1)と2)を行う際に、以下の動画を視聴下さい。参考になります。
「新規事業10億ビジネスを創造」
こちらの動画では、ビジネスモデルキャンパスの考え方を理解ください。内容は10億の事業を創造するとしたら、どのようなコトを考える必要があるかについて整理しています。Day2、Day3の議論で売上と費用を考える際のヒントになります。
「デザイン思考の基礎 試作フェーズ」
こちらの動画はデザイン思考の基礎の4本目の動画です。試作のフェーズについて解説しています。皆さんが議論したビジネスモデルを早い段階で確かめる際に、MVPの作成やテストマーケティングを実施して頂きます。その際のヒントになります。
動画視聴のパスワードは各社事務局の指示に従って下さい。
セッション1(Day1)受講の事前課題
受講者は、事前課題を準備して、第1回目(21年9月16日)のワークショップ(オンライン)へ参加ください。
1)「自己紹介シート」の作成
参加者同士の理解を深める目的で、各自自己紹介シートを作成ください。テンプレートは各社事務局の指示に従って下さい。
2)事前課題「社会課題から事業チャンスの抽出」
現時点でご自身が注目する社会的な問題やそれに関連したテーマで事業チャンスを整理して下さい(A4用紙1枚程度、フォーマットは自由)。
例)マイクロプラスチックについて
現在、マイクロプラスチックは年間●トンの規模で海洋に放出され、その影響により、・・・・・。ここに対して●●の取組を活用することで●●の事業チャンスがあると考えます。
3)事前課題「動画視聴」
「新規ビジネス創造の前に考えること(約35分)」
「新規事業創造の考え方(約40分)」
「環境分析の考え方(約35分)」
動画視聴のパスワードは各社事務局の指示に従って下さい。
新規の方向性を決めるのはトップの仕事
2021年10月21日
早嶋です。
生産性が悪い企業、変化しない企業、成熟事業がピークを迎え新たな事業を創造しなければならないが行動を起こさない企業。トップはスローガンのように「新規事業」「イノベーション」「DXの活用」などを掲げる。が、現場では「またか・・・」という声が聞こえてきます。
そもそも、成熟し次の事業を生み出す場合、現場に新規事業のネタを求めるのはNGだと思います。トップが中心となり、次の事業の方向性を議論して戦略を示すべきなのです。そもそも現場は全体を見る力を持たないし、仮に見れたとしても意思決定なんて出来ません。そのためいかなる新規事業も基本はトップがフルに関与しなければならないと思うのです。
よくある風景としては、若手社員やベテラン社員を集めて新記事業を起こすワークショップを開催して方向性を決める取組です。体裁は教育目的で、新規立案を研修材料に取り入れ、自由闊達な議論をさせ、最終的に役員などのトッププレゼンを折り込みます。そのアイデアいいね、となっても役員一同、誰も行動を起こしません。社長もその話を聞いていても、実際の計画に織り込むことは有りません。そうなると、何のための若手のワークショップだったの?となり。不信感が募るばかりです。
あたかも自分たちの保守のために、本当は変わらないと思っても、もうすぐ定年だから、コトを大きくしたくない。と思うのでしょうか。だったら、早いところ引退して役割を若いマネジメントに託すべきではないでしょうか。
理系の大学2年生の就職不安に対して
2021年10月13日
早嶋です。
日本の理系の大学2年生に対して。就職をなんとなく不安に思っているのであれば、次のような取組をしてみるのはどうでしょう。
前提として、今後の社会は、自分の頭で問いを立て、その解決策を自分なりに提案し、実践する人材を欲します。ITや皆さんが学業で学ぶ科目は、上記を表現するための言語や思考でふわふわしたものをスッキリ明快に他の人がみてもわかるようにするツールです。
更に、言えば、自分が何をしたいなんて、多分30になっても40になってもわからないから、自分がやりたいコトを見つけた時にできる能力と時間と財力を身に着けていることが大切だと思います。そのため就職は単なるスタートで究極、いつでも修正することが可能です。そのために悩むよりは、今の学業生活をうんと楽しみ、活用することに専念してみてください。
ということでやってみると良いと思うことの1つ目。理系の大学生は、研究室に配属され、その研究室の教授が企業の就職の推薦枠を持っています。そのため研究室を選ぶ前に過去の先輩方がどこに就職しているかを確認することをおすすめします。大学の業務課などに聞いたらたいていは教えてくれるはずです。そして、その中からピンときた研究室を選べるようにすると良いでしょう。
2つ目。ということは、自分で研究室を選べる立場になっておくことが大切です。研究室は2年生の終わり頃から選択しますが、基本は成績順で決められます。流れとしては、自由に生徒が選び、希望が多い研究室は、その学生の中で上位の成績順で選択されます。そのため、日頃から大学の勉強をして、テストで良い点数を取っておけば、選択する際に優位な立場になれます。理系の学生は、特に日本において真面目に勉強するのが少ないですので、当たり前に学問に励めば難しいことではありません。
3つ目。今はcovit-19の関連で海外や国内など自由に旅行に行けないでしょうが、できるだけ大学生のうちに、行ける場所は色々足を運んでみることをおすすめします。今はスマフォでかんたんにそのエリアの情報が獲得できるので行ったつもりになる人も多いと思いますが、1次情報ってやっぱりパワーがあります。企業に就職しても、この習慣がない人は、机上で全てを考え、計画通り行くことを当たり前としますが、学生の時に色々経験を積んで於けば、うまくいかないコトを前提に考えはじめます。これは良い習慣です。
4つ目。大学生って、付き合う友達が偏りがちだけど、できるだけいろいろな価値観の人間と触れ、長い間関係を構築することをおすすめします。そのためには、自分の居心地の良いグループ以外に、部活の仲間、趣味の仲間、留学生の仲間、バイトの仲間、等々、意図的にジャンルが違うグループを5つくらい見つけて、定期的に異なるグループとコミュニケーションを取り続けることです。様々な視点を持つことで、自分が将来新たな問いを立てる際や意思決定をする際に役立ちます。
5つ目。理系の学生は1年生、2年生は必須科目が多くて、選択科目を取る余裕が無いと思いますが、できるだけ専門外の科目も履修すること。だって、そこに教えに来ている先生って、普通にすごい人で、その時間、ほぼほぼ独占して学びを得ることができるからです。関係の無い知識が増えれば、新たな問や新たな興味が泉の如く湧いてきます。また、そこで教えている先生とのネットワークは、更に異なるグループへと発展して人脈がガンガン広がります。
どうもがいてもcovit-19は1年は続くでしょう。すると皆さんは3年生。その際に、能動的に動くことをしていない学生は、そのまま残念が学生生活を過ごすことでしょう。そして、全てにおいてcovit-19のせいにするでしょう。でも世の中同じ環境にいて逆境を乗り切れる人間とそうで無い人間に必ず分かれます。後者の人間になるために、ぜひぜひ、上記の5つの一つでも取り組んでみてください。
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