電力が「や・ば・い」
2022年8月3日
◇DXへ3つの不足
原田です。
DXにWEB3、ますます高度な情報化社会へ拍車がかかっています。こうしたなか、その実現を妨げる3つの不足があります。それは「人材」、「半導体」、そして「電力」です。これからどうも「電力」がやばそうです。
人材に関しては特にAI関連の人材が不足しています。大手企業はリスキリングに力を入れています。新聞やビジネス誌の記事を読むと、かなり手厚い待遇です。給料をもらいながら、最新の知識を存分に勉強できるなんて、しかもその知識を使える場所があるなんてうらやましい限りです。AI人材は世界で引っ張りだこで、多く若い人たちがこの分野へ進んでいます。さらに中高年への教育体制も整備されています。ある程度、不足感は減っていくかなと思います。
半導体は現在あらゆる機器に組み込まれています。それもプログラムを実行するだけの単純なものでなく、高性能、小型化、低電力消費、高耐久性が求められます。半導体不足の原因は実に様々要因が複合的にからみあっています。コロナ禍によるリモートワークの進展も大きな一つの要因だっと思います。それでも半導体は需要があれば、供給が増えるので、いずれは解消されると思います。
そしてこれから本格化するのが電力の不足です。日経ビジネスの記事で、国立情報科学研究所の教授が「5年ほどしたら、動画配信やメタバースに制限がかかる可能性がある」と警報を鳴らしていました。これまでのように、思う存分に動画を観たり、ゲームで遊んだりできなくなるかもしれません。当然、仕事にも影響はあるでしょう。
◇増加する電力消費
現在、ウクライナ情勢の影響もあり世界的にエネルギー価格が高騰しています。日本でも冬にはかなりの電力不足になりそうです。世界的にカーボンニュートラルへの取り組みが進むなかで、昔のように化石燃料には頼れません。だからといって日本の場合、原子力発電の割合を高めるのも、議論がまとまらないような気がします。
このような背景のなかで、我々が使う一人当たりの電力は年々急激に上昇していると思います。思いますというのは正確なデータを測ることができないからです。
スマホで映画を観るとき、消費する電力はスマホのバッテリーだけではありません。大量のデータを処理するために、ネットワークの向こうでは、様々な通信機器、そして巨大なデータセンターにある高性能のコンピューターが稼働しています。こうして考えると我々が実際に必要とする電力はかなりのものになると思います。
科学技術振興機構は、2021年の発表で、ICT関連の消費電力の著しい増加を予測しています。30年までに、データセンターで6.4倍、ネットワークで4倍に増加するそうです(18年と比較)。インターネットのトラフィックも年率20%を超えて増加しています。その半分は動画配信です。当然、その割合が高いのは、みんなが大好きな「YouTube」と「ネットフィリックス」です。
◇スケールが違うビットコインの電力消費
さらに、すごいのが、ビットコインのマイニングの消費電力です。ビットコインの仕組みがわからないとピントこないかもしれません。ビットコインでは、複数の民間の事業者がマイニングという作業を行います。このマイニングを行う事業者は営利を目的とし、高性能をコンピューターを所有しています。このコンピューターの電力消費も半端ないのです。
ここで突然、中央アジアのカザフスタン共和国が出てきます。カザフスタンは、ビットコインのマイニングに国家として協力的で、電力も安いため、マイニングを行う会社が集まっています。中国でマイニングを禁止された会社も相次ぎ流入しています。結果として世界第2位のマイニング電力消費国家となりました。電力消費の増加率が21年は8%という以上な伸びでした。カザフスタンでは原子力発電の新設を検討し始めているということです。
仮想通貨はビットコイン意外にも、様々な種類のものが出てきています。その基盤となるブロックチェーン技術は、これからのWEB3の時代へ向けてより多くの分野、用途で使われることが想定されます。
ますます使われる電子機器が高性能になり、使われるデータが増加し、消費する電力も増加していきます。こうした背景の中で、化石燃料には頼れず、簡単に原子力も使えないのです。カーボンニュートラルへの取り組みもまったなしです。本当にいったいどうするのか、だれか真剣に考えているのかなーと思います。
◇来たるべき電力不足に向けて
これまで多くの企業ではDX化に向けて、人材、半導体の不足に悩まされてきました。それが近い将来、慢性的な電力不足に悩まされることになりそうです。
ではどうすればいいのか?大企業であれば再生可能エネルギーを使った発電設備を建設すればいいかもしれません。でもそこまでの投資ができるのは、世界でもごくわずかの企業です。中小企業は手の内ようがないのでしょうか?
電力不足への対策は、時短とリモートです。短い勤務時間でも生産性が上がる仕組みを作ること、そしてリモートを進めることです。電力不足が深刻化すると、夜間の電力消費に制限がかかると思います。これまでのように夜遅くまでみんなで集まって働くことは難しくなると思います。コロナ禍の行動制限がなくなったあとには、電力不足による行動制限があるかもしれません。
時短とリモートは地味な取り組みですが、他に決定的な方法はありません。でもこの2つをうまく取り入れれば、企業の生産性は向上します。たとえ深刻な電力不足が起こらなくても、その取り組みは企業のメリットになります。電力不足が本格化する前に、本気で取り組む必要がありそうです。
新規事業の旅 その11 未だメーカーと称す危険性
2022年8月3日
早嶋です。
前回、NBとPBで顧客接点を持つ販売店やECサイトが力を増し、上流工程のNBを保持するメーカーに対して自社のPBの製造依頼をする小売業が強くなり、立場が逆転する話を書きました。今回は、この取組を法人ビジネスに当てはめてみます。同じことが言えるのです。
(エンドの声が聞こえないメーカー)
まず、メーカーの成り立ちを考えてみます。メーカーですから、社会課題に対して何らかの解決策を商品(製品・サービス・技術)で解決する事を考えます。そのため起業するメンバの多くが商品を企画して実際に形にするチームです、いわゆる技術屋さん、モノづくりを主体とするチームです。当然、企画立案したアイデアが直ぐに形になることは無いので、思考錯誤をしながら商品開発を進めます。
起業したチームは潤沢な資金があるわけではないので、常に資金繰りに奔走します。商品化は時間がかかり集めたお金も瞬時になくなる。そのような産みの苦しみが常に続きます。そして漸く商品が完成しても、売れません。商品化に力点を起き、マーケティングして顧客にアプローチすることを考えていないからです。社長がたまたまトップセールスができれば良いですが、その力が無い場合は、売ることが得意そうな企業に販売をいたくします。早く商品を販売してキャッシュを稼ぎたいのです。
とここまで考えてみると、メーカーはモノづくりをするこに力点を置く。販売やその後のフォローは時系列で考えるとだいぶ後の取り組みなので、初めから考えません。実際は、考えてスタートしていると思いますが、商品化がうまくいかず、時間がかかってしまい、キャッシュフローが途絶えて資金繰りが苦しくなると、兎に角商品化に資金をつぎ込み、販売やその後のフォローなどを考える余裕がなくなるのです。
そのため世の中には販社や代理店が沢山存在しているのでしょう。昔は、商品を企画して製造する上流工程が力を持っていました。市場が商品を欲しており、商品を出すと売れたからです。しかし、今はあらゆるものが充足しているため、そんじょそこらのイノベーションでのひねり出さない限り大変です。まず売れません。そのため徐々に販売やマーケティングが強い会社が事業の主流のようになり、メーカーの販売をサポートしていました。そしてスマフォが普及して、皆がSNSで気軽に連絡を取れる昨今、顧客との関係性が強い企業が強くなるのです。
(メンテナンスが強くなる)
法人企業も同様に観察できます。メーカーは、研究と開発が仕事の花形でした。従い、営業や商品のインストールといった現場に近い、顧客に近い仕事はどちらかと言えば、入社成績が低い方々が行く場所。という雰囲気がありました。少なくとも20年頃前は。現場は現場で、いつもインストール納期に追われるので、現場に収めて設置、あるいは機器の立ち上がりが確認できたら次の現場にむかいます。そのため、現場で実際のメーカーの商品が使われている状況を誰も管理していなかったのです。これも20年前。そこに、ようやくIoTやネットワークの技術が出てきた頃に、現場での使徒を監視することが最も価値のある取り組みだ。となるのです。
当然、横河電機やキーエンスのように、現場がすごく重要で、現場でのデータの蓄積を上流工程の研究や開発に活用することが将来の収益を生むことにつながる。という法定式を昔から大切にしている企業は、現場も自分たちの資本参加でフォローを続けます。しかし一般のメーカーはメンテナンス部隊は、地域の販社や下請け会社に委託して相変わらずものを開発しては売ることに精をだしました。
現場では、サイトやプラントを管理する責任者は2年から3年置きに責任者が変わります。メーカーが商品をインストールした数年は、メーカーマターでも定期点検でその商品の稼働状況を把握していましたが、時々現場の担当者が変わるたびに、徐々にメーカー指定の保守メンテナンスの関わりが薄くなり、自分たちで独自に管理するようになるのです。というのも現場の管理者は数年で現場を変わることが多く、そのために評価されるには、日常のメンテナンスコストをいかに安くするか?という極めて短期的な取組でしか考えなかったからです。その結果、現場サイトにどの商品が、どのような理由でインストールしているかを把握している人が極めて少なくなるのです。
しかし、現場ではトラブルがつきものです。現場のメンテナンスを引き受けている会社や地場の企業は、特定のメーカーのメンテナンス知識だけを持ってしてもトラブル解決はできません。そのため時間をかけてどのメーカーの商品がどのメーカーとコミュニケーションを行いながら、どの程度使われているかを体系化して蓄積していくのです。
そして、近年。ここに活路を見出したメンテンス企業は、施設のオーナーに対して、資産を最大限活用するためのアドバイスを現場の責任者ではなく、プラントの専任者、あるいは事業の責任者に対して提案するようになります。これまで断片的にしか現場の資産を把握していなかった事業の責任者は、プラントまるごとの運営ノウハウと知見を持っているメンテナンス屋さんの声は非常に合理的にうつるのす。
そして小売業よろしく、顧客データを握ったAmazonが上流工程に繰り出すように、B2Bの現場においても、メンテンス企業が上流工程のビジネスモデルを研究して、より良いソリューションを提案することができるようになるのです。これを40年前から行っている企業はキーエンスで、2,000億の売上に対して1,200億の利益を稼ぐ理由でしょう。
(データを取得できる技と経験)
現場が今後強くなる。メンテンスを行っている企業からすると嬉しいが、すべての現場やメンテナンス企業に当てはまるとは限りません。大事なことはまず、自分の仕事を完全に把握していることです。そしてクライアントから言われたこと以外に、相手の仕事内容を理解して、その上で相手のメリットを考える視点と行動を常に行うことが大切です。
例えば、メンテナンス企業といっても千差万別です。委託先のメーカーに、この部品をこのルール通り交換して。という指示をマニュアル通りに受けこなす企業は、常にメーカーからいくらで交換してという価格交渉にさらされます。この仕事にも一定の技術は必要ですが、ある程度の人材が経験を積めば誰でもできる仕事です。そのため競争する相手は一定数いるので、需給バランスやパワーバランスによってクライアントからの言い値を受けるしかありません。
今後、力を発揮する企業は、「なんで、この部品を交換する必要があるのか?」と考え、「この部品を活用している機構はどのような目的で、どのような運転をしているのだろうか?」とか、「プラントや設備はどのような人がどのような理由で経営しているのだろうか?」とか、その仕事の上流工程の取組や自分たちの仕事の下流工程の取組を理解しようとしている組織は、「だったらここまで我々が行うことで、上流工程の企業はもっとココに資源を集中できるのではないか?」「だったらそれらを提案しながら我々も価格交渉をしよう」と考える組織です。
現場や顧客接点に近い組織に価値がますということは、普段の取組から意識するだけではお金になりません。そのデータを集めて、分析して、それらをしかるべき相手に提案して納得いただいて、はじめて価値になるのです。しかし、そのような視点で取組提案ができる組織は、小売のAmazonのように顧客接点を基軸に上流工程のメーカーよりも力をます。ということも可能になるかもしれません。
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
【動画】新任グループ長研修 2022年(NPC様向け)
2022年7月28日
本ページは西日本プラント工業様向けのページです。
新任グループ長研修にご参加の方は、以下の動画を視聴してご参加下さい。
Day1(8月26日)
Day1開催までに、以下の2本の動画を視聴下さい。動画はマネジメントの基礎(全6本)から抜粋して2本を選んでいます。当日の研修までに、新任グループ長として抑えておくべきマネジメントの基本的な考え方と、NPCを取り巻く経営環境における不確実な世の中への対応について整理しています。Day1の研修では、動画の内容を踏まえて、「自社の状況把握と経営マインドの養成」というタイトルで様々な視点から議論を行います。
マネジメントの基礎 概要(約17分)
マネジメントの基礎 不確実への対応(約30分)
Day2(11月25)
Day1の内容を受けて、各自アクションプランシートを作成して下さい。西日本プラント工業の5カ年計画を見据え、グループ長として直近1年間で実現する目標・ビジョンを具体的にした後、それらを達成するための6ヶ月先をイメージする。そして、直近の6ヶ月の行動プランを策定してください。行動プランは、実際に9月、10月、11月を実施した上で、Day2の研修に参加下さい。行動プランを作成するにあたり、以下のマネジメントの基礎の方向性、行動、能力、リーダーシップを参考下さい。
マネジメントの基礎 方向性
マネジメントの基礎 行動
マネジメントの基礎 能力
マネジメントの基礎 リーダーシップ
なお、「在りたい姿」と「現状のギャップ(問題)」から「課題」を見出して「解決策」を考える手法の補足説明が必要な方は、以下の問題解決の基礎を参考下さい。こちらの視聴は任意です。
問題解決の基礎 概論(10分)
問題解決の基礎 問題(11分)
問題解決の基礎 課題(14分)
問題解決の基礎 解決策(11分)
問題解決の基礎 計画と実行(7分)
【動画】アイチャレンジ・ワークショップ
2022年7月20日
本ページは、九電総研アイチャレンジ・ワークショップ向けのページです。
(4回目)
4回目の研究会は、8月8日に開催します。当日までに、現在のアイデアを、ピクト図とビジネスモデルキャンパス(BMC)に整理して持参下さい。研究会当日に、1回目と同様に講師がリードしながら内容の深堀りや発散を行います。
なお、以下の動画を事前学習の参考としてご視聴下さい。パスワードについては別途事務局の指示に従って下さい。
デザイン思考の基礎_観察(約26分)
こちらはデザイン思考の動画(全4本)の内、観察フェーズについて具体的な取組みや考え方について説明しています。
デザイン思考の基礎_試作(約17分)
こちらはデザイン思考の動画(全4本)の内、試作フェーズについて目的や取組み方について事例を交えて説明しています。
アイチャレンジでアイデアを創発してピクト図やBMCで議論をしながら、MVP(アイデアのたたき台)を使って、実際のユーザーや顧客候補、あるいは一緒に事業をすすめる可能性が高い利害関係者に説明します。そして同時にアイデアをブレストして、フィードバックを得ることで、更に自分たちのアイデアを精査して行きます。その際に、上記の「観察」と「試作」の動画は参考になります。
(1回目)
1回目の研究会、4月22日までに、現在のアイデアをブラッシュアップし、各々ビジネスモデルキャンパス(BMC)を作成下さい。今回は、BMCの精度は問いません。研究会当日に考え方を議論して理解を深めます。その際に、自分達のアイデアのたたき台があれば理解が深まりますので、そのための準備として捉えて下さい。
なお、以下の動画を事前学習の参考としてご視聴下さい。パスワードについては別途事務局の指示に従って下さい。
新規事業ビジネスの基礎(約40分)
本動画では、新規事業を立ち上げるまでの流れを確認頂きます。アイデア⇒ビジネスモデル⇒ビジネスプランの流れで説明しています。皆さんがゼロから新規事業を立ち上げるとしたら、「どのように活用するか?」と想定しながら視聴ください。
イノベーションの開発(約20分)
本動画では、そもそもアイデアをどのように創出するかについて解説しています。アイデアは異なる概念同士の組み合わせで出てきますが、その考え方を整理しています。実際に自社の強みを考えて、皆さんが想定する事業チャンスをイメージして視聴すると聞きやすくなると思います。
10億ビジネスを創る(約41分)
こちらの動画では、ビジネスモデルキャンパスの考え方を理解する目的で視聴ください。内容は10億の事業を創造するとしたら、どのような流れで考えるかについて整理しています。
【動画】グループ長研修(九電産業様)
2022年7月8日
本ページは九電産業様向けのページです。
8月2日の「中期経営方針の実践に向けた引率力向上研修」に参加する対象者は以下の動画を視聴して参加下さい。PWは別途事務局からの指示に従って下さい。
当日までに、以下の2本の動画を視聴下さい。動画はマネジメントの基礎(全6本)の内、2本を抜粋しています。マネジメントの基本的な考え方を整理した後、不確実な世の中への対応についてどうすべきかを議論しています。当日の研修では、動画の内容を踏まえて、中期経営方針の実現に向けて、
・参加者と講師で企業の使命や存在価値を改めて議論
・達成に向けた職場への具体的な落とし込み
・戦略的な思考と展開
について学びを深めます。
マネジメントの基礎 概要(約17分)
マネジメントの基礎 不確実への対応(約30分)
新規事業の旅 その10 NBとPB
2022年7月8日
早嶋です。
通常、ナショナルブランド(NB)と言えば、製造者(メーカー)が製品やサービスを開発して、その対象にブランドを付けた商品を指します。商品の研究、企画開発、製造までをメーカーが責任を持ち、販売以下の下流工程は自社もしくは関連会社やパートナーと一緒に市場に流通する商品が多いです。NBは全国の小売店で販売されるため、メーカーはこぞってその知名度を取るために広告宣伝活動に一定のコストをかけて認知と普及を目指しています。
NBの対局に相当するのがプライベートPBです。メーカーが商品を開発するのに対して小売業者や卸売業者が主体となって開発するブランドえす。日本では、セブンイレブンやダイエーのセービングなどが注目され、西友のPBであった無印良品はそれ自体がNBに昇華しています。
ここで、商品のサプライチェーンやバリューチェーンを見てみましょう。上流から、原材料、原材料の調達、製造、販売、卸、流通、販売、フォローと続きます。サプライチェーンが企業間で複雑に絡む場合は、各々のバリューチェーンに研究や開発や企画などの上流工程と広告宣伝やマーケティング、販売、アフターメンテナンスやフォローなどが入り込みます。
IT化が普及し始める前、およそ国内や世界的にスマフォが登場する2007年前までは、メーカーは直接顧客とやり取りすることが極めて難しい時代でした。出来たとしても、顧客の管理や1回のコミュニケーションコストが非常に高かったのです。そのためメーカーは研究開発と製造にフォーカスして商品をつくることに専念します。そのためNBの概念が普及して、その商品を地域に特化した小売や卸が仕入れエンドユーザーに届ける役割を担っていたのです。
しかし流通機能が徐々に強化され、小売や卸の機能が地域を超えて、国内、あるいは一定のエリアで規模を拡大する企業が現れます。卸や小売の強みは、直接的にエンドユーザーとつながっており、毎日の決済を握っていることにありました。そこでITが普及して、顧客の管理やコミュニケーション、分析がより簡単に、より安価になり始めるとNBの微妙な不具合や改善が気になり始めました。そこでPBが生まれたのです。
当初は、小売は他の小売店との競争優位を価格で考えました。多くの小売店は立地を先に押さえたら、後はNBを仕入れて販売するだけの単純なビジネスモデルです。そのためNBと直接交渉する規模を手に入れた小売はその分安く商品を提供することができます。一方で、間に卸を入れて規模が小さい店舗は安く売ることが出来ないので、地域に根ざしたサービスや従業員の細かいコミュニケーションやケアで店舗を差別化していきました。しかしどちらにしても売る用品がNBで同じなので、小売や卸は徐々に自分たちの顧客の動向を分析しながら、こNBのこの部分を改造改変すると良いのにな?的な発想が生まれ、メーカーに直接注文して、店舗や企業オリジナルの商品を造ってもらうようになったのです。
NBからすると、販売網を持っている小売が直接オーダーして、しかも一定の条件で買い取ってくれる。自分たちの製造ノウハウを提供して、場合によっては余っている製造ラインを活用することができるので、これはいい!となったのでしょう。卸や小売のオーダーをベースに、PBの生産を手伝いするようになります。しかしPBの製造はNBにとって自分たちの首を締め始めるのです。
卸や小売は、オーダーしたPBを販売する際、NBのように個別の商品を販促することはしません。当初の目的がNBよりも安く売ることを掲げたからです。そのため小売が持つ棚割りのなかで、同じようなNBの隣に、同じようなPBの商品を陳列することで、NBの目的買いのユーザーにその場で認知してもらい、価格の安さでPBを取るか認知度でNBを取るかを判断してもらったのです。小売からするとNBが売れてもPBが売れても、利益はでますので問題はありません。しかしPBが売れた方が利益率が良いことはわかっています。
例えば、NBの場合、商品の原価が3、販売促進コストが3、メーカーの利益が3とした場合、メーカーが小売に卸す価格は9になります。ここに小売店のコストと利益を乗せて12で販売したとします。同じようにPBの場合、商品の原価が3、販売促進は行わないので0、メーカーの利益が3、小売店のコストと利益の乗せて9で販売したとします。
すると、中身は同じなのに「NBは12」、「PBは9」からがスタートです。伝統的に価格の安さで大きくなった小売はNBを定価で売りませんので「NBを10」で売り「PBを9」で売るかもしれません。しかし、この場合、PBが売れた方が利益は多く小売に残るのです。
2007年以降、ITの発達によって、小売は徐々に気が付き始めます。顧客の決済情報を持っていると、各々の顧客の価格感応度やどの時期にどのような商品が売れるのか?エリアや顧客のセグメント毎にNBが良いのか、PBが良いのか。あるいは同じPBでもAのテイストが良いのか?Bのテイストが良いのか?徐々にデータ武装した小売りは今までメーカーが手にすることが出来なかった売上に直結するデータを握り、しかも直接購買する顧客にコミュニケーションできる事を発見したのです。
当時のNBは販売以下の下流工程を卸や小売に委託していました。あるいは、販売会社や関連会社にまかせていました。メーカーと自分たちを名乗るくらいですからモノづくりに力を入れ、販売や実際に購買した顧客に目を向ける事をしませんでした。仮に顧客に声を聞く場合は、広告宣伝を担っていた代理店やマーケティングの会社に頼んで消費者の声を代理で分析してもらうという事を繰り返したので、自分たちで直に顧客の声を聴くノウハウや発想そのものが無かったのです。
小売は顧客の決済情報を握り、顧客と直接コミュニケーションが行えるようになる。メーカーは顧客の声が見えないまま、データを必要とする時は、間に代理店やマーケティングの会社を挟んで分析する。IT化が進むと、この違いが如実に現れてきます。
その結果、小売や卸で規模を拡大した企業はPBを中心に商品を固め、店舗網を活用して商品を顧客に届けて高い利益率を出すようになります。ある企業は、販売をエンドユーザーに直接ネットで行うので足が長い商品は、物流の力を使ってとどけて、徐々にPBの比率を高める取り組みに進んでいます。その結果、メーカーと小売の力関係が逆転しているのです。
当たり前ですが、事業で収益を上げるためには直接顧客とコミュニケーションを取ったほうが優位です。昔は、それが難しい時代でしたが、今はそれが容易にでいる時代になりました。小さな企業や地方でNBを扱っている企業は、実は社内の資産に直接エンドユーザーとの契約があり、その方々の声があるのです。あるいは、実際にその価値に気がついていないだけで、少し工夫することでエンドユーザーの声を形にしてPBに近い商品を企画して、製造を上流工程のメーカーに委託することが可能なのです。
昔は下流工程の小売が利益率が低い商売でしたが、PBを取り扱うことで無駄な宣伝コストを払わなくてよくなります。顧客情報をITで管理して、適切に顧客にコミュニケーションを行える道具が揃ってきました。従ってきめ細かいコミュニケーションが可能になるので、それらを武器に、販売するたびに利益を出すもでるから、顧客が商品を購入してどのように活用しているかを理解する中で製品やサービスを提供することが可能になり、結果的にエンドユーザーとの接点が増え、事業が継続するようになるのです。
良いものを先行して作り、その商品を認知させるのにお金を使い、顧客のフィードバックを得るのにお金を使う。メーカーが行っていることは正に時代に逆行していますよね。自分で商品を判定出来ない人は高いコストを払ってNBを購入するでしょうが、PBは造っているところは一流メーカー。自分で情報を取り、小売店の方々に教えてもらい徐々に学習するエンドユーザーが増えると、NBの商品は苦戦します。そこでNBは消費者の目を向けるために、直接コミュニケーションを取ることを行わず、逆行して商品開発をすすめ、どんどん商品のリニューアルをすすめ、どんどん販売促進を進め、場合には販売報奨金を小売に渡して売ることにフォーカスしたのです。これが昨今のビジネスモデルで考えると如何に愚策かがわかりますよね。この取組をすればするほど価格が高くなり、自分たちの利益を下げることになるのですから。そこでようなくNBも顧客と直接やり取りをしようと動き始めている。いま、正にそのような時代になっているのです。
死ぬまで働こう 〜1986年のイーストウッド〜
2022年7月7日
◇老後は実在するか?
原田です。
「他人はあなたの歴史に興味がない」。坂東眞理子さんの言葉です。下記の記事を読んで、本当にその通りですと思いました。
坂東眞理子氏 「70代はコンビニでも介護施設でも働くべき」
https://www.news-postseven.com/archives/20190408_1347759.html?DETAIL
それで思うのは人生に老後なんて本当にあるのでしょう?いつから誰が決めたのでしょう?年金暮らしなんて無理ゲーなのは、綿密にシュミレートしなくてもわかります。
年金暮らしをしても、真綿で首を絞められるようなものです。収入は変わらず、出費だけが増えていきます。日常で様々なトラブルが発生し、予定外の出費が発生します。家にいれば、1日何もすることがなくて、将来のことを考えて、不安になると思います。そんな生活がハッピーでしょうか?
老後というものを自明のものにして考えるので、多くの人の人生はおかしくなるのだと思います。老後をどうしようかと逆算して人生設計しても、不確定要素が多すぎます。考えても考えても不安しかないのです。
僕は本気で死ぬまで働きたいと思っています。老後という概念をなくせば人生はスッキリです。老後という概念は、日本人が高度成長期にかけられた呪いのようなものです。そんなものは最初からなかったとことにすればいいと思います。
◇仕事はなんでもいい
他人に害を与えず、人の役にたてば、仕事はなんでもいいです。僕はそう思っています。もし、僕が、今の仕事は無理だってなったら、何か別の仕事をします。年齢に関係なく、今できる能力で仕事をします。
世間を見渡せば、高齢で楽しそうに働いている方はたくさんいらっしゃいます。肩書きとか、立場とかにこだわらなければ、働くことは楽しいことだと思います。スポーツジムでバーベルを上げるのと、軽めのダンボールを上げるのと、何が違うのでしょうか?ダンボールを上げれば、お金がもらえます。人の役に立ちます。
でも多くの人は働くことよりも、肩書き、立場に喜びを見出しています。なので、定年になって何をすればいいのかわからなくなるのだと思います。「人生の○園」とか、都合よく編集された番組を観て、自分もこういうふうに人から見られたいと思います。
◇経営者のセカンドキャリア
世間的に高齢と言われる年齢になっても、新しいことに挑戦し、活躍されている方はいらっしゃいます。まずは経営者の方の事例です。経営者に定年はありません。しかし、多くの経営者が、それまでの地位を捨て、新しいことに挑戦しています。そして、その挑戦が楽しそうに見えます。
ジャパネットたかたの創業者である高田明さんの日経新聞の「私の履歴書」と「高田明と読む世阿弥」を読んで、素敵な生き方だなと感じました。早々に事業をバトンタッチし、会社との関わりを断ち、第二のキャリアを始めています。その第二のキャリアの方がワクワクさせられます。
僕は、ジャパネットたかたを利用したことはないし、現役時の高田さんのテレビも観たことはありません。でもこの著書「高田明と読む世阿弥」は何回も読みました。おすすめです。
経営者であれば、ブックオフの創業者の坂本孝さんは、72歳で俺のフレンチ・俺のイタリアン株式会社を設立しています。すかいらーくの創業者の一人である横川竟さんも76歳で、高倉町珈琲1号店を出店し、翌年株式会社化しています。
70歳を超えても、現役バリバリで、事業を立ち上げる力があります。しかも楽しく。
◇生涯現役 理想的な生き方
次に僕の究極のロール・モデルであるクリント・イーストウッドさんです。
小学生の頃に映画「ハートブレイクリッジ」を診て、ハイウェイ軍曹かっこいい!!って感じてからのファンです。
映画「ハートブレイクリッジ」は、1986年公開です。監督・主役のイーストウッドさんの演じるハイウェイ軍曹は、定年を間近に控えた現場叩き上げの海兵隊です。この頃、すでに55歳くらいです。ハイウェイ軍曹は、タフで、頭が切れて、反骨心があって、経験豊富で、凄腕で、仲間思いで、やさしくて、というキャラクターです。でもバツイチで、酒癖が悪くて、私生活では問題ばかり、組織にもなじめず、上司からは目の敵にされるという愛すべきキャラクターです。
それから約30年後、2015年、アカデミー賞を受賞した映画「アメリカンスナイパー」が公開されます。イーストウッドさんは、84歳です。この年齢で、これだけクオリティーの高い仕事ができます。
そして2019年、映画「運び屋」を公開しました。監督と主役をこなしています。主役は、なんと90歳の設定です。ここでもイーストウッドさんは、相変わらずイーストウッドさんです。タフで、優しくて、反骨心があって、私生活は問題だらけです。それを観て、やぱっりかっこいい!!と感じます。
イーストウッドさんは、変化の激しい映画業界のなかで、最後の大型恐竜のように悠然と我が道を進んでいます。平気で賛否両論の作品も作ります。つくづく、人間の成長は年齢に関係ないのだなと思います。
最後に、この映画(運び屋)のラストシーンは素晴らしいと思います。何らかの形で死ぬまで働きたいと思いました。
ポリヴェーガル理論
2022年7月7日
安藤です。
今回は、メンタルヘルスに活用できる「ポリヴェーガル理論」です。
コロナ禍での働き方の変化、高度情報化社会における職場でのテクノストレス、経済的不況によるリストラや就職難、核家族化などからくる仕事と育児の両立の難しさ、また、高齢化社会のなかでの介護疲れなど、現代社会には、ストレスがつきものです。また、「他人とうまくやらねばならない」「どう他者と関わっていったらよいかわからない」、SNS時代での「キャラ」から、本音を言えずにためこんでしまい、自分自身が調子を崩す人が増えているように感じています。私自身もストレス耐性がうまくいかなくなった時は、胃腸に異変がきます。胃カメラ検査をしても何も胃腸なし、大半は自律神経の問題です。
そこで、今回は、メンタルヘルスにも活用できる知識として、自律神経系についてお話をさせていただきます。自律神経系は体の臓器のほとんどに通っています。自律神経系は、意思的な体の動作をつかさどる体性神経系に対して、人間の意思とは関係なく生存を守る神経 系です。 主な働きとしては、①消化の抑制・促進 ②心拍の加速・減速 ③気管支の拡張・収縮 ④筋肉の緊張・弛緩です。自律神経は、交感神経と副交感神経の働きに分けられ、興奮と沈静化の役割があります。
交感神経は、心拍数、呼吸、血圧を上げます。素早い動きができるように血液を消化器官から筋肉に移します。副交感神経は、筋緊張のゆるみを促し、心拍と血圧を下げます。消化を促したり、呼吸を遅くします。血液を抹消結果に送ったり、免疫系統の機能を回復します。(参考:Levine)
ポリヴェーガル理論は、非常に学際的かつ複雑なもので、まだ解明されていない脳や神経系の働きや、その関係性も含めて捉えようとする壮大な理論です。「心」と「身体」が切り離されている存在ではなく、自律神経系を通して全体として機能していることを明快に説明しています。身体からの信号が私たちの思考や自己像、世界観に多大な影響を与えているといわれています。
「ポリヴェーガル」とは、「複数の・迷走神経」を意味し、「多重迷走神経理論」という訳語が使われています。ポージェス博士は、自律神経系の発達の進化を軸に考察し、私たちヒトの自律神経系には3つの神経枝があると論じました。その3つとは太古の魚類に備わっていたとされる、進化的に古い迷走神経である「背側迷走神経複合体」、さらに硬骨魚の時代に現れたとされる「交感神経系」、そして、哺乳類のみに見られる新しい迷走神経とされる「腹側迷走神経複合体」です。「腹側迷走神経複合体」は、豊かな表情を作ったり、声のトーンを調整して自分の気持ちを伝えたり、相手からの友好の合図を受け取ったりなどの、人と人とがおだやかにつながり、交流するために欠かせない働きを担っています。「交感神経系」は、主に活動するときに使われ、危機に瀕すると「戦うか・逃げるか」を選択します。「背側迷走神経複合体」は消化吸収や睡眠などを司っているが、生命の危機に瀕すると、「凍りつき反応」を引き起こします。「凍りつき」の状態では、思うように身体が動かなくなり、呼吸や心拍が遅くなり、いわゆる温存モードに入ります。この、戦うことも逃げることもできず、凍りついている状態にあるのがトラウマを抱える人とされています。
「腹側迷走神経複合体」が健全に機能している人は他者から非友好的な態度を取られても、社会的交流を心がけることができ、容易に交感神経系に乗っ取られて闘争・逃走反応に走ることはめったにありません。「腹側迷走神経複合体」がバランスよく働いているときは、「背側迷走神経複合体」もよく機能しているので、胃腸をはじめ、全身状態が良好です。また、脳にも十分な血流がいきわたり、明快な思考、的確な状況判断などが行えます。こうした自律神経系の働きが乱れると、臓器が調整不全に陥り、思考も乱され感情も荒廃します。
そこで、ここで神経をバランスとる簡単なエクササイズを5つご紹介しておきます。①「ぼー」「ぶー」の音を声にだす。②顔をぎゅーと集めます(表情筋を動かすので腹側迷走神経を刺激する)。③グー・パーと手を握ってほどく。④ふーっと、1~2回、口呼吸をする ④キョロキョロ 単にきょろきょろ周りをみる(腹側迷走神経が刺激され、忙しかった思考が少しストップしてくれる)。
ストレス状況から逃れられずに、メンタル不調、体調不調をたどってしまうことがあります。人間が生きていくうえで、社会的な要請に応えようとすることは必要ですが、時には息抜きをし、自分を追いつめすぎないことは大切です。ぜひ、5つのエクササイズを試してみてくださいませ。
参考資料:ステファン・W・ポージェンス/花丘ちぐさ(今ここ:神経系エクササイズ)
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全体主義と民主主義
2022年7月5日
早嶋です。
1920年代から1940年代にかけて、イタリア、ドイツ、日本において全体主義、いわゆるファシズム的な思想が広まりました。全体があるので個々があるという理屈で、国家や組織の利益を優先させる思想です。
1920年代後半、ムッソリーニらは自分たちが傾倒する運動を全体主義と形容しました。当時の西洋の自由主義は人間が本来持つ自由に対して、抽象的かつ観念的にしか捉えていないとして現実から逃避していると指摘します。そして自身の思想が国家の中で生きる現実の人間にとってより自由を考えていると主張します。そして個々を共同体としての国家へ再び統合する意義を強調します。
一方で当時の西洋諸国は、この全体主義的な発想に脅威を感じます。個々は自分のためではなく国家という共同体のために生きる体制と捉えたからです。英国のチャーチルは全体主義を非難し、自分たちが考える自由主義を防衛する必要を訴えます。
第二次世帯大戦後、混沌とした社会情勢につかれた個々が、個人主義的な世界で生きることに疲れ、不安を感じ、積極的に何かに属したくなる。そこに再び全体主義的な部分に自分を向かわせるインセンティブがあった。これは「全体主義の起源」や「エルサレムのアイヒマン」の著者であるハンナ・アーレントの考えです。
労働者階級、資本家階級など、自分の所属階級が明確だった時代。自分にとっての利益を意識することは簡単でした。しかし19世紀の終わり頃より、このような階級制度が崩壊し始め、自分たちの存在が不明瞭になった大衆が溢れます。従来は階級毎に、自分たちの利益や、それを維持するために取るべき行動が明確でした。そのため自分たちの利益を最大化する政党を選ぶこともむずかしくありません。
しかし、何が自分たちの利益なのか分からない大衆は、自分たちに相応しいと感じたのが全体主義になったのです。そのため背反的ではありますが大衆が全体主義をうごかしていったのです。
従来は、自由や平等などの権利を自ら主張して、その実現を行う政党を支持していました。しかし大衆は国家や政治家が何か良いものを与えてくれると思い、あまり思考しない集まりです。本来は、自分の思考と意見をもつべきですが、大衆は周囲に同調し個性を無くし漫然と生きる道を選びます。
景気が悪くなり、社会に怪しい空気感があふれ出した時、自然と政治を語るようになります。しかし、大衆が誰かに対して何かをしてほしいと考える感情は危険です。そもそも自身のアイデアも無く、物事を深く捉え思考することをしませんので、大衆は分かりやすい表面的なアイデアに飛びつきます。
ナチズムは、第一次世界大戦に敗れたドイツが領土を削られ賠償金で経済がひっ迫した時、追い打ちをかけるような1929年の世界大恐慌で失業者があふれた時、誕生しました。不安と緊張にさらされた大衆が選択したのは厳しい現実を忘れさせる世界観であるナチズムでした。我々の民族は世界を支配すべき民族で、他民族が妨げているという架空を信じたのです。
2022年。様々な媒体が溢れ、様々な考えが飛び交っています。情報を自分たちから調べることで、真実と虚実を同時に手に入れることが可能です。ネット上に加え、SNS上でも様々な情報が飛び交います。しかし、実際は自分が心地が良いと思う情報を選択して、同じような思考や考えに浸ることに安心を求めています。よくわからないという混沌とした状況は個人にストレスを与えるため、自分にとって分かりやすいと感じる情報に接するうちに安堵を覚えるようになるのです。
このような考えは、1920年代から1940年代にイタリア、ドイツ、日本で広がった全体主義的な考えと近いと思います。自分にとって分かりやすいという思考を求めるあまり、自分自身で深く考えずに、複雑で交錯する現実を理解できなくなり、結果的に最も分かりやすいスローガンに飛びついてしまう。その思考停止の状態で選挙があれば、その結果は散々たるものになり、知らず知らずのうちに世の中が全体主義に動いていくのです。
自分の考えを持ち、絶えずブラッシュアップして、思考を続ける。これが処方箋だと知っていても、分かりやすさに浸り思考停止をする。このような空気感の中では、民主主義は結果的に破壊の方向に向かうこともあることを歴史は度々語っています。
コロナ後の新規顧客開拓 タカハシ流ソーシャルセリング
2022年7月5日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回はリストアップした顧客群にどのような方法(経路)でアプローチするか整理します。旧来のやり方に加え、コロナ禍ならではの新しい方法が活かされる場面でもあります。テーマは「コロナ後の新規顧客開拓 タカハシ流ソーシャルセリング」です。
私たち営業マンの環境はコロナで激変しました。今までなら気軽に人(顧客)に会いに行けていたものが、会うこと自体がとても難しくなっていますね。
人と対面することを敬遠する雰囲気、在宅勤務によって会社に人がいない、オンライン商談が普及しリアルで会えない、などなど。
そこでこれまでの見込客へのアプローチに加え、コロナ後の今必要とされるアプローチ方法がたくさん試みられています。ウェビナー(Web上でのセミナー)やネットでの情報発信、SFA(セールスフォースオートメーション)、MA(マーケティングオートメーション)などデータとデジタルを使った手法は日進月歩です。
そのなかでソーシャルセリングという手法が注目されています。ソーシャルセリングというのは、SNSを利用した営業活動のことです。Twitter、Instagram、YouTube、TikTok、LinkedInなどのSNSを使って見込客との繋がりを作り、営業活動に結びつけます。ネット上の人と人の繋がりを活用するので、実際会ったこともない世界中の人が新規顧客になる可能性があるわけです。
これまで新規顧客へのアプローチと言えば、➀プッシュ営業と➁プル営業でした。
➀プッシュ営業は、営業マンから見込客に働きかけて商談を起こすことで、飛び込み訪問やTELアポ、メールやDMを送るなどがその代表です。
でもコロナでこれがなかなか繋がらなくて困っていらっしゃる営業マンが多いのではないでしょうか。
➁プル営業は顧客からの資料請求や問合せに対して、営業マンがアプローチします。メルマガで情報を送り続ける、小冊子や資料のダウンロードができるようにしておく、イベントやセミナーの告知をするなどが代表的なプル営業です。最近はやりのインサイドセールスもしかりです。
これらはコロナ以前から元々待ちの営業なので、実際にアプローチできる数や成果をコントロールしにくいデメリットがあります。
そこで見込客に会いにくいコロナ後の環境で、いかに効率よく会えるようにするかを考えました。タカハシ流の答えは➀プッシュ営業とソーシャルセリングのハイブリッドです。と言ってもSNSは使わない、アナログ方式です(笑)
プッシュ営業ではリストアップした見込客になんとか会えるよう訪問したりTELアポするわけですが、やみくもに行動しても元々会える確率が低いのにコロナでさらに見込めなくなりました。これまでは「まず、会ってみる」と考えていたお客様も、不要不急の面会などもってのほかになりました。
そこでソーシャルセリングです、つまり人と人のつながりを利用します。要はご紹介です。
以前から紹介営業と言うと、知り合いや既存客に「どなたかご紹介いただけませんか?」とお願いして新規顧客開拓していました。
これからは、まずターゲットの条件に合う見込客(個人・法人)の集合をリストアップします(サスペクトと言う)。そしてサスペクトの中に、知人や既存客と繋がっている個人や法人がいないか探るのです。つながりがあった見込客をプロスペクトと言います。プロスペクトに絞って、紹介者の影響力を使って会いに行くのです。コロナでも、知り合いからの紹介なら会える確率は上がるはずです。
私が保険営業をしていた時の話しです。当時私が見込客としたかったターゲットは福岡県内、建設業、オーナー社長、売上10憶以上、黒字決算、従業員30名以上、などいくつか項目がありました。福岡県の企業一覧からターゲットの条件に該当する企業をピックアップしそのリストを既存客の社長に見てもらい「この中から知っている会社を指さしてください」とお願いしました。するとこれまではなかなかご紹介をくださらなかった社長が「この会社は商工会で一緒だ」、「この社長はゴルフコンペで一緒になったことがある」、「この会社は取引がある」など数十社出てきました。それらを全て詳しく聞き取りし、紹介状を書いていただきアポをとって会いに行くことができました。
昔もコロナの現在も、人のつながり、ご紹介はありがたいものです。会いにくい今だからこそ、ソーシャルセリングのアナログ版「人と人のつながり」を大事にした新規顧客開拓はいかがでしょうか。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
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