早嶋です。
後継者問題が10年以上フォーカスされているが、日本の中小企業の多くは、そのファミリーが継ぎたいと思わない理由がある。売上が小さい、借財が大きくて経営者になった瞬間に肩代わりする可能性がある、今後の事業の発展性が見込めない等々だ。それでも、2世や3世がその事業を引き継ぐ頃は、専務や常務という肩書からスタートし、創業者が苦労してきた要諦を知らないままに経営を引き継ぐことが多い。
特に、創業者が戦後に事業を始めていれば、2世が引き継ぐ頃は最も事業が利益を高め、日本としても良い時代に引き継いでいるので、マイナスの側面をあまりしならい。そして、事業のピーク前後から3世に引き渡す頃には、ずいぶんと事業規模も縮小している。よく言われるように、創業者が礎を創り、2世が縮小させ、3世が盛り返さなければいけない状況にある。だ。
2世が経営者だった頃、3世候補は親(2世)が行っている商売に対して、何かしらの古臭さを感じ、他の親を羨む気持ちを持ちながらも高校、大学に行き、一流と名のつく企業に勤める。しかし、どこからしら甘やかされて過ごしたこともあり、社会の厳しい風当たりに耐えられなくなり、ふと創業者のおじいちゃんの顔が見え隠れして、実家に戻って親の後でも継ごうという考えで、3世としての道を歩みはじめる。一方で、3世は当初から事業を継ぐ気はなく今勤めている企業で大きな成果を出し自分のビジョンも持ちはじめている。そんな中、急に2世の父が病に倒れ、母親から実家に戻って事業を継いでほしいという経緯で、仕方なく事業をついで3世になった話も現実によく聴く。
この2世や3世に共通する大切なポイントは、なぜその商売の顧客が、その家業に対して対価を払い、事業として存続するためのキャッシュを生み出すことができているか。という商売で大切な根本を理解することなく、経営をしているフリをしているのだ。
例えば、20人くらいの規模だとする。創業者、もしくは2世(父)が社長で、その下には大抵の場合、社長の片腕がいて番頭として経営を切り盛りしている。息子として実家に戻った際は、肩書が常務取締役であったり専務取締役で始まることが多い。
20人も社員がいれば、何十年も先代や現社長と仕事をして部長止まりの肩書もいるだろう。ファミリーだからと言って、20代、30代そこそこがいきなり専務だの、常務だので内心、不満を持ち合わせる社員もいるだろう。しかし。多くは黙って旨にしまい込んでいる。
2世、もしくは3世として経営陣の立場になった息子は、現社長に経営の状況をヒアリングする。社長は、うまくいっている。売上は小さいが、利益は着実にでている。心配することはない。などと、極めて曖昧な話をする。息子も自分で商売を始めた経験が無いので、なんでうまく言っているのか、どのくらいの売上に対して費用がどの程度かかっており、それは適正なのか、などを調べる視点も無い。結果的に自分で考えることなく、なんとなくそのポストに収まって居心地の良い生活がはじまる。
20人の社員からは、専務とか常務とか言われるため、規模が小さくても、なんか心地が良くなる。地元の金融機関に行っても、専務とか常務とか言われながら、引き続き当行とよろしくね、などと話をされるので、なんだか自分が偉い感じを受けてしまう。そしてそのうちに、青年会議所だのローターリーだのに顔を出し始め、経営者ごっこをしている同じような立場の人とあつまり、勘違いは勢いをつける。
いつまで立っても、2世、3世は自分の頭と足と手で、自社の分析をして、課題を発見してそれを潰す試行錯誤を始めないのだ。世の中がダウンの時、この状況で家業が傾くのは目に見えているのだ。
2世、3世の共通の思考として、経営について問を立てても、先代が開拓した得意先からの仕組みが出来ていると得意げに応える。注文も一定が自動できて、リピードで一定の売上が確保できているのだ。利益に対しての問を立てても、少ないが、その状況が業界では当たり前なのだ。とかえってくる。そこになぜ、その仕組ができたのか?どのようにあ先代は顧客の獲得や取引先の拡大をしたのかと問うても、知らないし、自分で疑問を持ったことも無いような雰囲気をみせるのだ。
だからといって経営学修士を取って勉強しろとはならない。経営は泥臭く、常に試行錯誤をして、ちやほやされることではない。家族や社員や顧客。そして社会のために、自分たちが掲げた理念の実現のために、常に試行錯誤を続けることだと思う。そこに、現経営者が亡くなるタイミングで、ようやく気がついたとて遅いのだ。
先代や現経営者が構築した土台にのっかっても、成熟期や衰退期を迎える日本ではどうにもならない。あぐらをかいているにすぎないのだ。数年も立たずに会社がガタつくことは見えているのだ。
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