早嶋です。
日本は30年間成長せず、むしろ一度衰退して、ようやく30年前に戻った。この要因は何だろう。私は組織の意思決定の遅さ、行動力の欠如、トライ&エラーをしない体質だと思う。それは組織が高齢化して実業の意思決定に現場の意見が入りにくくなっている状態が、まさに常態化したことに要因があると思う。
80年代。日本が栄えた頃は、常に答えがあり、欧米が開発した取組を日本は実にうまくコピペした。大量生産大量販売と規模の経済でキャッシュを生み出したのだ。
2000年頃よりコピペが無意味化した。IT化が進み、2007年頃よりスマフォセントリックな経済がはじまった。大きな組織の力で数で戦うのではなく、少数でもITとソフトを組合せると従来と異なるビジネスモデルでレバレッジが取れるようになったのだ。アトムの世界では、何か規模を大きくするために大きな投資が必要になったが、ビットの世界では一度仕組みを作ればプラットフォーム化して一気に世界に展開できる可能性がある。
2010年代に普及しはじめたクラウドが一気に過去のビジネスモデルを駆逐する。全てを自前で揃え、自分たちで開発する。その発想の対局に、得意なところを自分達で実装し、苦手なところはオープンソースを活用する。積極的に他社と協力した上で、とにかく事業化のスピードアップを図った。一度波に乗ると、その展開は加速度的に早まり、自社の株価も指数関数的に高くなる。今度はその株価のレバレッジを活用して、周辺技術を持つ企業を次々に買収してグループイン。昭和平成の企業が外出ししていた顧客データベースの管理や、使用後のアフターフォローやメンテナンスを内製化して、中間にいる企業を排除し直接エンドユーザーと取り引きする形態を生み出したのだ。昔の発想では、顧客の管理コストも高く、コミュニケーションを取るのも一苦労だった。しかしITやSNSやクラウドなどの要素技術を組合せて活用することで、コミュニケーションコストが一気に下がり、様々な情報が地球の隅々まで届くようになり、情報の民主化が一気に進んだ。
フットワークが軽い動きをする組織は、若手のアントレプレナーが作り上げた組織が多い。お金も資本も少ないなか、アイデアを即実行しながらトライ&エラーを繰り返し知見をためていく。一方で、伝統的な大きな衰退する組織は、仕事をいちいち分業化しているため、全体最適の発想を持ち事業に取り組む人材が極めて少ない。何かするにも複数の組織の確認が必要で、ちょっとした変化を組織に導入するにも、あっという間に半年から1年の時間を必要とする。変革を起こしたいのであれば腹をくくってトップダウンで一気に変えれば良いものの、構造的にできない組織になってしまっていると勘違いしているのだ。
組織の意思決定の遅さ、行動力の欠如、トライ&エラーをしない体質。これは全てその組織が勝手に作り出したバグだ。その会議いらないよね。その承認不要だよね。いきなり成功なんてないから小さく始めると良いよね。と、当たり前に考えればわかることを、当たり前に変えていくことが大切なのだ。結局、組織の上部と下部や現場レベルで、実情が入らなく、情報を遮断する仕組みを作ってしまったのだ。組織の問題なので、組織のトップがその気になれば、時間はかかるが確実に変えることはできる問題でもあるのだ。