高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今月のテーマは「Yesを重ねるテストクロージング」です。お客様から契約という最終Yesをいただきたいのですが、唐突に「どうですか?ご契約いただけますか?」とお尋ねしても契約は望めません。ではどうすればいいのか、今日はそのためのスキルをご紹介します。
私は近々車の購入を考えていまして、最近は週末ごとに妻と車を見にショールームに行っています。先日もある車の試乗を行う際、営業マンが言いました。
「今から試乗していただきますが、実際に運転してみられて「いいなぁ」と思っていただけましたら、お話しを進めさせていただいてもいいですか?」
私はもちろん「いいですよ」と答えました。試乗するのですから当たり前ですよね、断る理由は何も思いつきません。
これがテストクロージングです。つまり、この営業マンは私に「乗って良かったら、買ってくれますよね」と念押ししたわけです。
この営業マンはそれ以外にも、会話の中で巧みにテストクロージングを行い、私からYesをとっていきました。
「色は黒がお好みということでしたよね?実際にご覧いただいていかがですか?いい色ですよね?」→Yes
「形はいかがですか?前回もこのエッジがカッコいいとおっしゃていただきましたが、実物はいかがですか?」→Yes
「トランクの大きさはいかがですか?これぐらいあるとお荷物は載せられますか?」→Yes
「ハンドリングはいかがですか?クイックなハンドリングが好みとのことでしたが、どうですか?」→Yes
「加速はいかがですか?スムーズな加速だったでしょ?」→Yes
このような具合です。ついその場で契約しそうになりました(笑)
テストクロージングとは、商談の途中で購入につながるお客様の判断や意思を確認するプロセスのことです。お客様に最終決断(契約)を迫るのがクロージングですので、その前段階ということでテストクロージングと言います。営業マンはお客様がどれぐらいこの商品を気に入ってくださっているか、色々な切り口でお尋ねを繰り出し、反応を見極めながら商談を進めます。
その際、大切なことはお客様からたくさん「Yes」を引き出すことです。これはイエスセットという心理学を応用した商談スキルです。
イエスセットというのは、人はなんども「Yes」と答えていると、次も「Yes」と答えやすくなってしまう傾向のことです。この心理的な傾向を商談に利用したのがテストクロージングです。「Yes」と何回も答えているうちに最終的な「Yes」、つまり契約をしてしまうというわけです。
人は自分が口にしたことを簡単には覆せません。今までずっと「Yes」と言っておいて、最後だけ「No」とはなかなか言えないのです。よってテストクロージングのコツは、お客様が必ず「Yes」と答えてくださる質問を積み重ねることです。
営業マンが商談の場面で使うなら、お客様のご要望を確認しながらテストクロージングを繰り出します。
「本日は○○の件で、お話しをさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「話しを聞いていただき、気に入っていただけたら一歩進めさせていただいてもいいですか?」
「先日のお話しで△△がお好みとのことだったので、今回のご提案はそれを付け加え・・・」
「前回、○○が必要とのことでしたので、このような仕様にしておきました。いかがでしょうか?」
「予算は○○程度とのことでしたよね?今回のお見積りは範囲内ということで大丈夫でしょうか?」
いきなり「契約してください」ではお客様もYesと言いにくいので、このようにお客様のご意向を確認する質問を自然な会話の中にちりばめながら「Yes」を重ねていくと、後は最終決断の「Yes」しか残っていないという状況に至ります。そこまでいけば、ご契約いただけたも同然ですね。
ぜひ、普段の商談で試してみてください。
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