新規事業の旅96 オープンイノベーションの打ち手としてのCVC
2024年2月7日
早嶋です。
成熟事業でキャッシュを得る企業の多くは新規事業開発に課題を持つ。一方で、新規事業開発を積極的に進めている企業は、事業開発の手法にオープンイノベーションを活用している。NEDOによるとオープンイノベーションは、”組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことである”と語られる。
新規事業を開発する手段としては、完全に時前で行う方法と、外部リソースを活用する方法がある。オープンイノベーションは双方を融合した手法だ。企業が事業開発を自前で行う場合、いわゆるゼロイチのフェーズで、オープンイノベーションといいながら従来の思考、時間軸、ネットワーク、業界で議論をしがちだ。従い、セレンディピティ的な事象が起きにくく閉塞感を伴うことが多い。そもそも従来の延長で議論をして新規事業が開発できていれば、今苦しんでいないはずなのだ。
そこで本稿でも度々議論しているが、ゼロイチの次は何故かM&Aに希望を持つ。新規事業を買うことで解決しようと考えるのだ。が、繰り返し何度も言うようにM&Aは万能ではなく、簡単では無い。
そこで、いよいよオープンイノベーションを実施することになるが、どうもベンチャーだ!ということでベンチャーキャピタルと関係を強めて情報を集めようとする。この取組自体は間違っていない。ベンチャーキャピタルは様々な得意分野があり、その得意分野に関する情報と周辺の話は確実に集まってくるからだ。
しかし、ベンチャーキャピタル(VC)にお金を費やしても、なかなかオープンイノベーションでの自社事業展開に結びつかない。基本的なベンチャーキャピタルは、複数の資本家からLP投資を受け、その金額から運営費をまかないながら特定分野に投資をする。ベンチャー企業に出資をするのはVCで、LPとVCは通常10年の運用契約を結ぶ。
企業がLP投資をしてVCを通じてベンチャー企業に出資をすることは可能だが、基本的に複数のLPの話を聞いて合意をとって投資とはいかない。VCの目的は自ずと財務リターンを最大化することになる。
では、オープンイノベーションをどのように進めるのがよいのかだ。基本的には、自社や事業の現在から将来にわたる課題を整理しながら、その課題の解決ができるパートナーを都度さがしながら、提携しながら取り組むことを提案し続けることだ。
通常、ベンチャー企業はプロダクトを有することが多い。イノベーティブな技術や視点が異なるアプローチで商品開発を行っている。一方で、成熟した企業は組織を活用した営業力やこれまで培ってきた特定エリアのネットワークを有す。また製品の品質を向上したり、小規模生産を大規模生産に展開するなどを得意とする。そのため将来の課題を保管できる技術や製品やサービスの開発が終わり、テストマーケティングを行う前後で企業が提携をすることができれば、双方にメリットが出る可能性がある。
事業会社は事業開発が効率的に進み、ベンチャーは不足する資源を獲得すると同時に、将来の販売網を一部確保するなどが見えてくる。場合によっては、1年分程度の運転資金を獲得して、じっくりと事業化に専念できるようになる。
が、このような取組を事業会社が取り組んだとしても、1社、2社程度は良いが10社から20社くらい同時並行して進めるとなるとかなり苦労する。そこで、提携や協業を行いながら出資を続けるCVCの存在が非常見魅力的に見えてくる。CVCは、LP1社に対してGP1社の1対1で運営する。そのためGPは事業会社の投資目的を実現するベンチャー企業をリストアップの段階から一緒に協議して進め、ミドルリストの絞り込みを行う。
例えば、30億円規模のCVCであれば、1億から数億の投資を1年で3本程度行いはじめの5年で投資を終える。その中で、提携で終わり投資をしないベンチャーもあるし、出資提携を行いながら事業開発の協業を行うベンチャーもある。複数のベンチャーを毎月投資後もフォローをしながら事業シナジーと財務リターンの両方を獲得するようにGPが細かくベンチャー企業と行動をともにするのだ。
そう、一定の金額予算を確保して事業シナジーを生みながらオープンイノベーションを実施するために、CVCの活用は非常に合理的かつ魅力的なのだ。
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ソーシャルスタイルを知ってビジネスに活かす(前編)
2024年2月1日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今月のテーマは「ソーシャルスタイルを知ってビジネスに活かす(前編)」です。皆さんはご自分のソーシャルスタイルをご存知でしょうか?「ソーシャルスタイルって何?」という方もおられると思います。またソーシャルスタイルをどのようにビジネスに活かせればよいのかもご紹介します。
まず、ソーシャルスタイルとはアメリカの心理学者デビッド・メリルとロジャー・レイドによって提唱されたコミュニケーション理論です。ソーシャルスタイルは人間を4つのスタイルに分類し、それぞれの傾向、人間関係、意思決定、強み弱みなどを提示しています。よって、自分と相手のソーシャルスタイルが分かれば、相性のようなモノがわかるのでどのようにコミュニケーションをとれば良いのかヒントになるというわけです。
4つのスタイルとは、エクスプレッシブ(エンターティナータイプ)、エミアブル(サポータータイプ)、ドライバー(リーダータイプ)、アナリティカル(分析タイプ)です。それぞれの特徴は後ほど解説します。
さて、ご自分がどのスタイルなのか診断方法は、シンプルです。2つの軸で考えます。一つ目の軸は、「感情を出すか、出さないか」という傾向です。もう一つの軸は、「自己主張をするか、しないか」です。もちろんそれぞれ強弱の度合いはあるでしょうが、ご自分の普段の傾向を振り返ってみていただければいいのです。
「感情を出すか、出さないか」と言うと、例えば、その時の気分がすぐ顔に出てしまう人かポーカーフェイスを貫く人なのか、思い付いたことをすぐ話す人かじっくり考えて言葉を選んで話す人なのか、親しみやすい雰囲気か冷静沈着でクールな雰囲気か、などで判断がつくでしょう。
「自己主張をするか、しないか」と言うと、例えば、遠慮なくズバッと言う人か遠回しに言う人か、即断即決する人か熟考する人か、白黒つけたがる人かあいまいでも良しとする人か、などで判断がつくでしょう。
このようにご自分の傾向を知るとスタイルが見えてきます。
エクスプレッシブ(エンターティナータイプ)は、「感情を出す×自己主張をする」人です。その特徴は、とにかく明るくノリが良い人です。よく話すし、ざっくばらんです。感覚や直感を重視し、理詰めで計画を立てることは苦手です。
エミアブル(サポータータイプ)は、「感情を出す×自己主張をしない」人です。その特徴は、優しく協調性にあふれ、人間関係重視です。友好的で、誰かをサポートすることを好みます。反面、他者と合意することを優先するので、自分では決められない傾向があります。
ドライバー(リーダータイプ)は、「感情を出さない×自己主張をする」人です。その特徴は、目標達成のために率先してみんなを率いるのが得意です。あまり人間関係にこだわらず、なんと思われようとも自分の決めたことを進めるので周囲とぶつかる事もあります。
アナリティカル(分析タイプ)は、「感情を出さない×自己主張しない」人です。その特徴は、分析的で論理的、深く考えることが得意です。感情的に物事を判断することはなく、慎重で即決などしません。クールな印象なので、冷たい人と思われることもあるかもしれません。
このように、4つのスタイルに分けてみた時に、ご自分の傾向はいかがだったでしょうか?おおざっぱではありますが、確かにと思い当たる部分もあったかもしれませんね。
同じようにご自分の周りの方、職場の同僚や上司、部下、もしくは取引先のお客様など、どのスタイルに当てはまるか、考えてみてください。
次回はスタイル毎の相性や、各スタイルの特徴を踏まえたコミュニケーションの方法をご紹介いたします。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
新規事業の旅95 情シス情事
2024年1月30日
早嶋です。
企業における基幹システム。企業は日常的に単一から複数の事業を運営する。その中で様々な情報が飛び交い、経営者は日々意思決定を強いられる。基幹システムはそれらを企業で統合し経営資源をより効率的に活用する目的で管理活用する仕組だ。そのため基幹システムの活用は戦略と紐づくべきだ。
経営資源は、ヒト、モノ、カネと言われる。ヒトに関しては、人事評価や給与計算、日常的な仕事の報告から、顧客管理まで多岐にわたる。モノに関しても、購買管理、在庫管理、生産管理、需要予測など様々だ。そして、カネに関しては、会計財務、原価管理、に加えて人的資本経営の各指標の判断など、膨大な情報を日々企業は管理している。
コンピューターが企業の中に組み入れはじめたのは1990年頃だ。当時は、今と比較できないくらい高価で物理的に大きく処理速度も驚くほど遅かった。それでも全てアナログで行っている作業をコンピューターに置き換えることで劇的な進化を感じる兆しがあった。95年にマイクロソフトが基本OSを発売する前後から、個々人がPCを使う文化が浸透し始め、2000年頃から、大手企業や進んだ企業は1人1台のPC割当が当たり前になっていく。
企業のシステムや情報管理を行う部隊はPCの歴史とともに始まる。情報シスと呼称され、従業員が一定数以上いれば必ずある部門だ。当初は、導入した高価なコンピュータにデータ入力し、機材を管理するのが主な役割だった。しかし、2000年頃より、社員ひとりひとりにPCが配布されるようになり、その手配やフォローなどを行う部隊に変わっていく。やがて、オンプレのサーバーに様々なデータを詰め込み、管理し活用する動きが出てくるが、この頃より情シス部隊のアップデートに限界がくる。日常的な社内インフラの問い合わせや雑務に追われるなか、基幹システムのような構想が世の中に出始めるのだ。
2000年頃より増設された情シス部隊。メーカーや商社や金融等、日々のテクノロジーを活用して情報で利ざやを稼ぐ企業は情シスの重要性を理解して、戦略部門とセットで採用教育育成を続けた結果、中枢の部隊となっている。しかし多くの企業は2000年頃に出来た部隊の仲間が継続して、戦略とは無関係に総務の延長のような仕事として、重要な部隊にも関わらず陽の目をみない部隊となる。その結果、情シス部門の高齢化が進み、2010年頃より、新規採用を始めるも、社員が根付かない現象を繰り返す。
理屈はこうだ。情シス部隊に採用された新卒は、最新のテクノロジーを学び、それらを駆使して大学やマスターで取り組んだような仕組みの構築や将来の社会インフラを変える取り組みなどを期待する。しかし、明らかに新卒の研修でも配属先での業務もレベルが低く、マネジメント層や上司がそもそもデジタルを理解していない。あるいは、理解している方はごく一部で、全ての社内の業務が集中するので、新人の教育どころではないのだ。
こんなもんかとSNSで他の同期やメーカーの情シスのことを調べると、どうも違うようだ。自分が居る部署がそもそも外れなのだ。と思い、転職していく。
企業も2010年頃より、情シスを強化してデジタル化、近年ではトランスフォーメーションを加えてDX化を試みるが、そもそも戦略の理解と現場や現業の上流工程や下流工程を理解しながら、どこをトランスフォーメーションすると良いかを構想できる人材が少ない。更に、それらを近年のテクノロジーでどのように応用的に解決できるか、アンテナを張る範囲が圧倒的に少ないのだ。結果、外注先に丸投げしてしまい、社内で採用、育成、強化する取り組みが疎かになったのだ。
何事もどっぷり浸かって、2年、3年本気で取り組めば大手企業に務める能力がある方は、手法や勘所はわかるのだが、専門外と言ってSIerに依頼するのだ。その際も、全体の使用決めや職場や事業や業界の課題を整理して、最低限目的などを共有できれば良いのだが、それも丸投げ。
ということで、大手SIerも真面目に取り組んだら採算が合わないので、仕事を欲する協力会社1合に依頼、1号は内容がわからないということで実績があると思う2号に丸投げ。結果、フリーランスでガンガン動いている数人が仕上げてしまうも、表に出ずに、手数料だけ抜かれて誰も幸せにならない構図が数年経過するのだ。
そんなときに、オンプレミス、つまりソフトやハードを自前で調達して自社に設置する運用形態から、クラウドサービスが登場していき、また現場がついてこれなくなっているのだ。大手SIerも知恵のアップデートが遅れ、丸投げした個人や協力会社2号はクラウドを武器に、それぞれが提供する資格を取り続け、常に知識と知恵と経験をアップデートした結果、下剋上の世の中になっている。
基幹システムの構築は戦略そのものだ。企業が生産性をあげて事業を遂行し、成長をしたいのであれば、都度その仕組や評価方法などもアップデートしていく。ここに皆が気がついているが、デジタルの理解が少ない経営者や管理者が多い企業は、自社で構築している少し前のオンプレ中心とした基幹システムを、クラウド中心の仕組みに総入れ替えする意思決定も出来ないのが現状だ。
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パルミジャーニとエルメス
2024年1月21日
早嶋です。
スイスのノバルティス製薬グループの創業者一族で、世界有数の財団にサンド・ファミリー財団がある。当然にこのような背景を持つ財団であれば医療制度の向上や教育制度の支援を行うと思うだろう。サンド財団はその中で、芸術の支援の一環として同財団が所蔵する時計やオートマタ(からくり人形などの機械)などの修復や管理をミッシェル・パルミジャーニに一任した。
ミッシェル・パルミジャーニは「神の手」を持つ時計師という枕詞がつくほどの技術を有す。スイス高級時計の神秘に惹かれ、時計の修復を学んだパルミジャーニは、クオーツ時計が世の中に登場し伝統的な時計製造業が危機に陥るさなかの1976年、修復専門のアトリエを構えた。修復の仕事を繰り返す中で、パルミジャーニは過去の傑作時計を先生に機構を深く学び、時計づくりの叡智と技術を極めていく。そして1980年に希少な時計コレクションを有する冒頭のサンド財団と出会ったのだ。
時計の修復をする過程で様々な部品工房や職人との関係を大切にしながら関係を強化していき、やがてそのネットワークが時計生産体制の基礎となっていく。そして1996年にサンド財団の全面的な資金援助の下、パルミジャーニ・フルリエをスタートさせた。時計業界では水平分業型で製造する手法と製造工程の95%以上を自社で行うマニュファクチュールの手法があり、パルミジャーニ・フルリエは後者の手法を取った。修復から得た知見や美意識を形にしたモデルは、黄金比に基づくプロポーションと過去の機構からヒントを得た様々な機構が同社の特徴となり比較的新しい時計メゾンであるが、近年では存在感を示すブランドになっている。
パルミジャーニとサンド財団は、時計製造の文化と技術を未来永劫継続的に残し、そして発展させていくためにマニュファクチュールの戦略を取る。ケースメーカー、回転部品や文字盤メーカーなど、次々と傘下にすることで、オート・オルロジュリー(高級複雑時計製造)を製造する体制を整えた。現在では、脱進機もグループ内のアトカルパ社により製造される。
時計業界の内側から見ると、急激なマニュファクチュールへのM&Aは少々やり過ぎ感を感じるものもいるかも知れない。しかし、パルミジャーニは同業者からの外部受注も引き受けている。それがヴォーシェ(Vaucher Private Label)だ。自社では製造できない高品質なムーブメントを若い時計ブランドやミクロブランドに提供するのだ。
そのヴォーシェ一押しのムーブメントは5400シリーズだと思う。スモールセコンドとマイクロローターを搭載した3針ムーブメントだ。パルミジャーニ・フルリエの代表作であるパルミジャーニ・トンダ1950など、自社ブランドでも幅広く展開しているムーブメントだ。我々、パリス・ダコスタ・ハヤシマの処女作モデルである紺碧(KONPEKI)、そして2024年2月にデビューする鏡餅(KAGAMIMOCHI)も同シリーズのムーブメントを載せている。
他の高級メゾンも同ムーブメントの採用は多く、例えばエルメスのスリム・ドゥ・エルメスもそうだ。このモデルは、ドンツェ・カドランのエナメル文字盤の仕様でファッションブランドの粋を超え、機械式高級腕時計として認知された。それもそのはず、エルメスはヴォーシェ・フルリエの株式を25%保有しており確固たる資本業務提携の関係だからなのだ。
(時にまつわるブログ)
スイス産業とその歴史・その1
スイス産業とその歴史・その2
腕時計とリトルハイア
日本勢の時計の売り方
スイスの腕時計事情
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脳のウォーミングアップ
導線
ペルソナ
ブランドコントロール
プロダクト・プレイスメント
新規事業の旅94 通年採用のススメ
2024年1月10日
早嶋です。
新規事業。持続可能な社会の再構築。イノベーション。日本企業の多くが共通認識として掲げるスローガンだ。このような難しい社会の課題を解決するための人財戦略の多くは未だに新卒一括採用が幅を利かせる。
別の視点では、人財を資本と捉えて積極的に投資を行い、長期的な企業の利益に結びつける経営手法を上記の企業はセットで掲げる。従来のように経営資源であるヒトを費用として捉えるのではなく、資本と捉え投資をする中で価値を上げる資源と捉えている。
しかし、採用現場には大きな矛盾が生じているのだ。
人的資本経営を掲げる企業、イノベーションを連呼する企業。そのような企業が未だに新卒を人財調達の1丁目一番地に置いているからだ。しかも、就職活動の時期が早期化していることで、大学での学びが更に薄まっている。学士で就職をする学生は3年生の春、修士は1年生の春からインターンシップ活動に明け暮れる。大手企業も限りある人財資源をゲットするために、本業度外視の学生に唾をつけるのだ。修士は未だ良いとして学士の場合、これから大学の学びを本格化する時期だ。学生は、大学の授業やゼミよりもインターンや就活を優先している。そして、早々に就職のチケットを得た学生は学びをやめてしまっている。本末転倒なのだ。
同様の企業は、人財の多様性に加えて、グローバルで活躍する学生を求めている。が、留学の時期は3年生の後半から4年生にかけてが一般的で、インターンの活動と重なるため今の学生の思考では、留学の選択肢が薄れてきているのだ。同窓生は、その時期にインターンシップを経験して就職を有利に進めていると勘違いしてしまうからだ。
もっぱら、高校生にとって大学がゴールであり、大学生は就職がゴールのような幻想を抱く。更に学生時間にじっくり時間をかけて将来を見つめ勉学や遊びに励む余裕も希薄化している。そのような学生を資本と捉えて長期的に育てる企業も問題視すべきだが、この流れを変えることは難しいだろう。
20年前の学生は、NPO法人の活動に力を入れて、就活の材料として企業にPRしていた。今は学生起業部やベンチャー企業でのバイトに勤しみ、その経験を就活の材料として大手のチケットをゲットしようとする。学生からすると人生の中で新卒という1回限りのタイトルを最大限活用すべく努力しているのも分かる。
提案だ。企業人事戦士は新卒一括採用という古き良き次代の考え方を捨て、通年採用に軸足を移すべきではないだろうか。当然、新卒一括採用のコスパは最強だし、定着した文化なので一定のボリュームを効率的に確保できる手段だ。が、20年前と同じような忍耐力は今の学生にない。たくさん学生を採用して半分くらい残ればラッキーという考えでは、採用した人財を資本として認知するのも疑問だ。それよい通年採用にシフトして、全ての人財を一本釣りをしながらじっくりと人財=資本として向き合う方々とコミュニケーションを取る手法に軸足を移す時期がきているのではないか。
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目標達成のためのタイムマネジメント
2024年1月10日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
新年最初のテーマは「目標達成のためのタイムマネジメント」です。年の初めに目標設定や計画を立てられた方が多いと思います。時間の使い方で成果も変わってきますので、このタイミングで改めてタイムマネジメントの方法をお伝えします。
7つの習慣のスティーブン・コビー博士曰く「タイムマネジメントとは、優先順位をつけてそれを実行すること」です。仕事において、何を優先するべきか、日々明確になっているでしょうか?その通りに実行できているでしょうか?私はまだまだ不十分だなぁと反省しています。
タイムマネジメントの前提を3つあげます。当たり前のことばかりなのですが、ここがとても重要です。
1つ目は、「時間そのものは、マネジメント(管理)出来ない」ということです。1日は24時間、1年は365日、これは伸ばすことも縮めることもできません。つまり1日の枠は決まっているので、その限られた枠の中をどのように使うか、ということがタイムマネジメントです。もし毎日時間が足りない、仕事に追われているという人は、何かを辞めるか短縮するしかないということが前提になります。
2つ目は、1つ目を踏まえて、マネジメント(管理)できることは自分の行動のみであるということです。どの仕事をやるかやらないか、その仕事にどれぐらい時間をかけるか、は自分でコントロールできるはずです。つまりタイムマネジメントは自分の行動管理と言えます。
3つ目は、2つ目を踏まえて、行動管理するためには自分の考え方を変えなければならないということです。今までと同じ考え方では、今まで通りの行動(時間の使い方)になってしまいます。行動を変えるには、その源である自分の考え方を変えなければ何も変わりません。今までのものの見方や考え方、仕事に対するスタンスや捉え方を見直す必要がありそうです。
では具体的なタイムマネジメントの手法をお伝えします。タイムマネジメントは3つのステップで行います。
1つ目は、現状把握です。まずは自分の仕事の棚卸から始めましょう。方法は手帳を広げて、この一週間何をしていたか10分刻みで書き出してみましょう。何時から何時まで、どのような業務を行っていたか?書き出してみると、色々な気付きが得られるはずです。移動の時間が多いなとか、思った以上に書類作成に時間をとられているなとか、会議やミーティングばかりだとか。営業マンなら実際にお客様とお会いして商談している時間はどれぐらいあったでしょうか?
次は、仕事の価値付けです。方法はアイゼンハワーマトリクスを使います。縦軸に重要度、横軸に緊急度をとったマトリクスを作り、日々の仕事をプロットしていきます。ここで大事なことは、緊急な仕事を優先するのではなく、重要な仕事の優先順位を上げることです。どうしても緊急度に引っ張られて、重要でない仕事に時間を使っているということはないでしょうか。そのような仕事を捨てる(しないコトにする)、投げる(誰かに任せる)、圧縮する(パフォーマンスを上げて時短する)ことができないか検討してみましょう。特に重要だけど緊急でない象限にプロットされた仕事は後回しにしがちです。しかしこの象限に入っている仕事は将来の成果や成長に大きく関わります。例えば、仕事関連の資格勉強や学習、儲けのための仕組み構築、新しいシステム導入や手法のブラッシュアップなどです。これらを疎かにすると、組織も自分も発展しませんので、優先的に時間をとりたいものですね。
最後は、ムダな仕事を省いて生まれた『空いた時間』に、新たな活動や業務の質向上のために何をするのか決めることです。この3ステップで自分の時間の使い方、タイムマネジメントを行ってみてください。
新年にあたり、新しいことにチャレンジしようと考えておられる方もいらっしゃると思います。そのために、まずは現状の時間の使い方を見直し、効果的なタイムマネジメントを行ったうえで、挑戦してみてはいかがでしょうか。私も今年は仕事の時間配分を見直します。事業にとって一番大事なことのために使う時間をまず確保してから、他の仕事を入れるようにします。
皆様が充実した一年を送られることを祈念いたします。今年もどうぞよろしくお願いします。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
新規事業の旅93 アップルのゴーグル型端末
2024年1月9日
早嶋です。
アップルが発表したゴーグル型の端末。価格は3,499ドル。金額を見ると高いと思おうかもしれないが、同社初のゴーグル型端末にかけた開発資金は数百億ドルとも言われる。過去の報道をみると1台あたりの製造原価は2,200から2,500ドル。仮にこれが正しければ、研究開発費の回収を度外視していることになる。
仮想空間技術の専門家でKKRのアドバイザーを務める米国ベンチャー投資家のマシュー・ボール氏の分析によると、
・アップルは18年頃より開発に着手
・以降米国で約1万2,300件の特許申請を行う
・上記の内、約5,000件はゴーグル型端末に関係する
・研究開発費は約400億ドル
とのこと。
当然、この技術はMACやアイフォンなど他の商品にも転用されるであろうが、実際に莫大な開発費をかけていることが分かる。
過去に、プリンターやコピー業界でも、莫大な開発費をかけ、初期は法人向けなど限定して高価格帯の市場に投入し、その後製造コストなどの削減や技術の改善を繰り返し、同様の機能を低価格で提供する戦略を取っている。結果、大衆市場においてもシェアを拡大し、結果的に開発コストも回収するのだ。
同様にスマフォやタブレットなどの電子製品も当初は高額でごく限られた市場向けにリリースした。そして同様のマカニズムで価格を下げ大衆を取り込む戦略を取っている。
近年では、テスラのEVも似たような価格戦略を取っている。はじめて上市したロードスターは約10万ドルを超える価格設定だったが、現在の主力車種のモデル3は約3万5,000ドルで販売している。モデル3の外観は別として、EVそのものの性能はロードスターよりも遥かにバージョンアップされている。
アップルのゴーグル型端末。機能も十分ではなく、価格も高い。が、市場に出すことで開発者の基盤をつくることもできるし、様々なデータを取得することができる。それらを更に現場の開発に応用して半導体や光学系の技術に投資を行い、最終的にはアイフォンのように大衆でも少し頑張れば手の届く価格設定を出してくれることに期待しよう。
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新規事業の旅92 コカ・コーラのダイナミックプライシング
2024年1月8日
早嶋です。
コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJ)は自動販売機でダイナミックプライシングの導入を検討している。夜間に価格を上げる実験から始まり、立地や需要期に応じて価格を調整する方針だ。筆者は再び失敗すると考える。
コカ・コーラ社は1990年代後半に、米国の自動販売機でダイナミックプライシングの導入を計画していた。しかし、マスコミや競合他社から強烈な批判を浴びることになり計画は実行されなかった。当時の計画は気温が高いタイミングで価格を上げる作戦。しかし、商品の価値自体は変わらないので本当に飲みたい時に価値が上がる仕組みが消費者に受け入れられなくて批判の対象になったのだ。
昨今、IoTとクラウド、そしてAIを活用した予測で、全国に70万台ある自動販売機のデータを管理しコントロールするのは容易だ。しかし、コカ・コーラの自動販売機は、その瞬間を逃したら二度とこないような体験を売っているわけではない。街中、どこにでも設置してコカ・コーラのコンタクトポイントを増加する作戦がベースだからだ。従い、需要期に値上げをしようものならモラル的に「おかしいぞ!」的な攻撃を受け、しずしず企画を中止する姿が推測できる。
立地条件で価格を変える場合、一定の僻地(山の中、山奥、ホテルの廊下やロビー、スタジアム等)では高い金額が定着しているので、消費者は疑問を呈さないだろう。その場合は、リアルタイムではなく、通常値段が違うのだ。それが、状況に応じて金額が変化することを理解した多くの消費者は嫌気をさすだろう。
コカ・コーラの自動販売機は全国に約70万台あり、台数ベースではシェア3割を超える。つまり、特定の顧客を狙ってブランド展開を行っているわけではない。あくまでもマスマーケティングで全国民をターゲットとして様々な商品を展開している。となると、コカ・コーラのことを考えて理解して商品を買うという層がいたとしても、コカ・コーラの商売を満たすだけのパイは無い。
ならばポイントを付与するのはどうか。既に導入はある。15本買えば、1本無料で手に入るというプログラムだ。アプリをDLして該当の自動販売機で購入時にポイントを貯める。DL数自体は2022年6月時点で3700万件を超えている。しかし、金額が高い時に、ポイントが付くからと言ってわざわざ買うだろうか。これも考えにくい。むしろコカ・コーラはCoke ONアプリを活用してサブスクの事業を展開したいはずだった。Coke ON Passだ。月学2,700円で毎日1本、上限毎月31本まで買えるプログラムだ。このプランは1日1本の引き換えで制限があった。ケータイのデータ量のように持ち越しが出来ない部分と1日に1本しか買えないことが不満になり解約に繋がった。そこで新たにお得プランMAXなるプログラムを導入して1日2本までの引き換えに変更している。
ここまでの結果を見ても、コカ・コーラのマス層の顧客は金銭にやかましのだ。というより安いからと言って買うことはなく、高い場合は、一定の嫌悪感を示すのだ。仮に夜に10円安いから買うのではなく、たまたま通りがかって買う。しかし、立地や需要に応じて明らかにいつもよりも高いことが分かれば、わざわざ自動販売機で買わないだろう。コンビニやスーパーで買う購買行動にシフトするだけなのだ。自動販売機はコカ・コーラの努力でコモディティにしている。それらを今更理屈では可能なダイナミックプライシングに変えたとてうまくいかないのだ。
アパホテルのダイナミックプライシングが成功している理由と比較してみよう。アパの場合、特定のビジネスパーソンを相手にしている。その立地にどうしても泊まりたい一定数の理由を持つ人が、多少の価格の乱高下を気にせずに利用する。その理由は、金銭を払うのは宿泊する人ではなく、会社だからでる。さらに、支払い金額に応じてポイントが宿泊者に溜まり、宿泊者に定期的に現金で還元される。ダイナミックプライシングの上限も法人が許容する金額を見据えて設定している徹底ぶりだ。ダイナミックプライシングが適応できる商品や業界があるのだ。少なくともコモディティで、直接購買する人と消費する人がイコールの商材は適用しづらいのだ。
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新規事業の旅91 アパホテルのプライシング
2024年1月7日
早嶋です。
アパホテルはダイナミックプライシングを導入して、資産稼働率を最大限に活用している。一部屋の金額は6,000円から12,000円がベースで需要に応じて3万円前後まで変動する。もし6,000円の部屋が1.5万円を提示された場合、顧客は疑問を呈するであろうが、その際あなたはターゲットではないと言うことだ。
アパホテルの対象顧客はビジネスパーソンで一定の層だ。特徴は、自分でお金を払わないで、法人が支払うということだ。マーケティングにおけるターゲットは特定の個人を指す場合が多く、法人ターゲットの場合は組織を分析する必要がある。例えば次のようになる。
宿泊する人:実際に出張等でホテルを利用する社員
お金を出す人:法人、もしくはその社員の上司や経理
情報提供する人:宿泊する人に影響力を与える有人知人雑誌メディア等
アパホテルが提供する価値は、確実にその立地条件に泊まれることだ。主要な都市を歩いているとアパホテルの立地は良い。部屋を常に定価で提供した場合、ターゲット外の顧客が気ままに時折のイベントなどで利用し、空室と満室のギャップが想定外に発生する。通常は、値段が安いからそのホテルに泊まると考える顧客はいるだろうが、その場所が良いから泊まるという顧客は少なくなる。しかも多少高くても、その場所に泊まりたいという顧客は更に限定されるのだ。出張等でホテルを利用する社員の中には、一定のルーティンを満たしたい顧客もいる。そのような顧客が一定数確実にいるのだ。
更に、法人の場合、お金を出すの人は泊まる人と異なるのがポイントだ。社員からすると急な出張を命じたのは会社だから問題ないと考えるだろう。自分の財布が直接痛むわけではないので、非常に合理的な判断が可能になる。個人事業主や小さな会社の経営者だと、その立地が便利だからといって通常1万円で泊まっている部屋に3万出すくらいだったら、別のシティホテルや更に程度の良いホテルを候補にあげ探すだろう。そこまで一つのホテル銘柄にロイヤリティは無いし、身銭を切る感覚があるので選択肢を広げるはずだ。
更にだ。アパホテルは宿泊する人にポイントが付与される。しかもそのポイントは宿泊価格に連動する。極端な話、急に出張を命じたのは会社だし、皆が遊んでいる時に仕事をしているのだから良いだろう。という感覚と同時に、ポイントという効力が働いているのだ。ポイントは、個人の付与なので会社の管理下にもなく、会社も黙認する。
たかがポイント侮るなかれ。アパホテルのWebサイト(2024年1月7日時点)によると、以下のように解説がある。
ーー
①現金に換える【アプリ会員、アパカード会員】
「アパ直」経由の宿泊予約で、アパポイントを5,000ptためると5,000円をアパホテルフロントでキャッシュバックします。※アパ直参画ホテル、佳水郷、海外は、キャッシュバック対応はできません。
②宿泊料金につかう
「アパ直」経由の宿泊予約で、アパポイントを宿泊料金に充当できます。※100ptから100pt単位で利用可能です。1泊1室あたり1,000ptが利用上限となります。
ーー
かくしてアパホテルの超合理的な戦略は今後も邁進するのだ。
(過去の記事)
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新規事業の旅90 提携と出資
2024年1月5日
早嶋です。
新規事業の作り方として、自社で全てを行うゼロイチがある。現社長がアントレプレナーで現役バリバリで新規ビジネスを創出しているのであれば、ゼロイチの成長は一定の可能性が見込める。
一方で、日本企業の多くはサラリーマン社長だ。実際に新規事業をゼロから立ち上げた経験よりも、誰かが立ち上げた事業を倍、10倍に伸ばす取り組みや、低迷した企業のテコ入れをして業績を取り戻すなどの課題解決が得意だ。
と考えると、多くの企業は新規事業のアプローチとしてゼロイチ以外のオプションも必要だ。その方向性は提携や出資だ。ゼロイチを創造したい分野で既にリードするベンチャーや何らかの技術やノウハウを持つ企業とタッグを組み、一緒に事業を加速する手法だ。
ベンチャー企業は、何らかのイノベーションや新しい切り口を活用して、急激な成長を目指す比較的若い企業だ。アイデアを事業化すべく日々取り組むが、多くの企業が運転資金の確保に苦しんでいる。
資金調達はDebt(借りて調達する方法)と、Equity(新株の割当と引き換えに資金を調達する方法)、そして補助金など国や自治体から調達する方法がある。ベンチャー企業の立場からDebtでの調達はリスクが有るため、Equityや補助金に頼るのケースが多い。
投資サイドから考えた場合、ベンチャー企業に闇雲に投資することはない。リスクを取れば高いリターンが得られる定石はあるが、皆がそのような投資をしない。その際に便利な考えに投資ラウンドの概念がある。
エンジェル、シード、アーリー、ミドル、レイターなどのステージに企業の成長ステージを分けて投資を検討するのだ。アーリー頃よりベンチャー企業は上場を意識する。そこでプレシリーズA、シリーズA、ミドルをプレシリーズB、シリーズB、レイターをシリーズC、上場をシリーズDと呼ぶこともある。
エンジェル投資は設立間もない企業に投資をするフェーズだ。事業会社の特注からするとこのフェーズの投資はありえない。リターンや事業シナジーが全く読めないからだ。そのため個人投資家や縁故による投資が多い。
シリーズラウンドは、スタートアップ企業が最初にベンチャーキャピタルなどの外部投資家から投資を得るフェーズだ。ほぼ無名だがプロトタイプが完成し、市場での評価を始める段階だ。このフェーズで事業会社が投資する場合、自社のリソースを活用し協力する、市場評価のテストがし易い資源を持ち合わせる、現時点での課題解決によって自分たちの事業シナジーが見込める場合などだ。この場合、ファイアンスリターンよりも事業リターンを共に分かち合う可能性がある。
シリーズAラウンドは、通常一定のユーザー顧客がいて、プロダクトの追加開発や販路拡大にEquityを使い資金調達をする。ベンチャーからすると、このラウンドは本格的な資金調達で重要な投資フェーズにもなる。また、この段階ではPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成している状況だ。プロダクトが顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状況を達成している状況だ。従い、ポテンシャルが高いベンチャーは多くのベンチャーキャピタル(VC)から既に幾重にもコンタクトがある状態だ。
出資や提携を視野に新規事業を開発したい企業が、いきなりこのフェーズの企業とネットワークを構築するのは難しい。そのためベンチャーキャピタルに出資して情報を集めながら徐々に自分たちの足で稼ぐやり方を研究する。通常は、新規事業を専任で取り組む部隊があり、そこの課長がセンスがあり足も動かせる状況にあっても、自社で直接コンタクトができるようになるまでに5年以上の歳月が必要だ。そこで、一定の資金がある企業は自社で同様の機能をもつCVCの検討や準備に取り掛かるのだ。
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