安藤です。
今回は、「アンコンシャス・バイアス」についてです。
職場の雰囲気が悪い、生産性が低下している、コミュニケーションがうまくいかない等、様々な問題で共通する要因として「アンコンシャス・バイアス」があります。 アンコンシャス・バイアスとは、心理学の概念である「認知バイアス」の一つで、”無意識“ の偏見や思い込みから偏ったモノの見方をしてしまうことです。自分の思い込みや環境といった要因により、非合理的な判断をしてしまう心理現象のことです。いわば、その人の過去や経験や知識、価値観、信念をベースに認知や判断を自動的に行い、何気ない発言や行動として現れます。それは、公平・公正・客観的に目の前の物事を判断できなくなる場合があり、人の行動や意思を決定する際に影響があります。
例として、「普通はそうだ、大体こうだ、常識だ」「そんなはずはない、こうに決まっている」「こうあるべきだ、こうでないとダメだ」などが挙げられます。
「無意識」というものがアンコンシャス・バイアスの特徴であり、それ自体は良い悪いといった判断をされるべきものではありません。アンコンシャス・バイアスが注目されるようになったのは、2010年代頃からといわれています。その背景には、非正社員や女性、外国人、LGBTQ+などの増加による組織の多様化があります。また、企業内で不祥事やハラスメントなどが多発したため企業倫理を見直す必要性が高まり、組織のリーダーや管理職は、アンコンシャス・バイアスへ注目するようになりました。
アンコンシャス・バイアスの影響として、個人としては①モチベーションの低下 ②無気力 ③思考停止 ④チャレンジしなくなる ④ストレス増加等、組織としては、①停滞感 ②コミュニケーション不全 ③ハラスメント ④パフォーマンスの低下 ⑤イノベーションが生まれない他が、挙げられています。
最近では、内閣府男女共同参画府が出している「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」があります。
こちらをご覧いただけるとおわかりいただけるかと思いますが、家計は男性が支えるべき、という認識は世代が若くなるほど割合としては下がり、60代が顕著にその認識が強いことがわかります。共働きが増えていることにより、20~30代を中心に家計は男女で支えるもの、という認識に変わっていることがわかります。
産経新聞:アンコンシャス・バイアスの実態 「男らしさ」に苦悩の男性増加(2023/8/12)の記事が掲載されていました。記事には「価値観の多様化や女性の社会進出が進む中、伝統的な「男らしさ」の呪縛から逃れられず、苦しむ男性が増えている。誰にも明かせずに孤立や孤独を深めるだけでなく、鬱積した不満や苦悩が何かの拍子に爆発すれば、暴力や家庭崩壊に発展するリスクもある。」と書かれていました。また、先ほど、ご案内した内閣府の「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」でも、伝統的な男らしさを求める意識が根強い実態があります。しかし、20~60代の男女計約1万人に性別による役割に対する考えを尋ねたところ、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」との項目に男性48・7%、女性44・9%が肯定的に回答。男性の28・9%は「男性は人前で泣くべきではない」と考えていることも分かった。と記されています。
時代の変化、社会の変化によって、意識・価値観が変わるなか、職場の雰囲気を良くしていく、コミュニケーションを円滑にしていくたためには、自分自身の「アンコンシャス・バイアス」に気づくことを意識づけし、相手の価値観・考え・気持ちをよく “聴く” ことも必須であると考えます。