【動画】エリアマネージャ研修
2022年10月20日
※本ページは、田辺三菱製薬様エリアマネージャ研修参加者向けです。
2022年11月10日のエリアマネージャ研修の参加者は動画の視聴と事前課題を準備の上、研修に参加下さい。
(動画視聴)
フォロワーシップに関係する動画を視聴し、研修に参加して下さい。研修は、動画視聴を前提に勧めます。PWは別途事務局の指示に従って下さい。
イントロダクション
※本動画は、フォロワーシップとボスマネジメントの考え方や意義について説明しています。動画の最後に、併せて視聴すると良い動画の案内がありますが、本研修では無視して下さい。
(事前課題)
エリアマネジャーの業務を行う中で、支店長やグループ長とのコミュニケーションや折衝事で「うまく行えたケース・事例」「どうすると良いか困ったケース・事例」をそれぞれ複数整理して持参ください。当日の研修で、この内容を掘り下げてエリアマネージャとしての立ち振舞について考察します。
新規事業の旅その24 敵のコトを知りつくそう
2022年10月20日
早嶋です。
新規事業で飛ぶ地を狙う場合、業界の利益構造とバランスシートの構造は理解しておくべきだ。新規事業を立ち上げたい企業の初めの一歩は、アイデア大会だが、本当にアイデア出しに集中し、その事業をビジネスの側面から考えない場合が多い。自社のビジネスモデルも余り理解していない若手を中心とするメンバが、思いつきベースで体裁を整えて紙芝居を作り上げる。新規事業の立案と実行は、様々な経営リテラシーに加え、リーダーシップ、時には不毛と思えるほどの無駄な作業を繰り返す可能性もあるので相当に経験値が上がるの。そのため学びの場としては最適かもしれない。
一方、企業側で企画する場合、アイデア創造に着目し、アイデア実行の視点が無い。既存事業と同じく事業計画やシナリオを描けば成功すると思っているとやけどをするのだ。そのため、事業をマネジメントする際の組織、会計、ファイナンス、マーケティングなどの基礎知識に加え、その業界や参入する可能性のある事業の癖や傾向を把握する努力を怠ってはいけない。ここは喫緊に修正を加え試行錯誤しながら組織知として習得する行いを続けるべきだ。
ゼロイチを自社で行う場合も、新規事業をM&Aで考える場合も、上記は確実に必要だ。特に、M&Aや出資など、資本政策をベースに新規事業を初める検討をする場合、現場の嗅覚というか勘所がなければ、出資額も、出資比率も、業務提携の中身も、最終譲渡契約書の中身も、クロージング要件の交渉も、全てが後手後手になるはずだ。
例えば、事業譲渡で案件を獲得する場合だ。交渉相手は、その事業に関係する資料を開示する。もし買い手候補がその事業エリアに対してずぶの素人、あるいは経験が少なければ、与えられた資料を鵜呑みにしてしまう。が、これは極めて危険だ。例えば、すべての企業が管理会計を明確にして、正しい資料をこしらえているかといえば違う。そのために、買収前調査は重要だし、基本合意前後で相手に対して的を射た質問をしながら内容を精査していくことが通常だ。
店舗事業などは、本来店舗で計上すべき経費を本店管理費として振り分ける。すると店舗の収益は見た目上よくなるのだ。その時に、一定レベルの範囲でその業界業態の収益構造を把握していれば、費用の比率や収益率から、広告宣伝費や教育トレーニング費が極端に少ないので、実際の1年間の運営はどのようにしているのか?などと突っ込んだ質問をして内容を確認することができる。全体の整合性が怪しいと感じたら、事業譲渡であっても他の経営資料を売り手に請求することだって構わない。交渉なので相手が断ることもあるが、こちらが本気で確認すると相手もなんだかんだ言って正しい情報を出してくるのだ。
同業者同士の出資やM&Aでは、このようなポカミスは起きないが、買い手の目的が新規事業の参入でその分野に明るくない場合は注意が必要なのだ。この状況の打ち手は、業界業態に明るいコンサルをビジネスDD目的のアドバイザーとして活用する。業界業態に明るいFAを買い手のアドバイザーとして活用する。新規事業を検討し実行フェーズに入る段階から業界業態に明るい人材を数名ヘッドハンティングし準備を初める。等が考えられる。この作業を無視して、全て自前で行った場合、相当な勉強料を覚悟することになるだろう。というか新規事業を、それも飛び地で自分たちのノウハウが無いからその獲得目的で資本政策を考える。という行為が如何に危険かが見えてくると思うのだ。よく考えて見てほしい。
全ては三性。何も無い状態から見た場合、中性無記の状態に見えるが、視点を持って観ると善性も悪性も存在することに気がつく。ジェントルマンよろしくねバリに、スマートに行くためにも、買い手として観る目を育て言うべき点はしっかり言い、仕事をスマートに進めるほうがカッコいいと思うのだ。
新規事業の旅(その25) キャズムを超える
新規事業の旅(その24) 敵のコトを知りつくそう
新規事業の旅(その23) 道具の使い方
新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
新規事業の旅その23 道具の使い方
2022年10月19日
早嶋です。
新規事業をはじめる前に戦略を整えておくこと。これは本稿でも度々主張してきた。今回は、その戦略を実現するための手段として、自分たちで行う(0⇒1:ゼロイチ)、提携、M&Aの3つのオプションをどのように使いこなすと良いか概説する。
その前に、売り手の視点から事業売却を考える。通常、M&Aの売り手の目的は出口だ。つまり、何らかの理由で事業を継続できなくなった等を含め、事業の成長が鈍化する、あるい衰退する可能性を感じた時だ。事業の成長がまだ続くタイミングで売却すると高く売れるが、その場合、通常の経営者であれば売却など考えない。そのためM&Aは成長しない会社の値段となる。
まず新規事業をゼロから自社で行う場合だ。結論を先に言うが、なかなかうまくいかない。しかし、自助努力を一定の割合で続けることは良いことだ。若手の経験を積ませること、既存の事業を見直すなど、副次的な効果が得られることもある。
では、M&Aで新規事業を行うことを考えよう。売り手がM&Aを考えるタイミングは、成長が途絶えたと感じた時だ。そのためM&Aが成功した時点では売り企業の成長は鈍化もしくはストップしている。更に買い手がその企業を上手に経営できなければ、M&Aをしたときが最も時価総額が高いことになる。経営ができなければ日々時価総額を目減りさせることになる。買い手の目的が新規事業の獲得で、その方向性が全くの飛び地であれば、大概マネジメントできる人材がいない。当然、そのM&Aからシナジーなど生まれない。
現況のM&A市況を考えて見よう。ほとんどの大企業や中堅企業は成長戦略を掲げるも、成長できなくて苦しんでいる。そこで不足する売上を新規事業と意気込む。しかし数年経過してもなかなか成功しない。そしてM&Aという概念を持ってくる。そのためM&Aしたい経営者は世の中無数に存在する。ということは、通常の売り案件が出れば、買い手同士で取り合いになるのだ。
中堅企業の案件でも、プラットフォームに売り案件の情報を乗せると掲載から2週間程度で10社から15社の問い合わせがあり、1ヶ月の間で20社から30社の反応がある。そして実際に交渉に進む企業が数社に登る。ということは今M&Aとして市場に出せば売り手からするとラッキーで高く売れる可能性があると言うことになる。一方、買い手からすると高く買うことになるのだ。
新規事業をM&Aするという発想の経営者の多くは、M&Aの価格をその企業の価値のみと判断する。そのため高いか安いかの判断をその企業を見て決める。でもこの決め方は100%NGだ。なぜならば売り手1社に対して複数の買い手がいる場合、必ず合理的な価格よりも高く支払いと交渉できないからだ。例えば、売り手の本来の合理的な価格をXとする。複数の買い手が興味があるとすれば、売り手はXよりも高く売る。例えばX+αだ。そして買い手はX+αの金額が最低金額になり、複数の買い手よりも優位に立つためにはそれよりも高く買う可能性がある。例えばX+α+βだ。
売り手の価値だけ考えたら、α+βだけ高く買ったことになる。M&Aは成長がストップしたときの金額だと考えるとこのα+βは回収できない。そのため買い手は、自社の事業シナジーを考えて、α+βよりも大きなシナジーを生むと考えた時に、そのM&Aが正解になるのだ。そのため売り手の価値だけ判断して高いとか安いとかいう経営者はM&Aアドバイザーにカモられやすい。逆に、常に戦略を持ち、自社のM&Aの条件を設定している企業は他の買い手よりも売り手の価値とシナジーを考えている。結果、買収した後にシナジー出す確立がたかまるのだ。
ということで新規事業で、かつ全くの飛び地でM&Aを考える場合、そもそも自分たちでその領域のマネジメントができないのだからM&Aなんて考えないほうが良いということになるのだ。お金を出して買うことができても、それ以上の価値を確保することなど不可能だからだ。
もし、ベンチャー企業をM&Aしようと思うならば、なおさら間違いだ。ベンチャー企業は通常は利益が未だ出ていないし、その割にやたらと高い株価がついてくる。それもそのはず、当人たちは真剣に将来の成長性に挑戦しているため自社を売るつもりがそもそも無いのだ。仮に買ったとしても新規事業を自分たちでマネジメントできないでM&Aだと発想するような企業が経営できるわけが無い。
ただし、自社の事業をベンチャー企業の技術やイノベーションを活用して大きく変革できるイメージがある場合。ベンチャー企業の営業支援や品質の安定等を提供できる自信がある場合は、シナジーを提供することが可能だ。そのような場合は、ベンチャー企業に寄り添って提携を申し出ると良い。つまり通常の営業範疇で、ベンチャー企業が持つ技術を使って自社の改善をしたいとか、自社のこの資源を使って一緒に挑戦したいとかいう理由で近づくのだ。これはベンチャー企業にとっても嬉しいはずだ。その際に、ベンチャー企業が苦しそうだったらマイノリティで1%から3%程度のシェアをもらって運転資金を提供するなどするとマイノリティ出資+提携で業務資本提携という形になる。これは両者にとってWinWinになる可能性が高いのだ。
新規事業の旅(その24) 敵のコトを知りつくそう
新規事業の旅(その23) 道具の使い方
新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
【動画】22年度異業種交流型 武者修行研修リーダー版
2022年10月7日
※本ページは、2022年度異業種交流型・リーダー版武者修行研修・受講者向けのページです。
(セッション3)
リーダー版武者修行研修の参加者は、必要に応じて以下の補足動画を視聴下さい。次回は11月15日のオンライン研修です。
プレゼンテーションの基礎①概説
プレゼンテーションの基礎②流れ
プレゼンテーションの基礎③準備
プレゼンテーションの基礎④中身
プレゼンテーションの基礎⑤配信
プレゼンテーションの流れや準備、コンテンツ(中身)の作り方や、発表(配信)の仕方を整理しています。プレゼンテーションに不慣れな方は参照ください。
(セッション2 追加)
リーダー版武者修行研修の参加者は、必要に応じて以下の補足動画を視聴下さい。次回は10月14日のオンライン研修です。
意思決定の補足動画
何らかの戦略的な意思決定を行う場合、選択肢を抽出した後の意思決定について考え方を示しています。こちらの動画は、戦略思考の基礎(全6本)の内、戦略立案について解説している動画です。こちらの動画の17分40分あたりから意思決定について簡単に説明しています。
顧客の分析
アイデアを整理する際に、顧客を細分化する考え方を示しています。こちらの動画は、マーケティングの基礎(全6本)の内、セグメンテーション・ターゲティング(ST)について解説している動画です。セグメンテーションとは、自分たちが価値を提供する市場を定義して、その市場を様々な切り口で分けるコトを示します。例えば、農家と表現しても、様々な悩みや課題をお持ちです。そのような時にどのように分けて考えるかのヒントとして活用下さい。
インタビューなどの参考動画
自分たちの仮説を確かめる。あるいは隠れたニーズを探すための考え方についての参考動画です。こちらの動画は、デザイン思考(全4本)の内、観察について解説している動画です。デザイン思考では、机上で議論するのではなく、ある程度仮説を抽出すると、適宜実施の顧客や顧客相当に話を聴き、観察等を繰り返して、自分たちのアイデアをブラッシュアップしていきます。インタビューやアンケート等をどのように組みてるかのヒントとして活用下さい。
(セッション2)
リーダー版武者修行研修の参加者は以下の事前課題をご準備の上、10月7日のオンライン研修に参加ください。
1)セッション1で議論した課題を各グループでワークする。
・事業チャンス ✕ 強み = ビジネスアイデア
※「誰が?」「何に困っているか?」等を工夫して調べたり、関係ある方にヒアリング等をしておく
・上記のビジネスアイデアの整理をする目的でピクト図を整理する
2)事前動画視聴
10億ビジネスの創造
こちらの動画の「10億」はあまり意識する必要はありません。ビジネスモデルキャンパスを作る際の流れや考え方を理解する目的で視聴ください。
デザイン思考 試作
デザイン思考の試作(テストマーケティング)についての解説動画です。セッション2では、みなさんが議論したビジネスモデルを検証し、ブラッシュアップするために、試作について議論を行います。その際の参考知識として視聴ください。
DX戦略 DXの創造
こちらはDX戦略の4本目の動画です。今回のリーダー版の参加者は、1)ビジネスモデルをどのように構築するか?のヒントとして視聴ください。2)次に、アイデアの出し方で強み✕チャンスについてセッション1で議論をしました。しかし、多くの参加者はHowにとらわれて、「誰の」「どんな困ったことを」について意識が薄れていました。ビジネスモデルは、この2つが極めて重要ですので再度復習ください。3)その他、ビジネスモデルの課金やアイデアの考え方について説明していますが、流れをイメージする目的で深く理解する必要はありません。参考までに視聴ください。
(セッション1)
リーダー版武者修行研修の参加者は以下の事前課題をご準備の上、9月13日のオンライン研修に参加下さい。
1)「自己紹介シート」の作成
2)「今、自社が注目する 世の中の社会的な問題、それに関連する事業チャンスの整理」
※上記、1)2)の詳細は事務局からの連絡に従って下さい。
3)事前動画視聴(PWは別途事務局の指示に従って下さい)
新規事業の基礎 新規ビジネス創造の前に考えること(約35分)
多くの企業が既存の事業が成熟、もしくは衰退期を迎えています。そのような中、新規事業を開発することがどのような意味なのか。取り組み上でリーダーはどのような覚悟を決める必要があるのか。今回、社会課題を解決するワークを行う際の心構えを整理する目的で視聴下さい。
新規事業の基礎 新規ビジネスの基礎(約40分)
新規事業を生み出すための流れを3つのステップで整理しています。アイデアの創造、ビジネスモデル、そして事業計画です。はじめて社会課題を事業を通じて解決する議論を行う方も多いと思います。考え方や取り組むイメージを掴んで下さい。
新規事業の基礎 事業チャンス(社会課題)の発見(約21分)
2)の事前課題にもありますが、マクロ環境を見渡すことで事業として取り組めるチャンスが沢山みつかります。こちらの動画では、いかに社会課題を見出すかの視点について整理しています。
未来はリーダーシップにかかっている
2022年10月6日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回のテーマは「未来はリーダーシップにかかっている」です。古今東西、未来を先取りし備えてきた企業は繁栄しています。リーダーに必要な時代の先を読むスキルについてお伝えします。
私にとって初めて「未来を先取りした!」商品は、小学生の頃に発売されたソニーのウォークマンです。(田舎者の私がウォークマンを知ったのはきっと発売されてからずいぶん経っていたのでしょうが笑)ポケットに入るほど小さくて、外に持ち出せて、ヘッドフォンで聞く、当時のCMはおじいさんと金髪の女性がウォークマン片手にヘッドフォンをして踊っていました。確かに今までにないモノを感じ「カッコイイ!」と思いました。もう40年以上昔のことです。
「音楽を聴く=リビングのオーディオセットで聴く」が常識だった時代に、「音楽を外に持ち出す」スタイルが将来くるだろうと予見したのでしょうか、いくつか開発秘話が語られています。発売前は否定的な意見が大半を占めていて社内からも「こんなの絶対に売れませんよ」と言われていたそうです。当時会長の盛田昭夫氏は「自分のクビをかけてもやる決意だ」とまで言ったとか。それぐらいのリーダーシップがなければ、皆を率いて前例のないことにチャレンジすることは難しいのでしょう。結果が示すようにウォークマンは音楽業界に革命を起こし、ソニーには莫大な利益をもたらしました。
リーダーが未来を先取りし、それに備える方法はあるのでしょうか?その一つにシナリオ・プランニングという手法があります。
シナリオ・プランニングとは「起きる可能性がありそうないくつかの未来像を描き、その未来が実際にやってきたときに、柔軟に対応するための準備をする手法」と「シナリオ・プランニング」の著者Woody Wadeは定義しています。
世の中の「変化の兆し」を見逃さず、そこから数年後(10年程度の短期や30年先の長期)の世界を創造し、いくつかのシナリオを描きます。ポジティブなシナリオもネガティブなシナリオもあるでしょうが、もしそのような世界が現実となったとしたら、自社(自分)がとるべき戦略は何か?今から準備をするという手法です。
もっとも有名な事例は、ロイヤル・ダッチ・シェル社のケースです。シェル社は未来に起こりうるシナリオの一つに「石油危機シナリオ」を作成し、もし実現した場合に備え事前に体制を整えていたので1970年代の石油危機に対応できたといわれています。
逆に、スイス航空は中小のエアラインをどんどん買収していましたが、格安航空会社の参入を予見できなかったために業績悪化と多額の買収資金返済に苦しみ清算に追い込まれました。(2001年の同時テロによる需要激減の影響も大きかったですが、いずれにせよ予期しなかった二つのことが起こったということです)
リーダーは、世界がどこに向かっているかが見えなければ、ヒト(社員やステークホルダー)を導くことはできません。今起きていることにだけ目を向けたところで、対処療法で場合によっては手遅れになりかねません。
未来に起きることを予見し、色々なシナリオに備えることが、この激変の時代だからこそリーダーに求められるビジネススキルと言えるでしょう。ウォークマン開発のように、未来を創造し、困難に絶えずチャレンジすること、チームを鼓舞し前に進めることがリーダーシップの本質であると思います。
シナリオ・プランニングについては、また別の機会にその手法を詳しくご紹介することができればと思います。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
新規事業の旅その22 売ってから始まる事業
2022年10月6日
早嶋です。
ハードを主体としたメーカーが力を弱めている。アナログが主流だった頃、様々な部品を多方面から集め調整し組立た。毎回、ゼロベースの取引より同じ組織や系列で動くことで効率的に作り上げた。自らをメーカーと称し、まさに製造に専念した。メーカーの特徴は上流工程の研究開発製に自社の経営資源を投入。下流工程の物流や販売や顧客フォローはグループ企業や協力会社に任せた。性能が良ければ誰が売っても同じという発想があったのかもしれない。
デジタルの到来で一変することになる。ハードをソフトで制御する。アプリなどシステムを活用したソリューションが登場したのだ。アナログに対抗しデジタルの世界がやってきた。デジタルの特徴は、決め事(プロトコル)を作れば、そのとおりに動くことだ。バグなどの初期エラーはあるものの、それらが精査した後は、違う人や組織が作ったソフト同士でも決め事(API)を利用して想定する動きを再現することができる。
デジタルの特徴は、コピペが出来て、ネットワークで伝送できる。そのため地理的に離れたところでソフトを作ってもネットワークの速度に準じてほぼ瞬時にコピペされ、瞬時に結合できる。ハードを主体にするメーカーと違い設備投資の規模や保守メンテナンスの考え、そして物流などの発想が根本から異なった。
小さなソフト会社であれば、クラウドを活用して、規模に応じて変動費でサーバーを増強することも可能だ。自社が得意なソフトに専念し、他の部分はプラットフォーム等を活用する。大企業と同等のサービスを変動費で活用できるのだ。そしてそのソフトがヒットすると、顧客の獲得が物理的にはグローバルで可能だ。iOSやアンドロイドの上で動けば、一定のローカライゼーションは必要とするものの、グローバルに供給することは可能だ。一定の広告宣伝費を燃やして終わりという企業も多いが、そこは二番煎じの商材を投資マネー欲しさに燃やしているだけのようにも見える。
新規でコトを起こす際、商品を作ること、顧客を作ること、お金を調達すること、組織を作ること、のいわゆる経営資源のヒト、モノ、カネに苦労する。ソフト主体の企業はメーカーと異なり1つのソフトが出来たら、その後の大量生産に対してはコピペができる。そのため、商品を作る段階から、顧客づくりを同時に始めやす。一方でメーカーは、出来たプロトタイプを大量生産する場合、更に追加投資が必要だ。はじめは商品と顧客づくりを同時に検討するが商品化の投資で手一杯になり顧客づくりを後回しにしてしまう。仮に大量生産の仕組みが出来たとしても、販売する顧客がいないため、仲間を外部から調達する結果になっていたのだ。顧客とのつながりもなく、販売を外部に委託するため、無駄なコストをかけなければなく販売価格の割には利益が残りにくい体制を作り上げてしまった。
しかし、中にはキーエンスのような企業もいる。商品作りの肝である研究や開発は自分たちで行う。プロトタイプの作成も自分たちで行う。しかし、製造する部分は協力会社に委託してファブレスのメーカーになったのだ。モノづくりの原点は顧客に寄り添うことを理解しているのだ。
例えば製造工場などで使用されるPLC(Programmable Logic Controller)、主に工場の装置などを制御するコントローラーもそうだ。顧客に寄り添うキーエンスは、PLC本体の開発にも一定の資源を費やしたが、それよりもハード(PLC)と現場での実際の使い勝手を向上させるアプリケーションの改善に注目した。工場が独自に作っているラダー(PLCの用語でいうソフト)の構成を整理しながら、より現場が使い勝手が上がるようにキーエンスが改善する。ある程度標準化が見込めたら、それらをパッケージ化して業界毎や製造装置毎に整理しPLCのサービスとして提供した。
製造現場はPLCが欲しいのではなく、PLCを使って製造装置を制御し、完成品である商品をトラブルなく作りたいのだ。まさにレビットのドリルの穴を昔から実行しているのだ。では競合の三菱やオムロン含め、他のメーカーはどうだろう。上述のように、商品はPLCなのでひたすらPLCを作ることに専念し、売った後はほぼかまっていないという時代が続いた。現場はマニアのようにハードを買って満足することはない。その効用を期待しているのだ。徐々に現場の問題解決に力を入れるキーエンスに軍配があがりシェアを取られていくわけだ。
当然にメーカーは現場に寄り添う努力をはじめる。が、商品を販売した後の組織はグループ会社か協力会社か委託会社で、エリアでもバラバラに管理されている。なかば丸投げ状態が続いていたので、今更、メーカーが寄り添うことを決めても、下流工程の利権を紐解いて顧客マターの仕組みに作り変えることができないでいる。そこでお家芸の机上でアプリケーションを作りはじめることに集中した。当然、現場のコトを知らないアプリケーションの評判はよろしく無い。
今後新規でコトをはじめる際は、商品づくりと顧客づくりは同時に行うことを意識しよう。できれば自分たちで主導権を握る覚悟で望むべきだ。もし商品づくりが上手くいかなければ、顧客づくりは手放してはいけない。同じカテゴリ、同じペインを持つ顧客、特定のエリアにフォーカスした顧客を強い関係性で直接DB化し、直接コミュニケーションが取れる仕組みがあれば、事業を拡張する可能性が一気に広がるし、そこに投資マネーが集まる可能性は十分にあるからだ。
新規事業の旅(その23) 道具の使い方
新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
新規事業の旅その21 現場とトップのギャップ
2022年10月5日
早嶋です。
新たな動きを初める企業において、現場とトップのギャップが在るなど耳にする。現場は昔ながらの取り組みを行い変革しない。トップは一方的な見解で方針を通達する。等々だ。
結論、現場が悪いというトップは以下の傾向を観察する。
1)方針を出すも説明不足
方針は戦略そのものであり、企業としては外部環境と内部環境を加味した上で議論して策定している。しかし受ける現場は、その流れや考えるための素地が不足しており、結果的に指示が降りてきたと理解する。なんとなく理解出来ても本来の意味が不明のまま、結果行動を変えるなどおこならい。
ここに関して、トップや経営陣が現場に出向いて何度も現状やこれまでのコトを議論して今後の方向性を示す企業もある。役員、管理職が既存の仕事や不毛な書類業務に時間を費やすのではなく現場と向き合いながら新たな行動をはじめるまで根気強く説明を繰り返すのだ。
いやいや私は行っている!という企業は、例えばトップの考えをこまめに社内報にまとめて伝えるなど努力しているのだが、それが伝わったのか?の確認ができていないのだ。近年は、現場を回りながら方針を説明し、適宜議論を繰り返す企業も観察できる。その様子を都度動画で取り、社内コミュニケーション部隊が適宜動画を編集して翌日の朝礼で現場含めて見れる状況を提供するなど工夫をしている。
2)行動につながらない、現場は考えていない!
上述の続きにもなるが、方針が見えたところで現場がすぐに動くと勘違いしている。成長期に現場の経験を得、成熟期に経営陣になった経営者に多く見られる。方針を伝えた時に現場が動けるのは、既に同じようなコトを繰り返した経験があるときのみだ。昨今のように大きな変更をする場合は、具体的な一歩を考えることができる人がいないのだ。現場のせいではなく、その取組について具体的にどうすると良いのか?をそのフォローまで行うことが大切だ。
言葉としては自分ごとなどがある。が、それも丸投げだ。現場も責任があり過去の流れや今の顧客を支えている自負が在るし、考えようと必死だ。しかし、トップからはいろいろな方針が聞こえ、自分たちでは無理だとなる。
解としては、小さなプロジェクトを作り3ヶ月程度で、トップがいう取り組みを現場と経営陣が一緒になって実験的な取り組みをすることだ。その状況を社内に広報を行いながら失敗事例や成功体験を都度共有していく。そして、その取組を社内に展開して、1年程度はやはり現場とトップがその取組について試行錯誤しながら失敗と成功を共有してトップが示す方針を実現するための具体的なフォローを行うことだ。
このテストマーケティング的な動きを現場とトップの双方がコミットして行うことで、互いの考えや現場の感覚が理解できて、双方のおかしなギャップは解除されるのだ。
3)現場を知らないKPIの通達
2)の取り組みを無視した場合、トップが示すゴールを達成するための無意味なKPIが机上のスタッフ部門で考え出され、ますます現場との距離が遠ざかっていく。
上述の通り、テストマーケを繰り返し、その小さな取り組みで結果目標に対しての通過目標をどのように設定するべきかを検討して、ここでも色々と試していくべきだ。特に通過目標の中でも肝となるKGIなどの設定は、いきなり正解を求める発想は捨てるべきなのだ。
現場とのテストを繰り返す中で、チューニングを行い、双方の声を重ね、大きな方向転換をするための指標の開発に資源を注がなければならない。
現場とトップは一定のギャップが在ることを前提に新たな策を打ち出し、考えることが肝だ。現場がトップに寄り添うなどはそもそも不可能だ。そのような役割はない。一方で、トップは方針だけを示せば現場が動けるという発想は捨てるべきだ。自分が行ったことも無いような取り組みを今後は現場を含めて行わないと成果はでない。それらを良く考えた場合、初期のヘーズは自分たちも汗水流して、テスト的な取り組みを行うことが必要なことがわかってくるだろう。
小さくはじめる最大の理由は、トップが現場や今の環境をリアルで体感することだ。そしてそのエッセンスをベースに、全社で展開するための考えや具体策を考え続け、修正を繰り返して方針の達成を迎えるという感覚をもつべきなのだ。
新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
これからの時代を生き抜くため~well-being~①
2022年10月3日
安藤です。
今回は、「これからの時代を生き抜くため~well-being~①」です。
今、話題になっているwell-beingについてお書きします。企業の在り方や個人のワークライフバランスが見直されている中、これからの時代の中心的な考え方として注目されています。また、人口減少・社会構造の変化の中で、well-beingの向上と生産性向上の好循環、多様な活躍に向けて内閣府も「満足度・生活の質に関する調査~日本のwell-beingの動向~」を提示しています。*2022年7月付けsummary22.pdf (cao.go.jp) 他、インターネット関連サービスを提供する楽天グループでは、「従業員のwell-being」に取り組んでいると公表しています。
まず、well-beingとはなにか、「ウェルビーイング(well-being)」は、健康、幸福、福祉などに直訳されます。ウェルビーイングということばが初めて登場したのは、1946年に世界保健機関(WHO)が設立されたときです。
世界保健機関憲章では、「健康とは、単に疾病がない状態ということではなく、肉体的、精神的、そして社会的に、完全に満たされた状態にある」と定義されています(”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”)。
「健康」は、狭い意味での心身の健康のみを指すのではなく、感情として幸せを感じたり、社会的に良好な状態を維持していることなど、全てが満たされている広い意味での「健康」である、と解釈できます。
厚生労働省「雇用政策研究会報告書概要では、「ウェルビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。と記しています。
次に、なぜ、国、大手企業が “well-being” に取り組んでいるのか。背景として挙げられるのは、3点あります。1点は、人口減少(2017年1億2,671万人から、2040年には1億1000万人程度まで減少する見込み。2点目は、高齢化(65歳以上人口は、高齢化率も27.7%⇒35%超に上昇)。3点目は、技術革新(AI等に代表される技術革新の急速な進展により、働き方も含めた社会のあり方が変容する可能性があるといわれています。詳しことは、こちらをご覧くださいませ000532354.pdf (mhlw.go.jp)
そして、個人が「well-beingであることが、well-doing」につながる。企業にとっても、労働者が能力を発揮することで生産性につながるというこという考え方です。いわば、労働者自身が充実し、満足した状態であることが最も大事だということです。
具体的には、仕事における幸せの効果として8つ挙げられています。
① イノベーションが3倍(Shawn Achor) ②変化の適応度が45%高い(Gallup) ③営業成績が37%高い(Martin Seligman) ④生産性が21%高い(Gallup)⑤燃え尽き症候群が4倍少ない(Gallup) ⑥欠勤が41%少ない(Gallup) ⑦退職が59%低い(Gallup) ⑧不安全による事故が70%少ない(Gallup) 引用:前野隆司氏
① ~⑧が可能であれば、企業が取り組む理由として納得がいきます。
日本での取組例を挙げると、楽天グループでは、創業メンバーである小林正忠氏が、CWO(チーフ・ウェルビーイング・オフィサー)の役割を担い、カフェテリアやフィットネスなど健康を支える事業を行う「ウェルネス部」、従業員と組織のつながりを高める「エンプロイーエンゲージメント部」、情報発信などに係る「サスティナビリティ部」の3つの部署を設け、個人、組織、社会のウェルビーイングに取り組んでいます。
また持続可能なチームには、仲間・時間・空間の「三間(さんま)」に「余白」を設けることの重要性を解くなど、企業や個人へ向けて独自に行ったさまざまな研究成果を公開しています。
そこで、現在は、well-beingを計測する指標が注目を浴びています。
次回は、指標について書かせて頂きます。
私自身も、企業でwell-beingコーチとして担当しています。何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
新規事業の旅その20 自前主義の呪縛とイデオロギー
2022年9月30日
早嶋です。
メーカーなど、特に機械を扱う企業は、原材料や部品の調達から組立、動作確認まで、精緻な経験と技術が必要とされた。従い、徐々に取組む仲間を形成し、時間の経過と共に理想の産業形態を作り上げた。が、自然環境が変化するのと同じ、産業を取り巻く環境にもそれはやってくる。生物が互いに環境に左右されながら互いが最適に生命を育む完成した生態系も実は微小な変化を繰り返し一定の期間を経て差分を取ると大きく変わっていることが分かると思う。
生物世界と産業世界を分け隔てるとしたら、それは人間の観念や思想だと思う。人間は考える葦である一歩、その考えがイデオロギー的に執着を生み出し、変化にストップをかける事例がある。それはプライドが邪魔をさせるという表現がふさわしい。
メーカーの多くは全ての取り組みを把握して、全ての整合性を自分たちで管理してきた。従い、自前主義が前提で、他社に手助けして貰う発想は乏しい、あるいは無い。
ハードからソフトにシフトした際に、電子媒体で記述されるソフトの特徴に、コピペができること。瞬時に伝送することができること。の2つがある。ハードの場合は研究して開発して技術が確立しても、そのハードを2つ作るためには、相応のコストがかかる。そしてそのハードを使用する場合、A地点からB地点に動かす場合にまた相応のコストがかかる。
一方でソフトはその2つから開放される。企業の生産過程において、何らかのコストを下げる方式を編み出したとする。そのソフトを別の企業の生産過程に導入する際、理屈ではコピーが可能だ。インプット部分とアウトプット部分の微調整は人員の整合が必要だが、ソフトそのものの生産するコストについてはほぼゼロに近い。そして、そのソフトを利用する企業間の距離が物理的に離れていても、ネットワークを介してほぼ瞬時に移動が可能だ。
また、アナログと違って、ソフトとソフトを結合する部分の記述やルール(プロトコル)などの整合性が取れていれば、基本的にそのとおり稼働する。そのため、ソフトの中身がわからなくても、その機能と入出力の部分を理解すれば、新たに作らずに活用することが可能だ。ハードの思想と全くことなる概念だ。
そのためソフト屋さんは、全てを時前で作るのではなく、既に世の中で動いている部分に対しては、その部分を活用して、不足する部分。自分たちが力点を置く部分を自分たちで開発して結合さえることで全体の機能を提供しようとする。まさにプラットフォームを活用する発想だ。
この理屈はハードであれ、ソフトであれ、技術者では当然にすんなりと理解できる。が、邪魔をしている思想に、「俺達よりも規模の小さな企業が作ったソフトを活用するのか・・・」とか「これまで競業していた企業の仕組みを導入するなんて・・・」という思想が入り込み、行動や意思決定を鈍らせている事実を多数観察できるのだ。
思考のトレーニングの中で、固定観念を時、まっさらな状態で取組むことの重要性を指摘するが、三つ子の魂百までというように、大きな阻害要因になっているのだ。
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
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新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
新規事業の旅19 モノからコトへ転身できない企業
2022年9月29日
早嶋です。
韓国製の兵器を購入する国が増えている。21年の防衛産業輸出額は70億ドルで前年の倍増。22年は100億ドルを超える資産だ。背景は綿密に各国の市場を調査して徹底したオーダーメイドを行う輸出で商機を掴んでいることだ(22年9月29日日経新聞参照)。
方や日本は防衛産業から撤退する企業も増えて折、国防の観点からも14年から輸出に取り組んでいる。しかし成約は未だに一桁台。指示通りに造ったモノを販売するという体制が垣間見られる。
同じくインドネシアのEV市場。ガソリン車で花咲いた日本の影は薄く今年の1月から8月のEV販売シェアは上汽通用五菱(中国)と現代自動車(韓国)で2分している。最も日本勢は東南アジアでのEV普及には時間がかかるという推測から米国と中国市場にフォーカスする戦略を取った結果とも言える。しかし、一方でインドネシアのガソリン車市場は、トヨタ3割で他ダイハツ、ホンダ、三菱で9割を占める勢いだ。中国と韓国は次のEV車に目を向けてゲームチェンジャーとして動いているとも伺える(22年9月29日日経新聞参照)。
上記2つの事例は、ハードを得意とする日本が他国に追い越されている状況をしめしている。この現象は国内メーカーに於いても観察できる。ハード主体からソフトに転向しようとする意思は示しているものの実際は全く何も出来ていない状況だ。例えば、「モノ売りからコト売りにシフト」とか「ソリューションカンパニーへの転身」等をうたっている企業も同じ状況だ。
ハード産業、モノづくり産業は、部分の調達や組み立てに微妙な現場のクセやノウハウが必要な産業だ。そのため商品化するまでに長い年月をかけて日々調整するというのを繰り返してきた。当然、そこにまつわる設備投資も大きく、10年、20年のスパンで設備を使用することを念頭に仕事をしている。投資の単位も、細かい調整の単位も、取引先との関係構築も、現場のエンジニアの育成も長い時間をかけて今を作っているのだ。
そこにオープンネットワークやオープンテクノロジーと言われても、関係性も無い企業が作った仕組みなど鼻から信用していない。知らない企業が作った商品は、規格があっても全てゼロから品質保証が調べる体質になっている。そこをクリア出来なければ自社の仕事の流れに組み入れられないのだ。ハード屋として市場に出した後の失敗は許されない。全て完璧な状態にして提供しなければ信用を失うと考え、ソフトのバージョンアップで使用体験を向上するなどの提案を一切受け入れないのだ。
そこにきて、トップは「モノ売りからコト売りにシフト」とか「ソリューションカンパニーへの転身」とか言い始めた。昔のように作れば売れた時代ではないので、方針は正しい。皆アップルのようにハードを提供し、利用者の状況に応じてソフトを提供する。適宜使っていただきながらバージョンアップを繰り返すイメージを抱いている。テスラのように、提供したハードの仕様を高めるソフトを販売後も提供するようなビジネスモデルに憧れを抱いている。
しかし出来ない。上述では、モノづくりの部分にフォーカスしたが他の理由もある。未だに自分たちをメーカーと称している通り、研究・企画・開発して製造した後の仕事の流れを小会社や孫会社、委託先にお願いしている企業が多い。そのため、下流に位置するエンドユーザーが何を考えていて、実際にどのように商品を使っているかを把握する手段が無いのだ。
仮に、ハードを売って、その後のソフトを提供する中で顧客体験を高める仕組みを持っていても、間に入る業者や小会社の調整が出来ず、商流の調整と情報の流れを全く管理出来ていないのだ。
少し考えて見たら分かるものだがそれが出来ないのだ。なぜだろう。「モノ売りからコト売りにシフト」とか「ソリューションカンパニーへの転身」とか言って現場の部隊を動かしているオジサンやオバサンたちは、どっぷりモノを作れば売れていた時代に社会人の基本を叩き込まれている。トップが変えようとしている概念は、実は会社を全く違う仕組みにすることよ。そのため、ビジネスモデルをゼロから見直し、組織もゼロリセット。従来の取引先や顧客へのアプローチも、みーんな全部まるごとガラガラポンすることだよ。ということを全く理解していないのだ。
だからソフト主体として、コト売りに成功している企業の多くは、起業して10年、20年の若い会社が多く、彼らからしたらその仕組やビジネスモデルが当たり前で、ハード企業や物売り企業の苦しみが実は良く理解できないのでは無いかと思う。
生きる道は2つ。自分たちで「モノ売りからコト売りにシフト」とか「ソリューションカンパニーへの転身」なる転換を諦め、最も活躍している企業のハード専業になる。か、今のオジサン、オバサンに与えた権限を全て剥奪して入社した5年から10年の、脂が乗った社員に舵取りをさせてガラガラポンすること。なのではないでしょうか。
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