早嶋です。
24年3月21日。日経の見出しに「日経平均、終値も最高値更新 812円高の4万0815円」とあった。
「コロナも明けて、いよいよ日本も復活するのか!」と心躍った方もいたと思う。しかし、実際は89年頃に当時のピークで4万円近くになった株価は、03年頃に向けて低迷して1万円を割り、そこから20年近くかけて、ようやく4万円台に回復したに過ぎないのだ。失われた10年は20年、30年となり、ようやくスタートラインに戻ったのだ。
89年12月29日当時で国内の時価総額上位10社はNTT(22.93兆円)、日本興行銀行(13.23兆円)、住友銀行(10.55兆円)と以下、富士銀行、第一勧業銀行、三菱銀行、東京電力、三和銀行、トヨタ自動車、野村證券(6・74兆円)だった。
24年2月22日現在の国内時価総額上位10社はトヨタ自動車(57.45兆円)、三菱UFJ銀行(18.38兆円)、東京エレクトロン(17.25兆円)と以下、キーエンス、ソニー、NTT、ファーストリテイリング、三菱商事、ソフトバンク、信越化学工業(12.63兆円)だ。
80年代のバブルは金融機関主導で、それから一気に金融機関にとって冬の時代が到来する。そして、半導体やソフトウェアなどの企業が日本を牽引するも、全体としては入れ替わりがゆっくり進み、国内の経済代謝が進まなかったとも言える。国内のみの動きをみていると、ときに近視眼になりがちだ。そこで同時期の日本とドイツと米国を比較してみた。
89年の主な株価指数を0とした場合、日本(日経平均)は△50前後まで堕落して、ようやく0に戻ったのが今年だ。米国(米ダウ平均)やドイツ(独DAX)は30年で数百倍から千数倍の規模で伸びていることを知ると驚愕するだろう。ドイツは89年を0とした場合、2000年にかけて300後半まで成長、03年にかけて一旦低迷し0に近づくも、そこから右肩成長で現在は800くらいを示す。米国も同様で89年を0とした場合、30年間安定の右肩成長で現在は1500くらいなのだ。如何に日本が30年間低迷し続け、海外が普通に成長を遂げているのかがわかるだろう。
世界時価総額ランキングの値も、30年前は50位以内に日本企業(主に金融)が多数ランクインしていた。しかし、今は1社でトヨタが30番目くらいにようやく登場する。マイクロソフト、アップル、NVIDIA、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラなど、30年前には存在しないITや半導体関連の企業が時価総額を高めているのだ。
GDPのランクも日本は米国に次ぐ2位のポジションが2000年頃より急成長を遂げる中国に抜かれ、独、インドなどに追い越されようとしている。更に一人あたりのGDPを見ると97年当時は3.5万ドル程度で4位のポジションだったが、19年現在で4万ドルと微増しているものの、他の国が経済発展を遂げているためポジションは19番目。コロナ後の23年の直近の統計では3.4万ドル程度で34番まで下がっているのだ。
既に日本は成熟国の中でもかなり経済的な発展を遂げれない国に成り下がっているのだ。現実を直視することが成長を遂げる第一歩だ。
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