早嶋です。
運とリスク
一定の事業は、あるタイミングで、ある業界に、何らかのきっかけを持って開始することでチャンスを掴む。同じタイミングで、同じ業界に参入する可能性がある組織は多数ある。しかし、取り組むか、取り組まないかの意思決定は組織によって異なる。そして組織の努力によって一定の成果を出すこともあるが、たまたまそのタイミングでその業界に参入したことで達成できた成果として考えることもできる。
成功した組織を、成功した後に観察し、関係者に話を聞き、調査をすると、成すべくして成功したように勘違いしてしまう。しかし、成功した組織の最も素晴らしい取り組みは、早いタイミングで、その業界に入って、その事業をスタートしたことのようにも思える。そして、そのタイミングは、意図的に戦略的に計算された結果ではなく、もっぱら偶然という表現の方がフィットするケースが多いのだ。
事業の成功=運と言いたいわけではない。一方で、運と表現した方が成功要因を説明することが簡単な場合も多々あるのだ。この解釈を持つことができれば、他人の芝を青く捉えず、どこにでもチャンスは転がっているという思想を持てる。
環境分析をする際、マクロの視点とミクロの視点から事業チャンスを分析する。自分たちのリソースを活用して、あるいはゼロベースで取り組め成果を出す領域を選定する。ある組織にはチャンスに見える業界も、別の組織には脅威となる。誰もが同じ物差しがあるわけではない。考え方の基準や判断基軸は千差万別なので、結局、その事業に参入するか否かの判断は戦略的に見えても、他の組織からすると合理性が乏しいのだ。
成功した組織は、その参入後も、継続的に、その業界のペインを解消すべくワークし続けていることだ。チャンスを掴み、信念を持って取り組んだ結果、成功がたまたま舞い込んでいる。事業における再現性は、じつは偶然や運の部分も無視できない。だれも神様ではないので確実に正確に知ることもでいない。個別の事例を研究して法則を見出し再現することは机上の作業でできても、現場では大変なのだ。
ここからの学びは、どのようなことでも、見方によっては良いし、悪いのだ。そう実は良くも悪くもないのだ。この視点を持つことができれば、成功しても、失敗しても、冷静に客観的に分析して判断ができる。成功と失敗には運とリスクが介在しており、運とリスクは紙一重なのだ。
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