早嶋です。
新規事業として、既存の事業を新規の市場に持ち込む。いわゆる新市場の開拓において考えることがある。やはり国や地域やエリアが変われば、その土着の文化が異なり、同じようにはいかないということだ。その際は、現地に適応させる部分と全体で標準化する部分のバランスが重用になる。ただ、その塩梅を決めるのは合理的な机上の空論では上手くいかず、小さくはじめて試行錯誤を繰り返しながらチューニングするものだ。
その際に、あたりを付けることが私は大切だと思う。ただ、そのあたりもあっている保証は無いが、あたりがあることで、それを軸として修正の角度や頻度が見えてくるものだと思う。そのあたりは、歴史からの学びや、他の業種からの学び、自分の経験や他社の経験からなど複数の視点で捉えるしか無い。要は何も分からないし、それがあっているかも不明だからだ。
たとえば、はじめて進出する国に商品を提案するとする。その場合、相手は分からない。でも自社の商品知識は持っている。このような状況は、たとえば日本にはじめてコーヒーや練乳を導入したネスレは何を考えたのか?などと歴史を参考にあたりをつけることができる。元々コーヒーを飲むなどの文化はなかったので、コーヒーを角砂糖の中に粉状にして入れ、それを溶かして簡単に飲む工夫をしてネスレは日本に文化を根付かせたと聞く。練乳に対しては、そもそも牛乳を飲む感覚が薄かったことから、そのような飲料を飲むことがかっこいいというファッションを創り出したり工夫をしている。
新規事業として、新市場開拓をする際の落とし穴だが、既存の市場と同じやり方で提供する前提でいくのは良いが、必ずその手法が通用する可能性は薄いと捉えて、そこに一定の覚悟と推定が必要なのだ。その際に、常に良いものが売れるという考えは捨て、現地に受け入れられたモノが良いものだという発想を持つことが大切だ。マーケティングの世界でもn=1を観察することからはじめて、よくわからない市場をとにかく観察してあたりをつける重要性を謳っている。まさに、あたりを持ちながらも、その対象とする顧客や企業の実態がどうなのかをファクトで理解を深める中で、商品をチューニングするイメージを持つことが大切なのだ。
(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。
(著書の購入)
実践「ジョブ理論」
「M&A実務のプロセスとポイント<第2版>」
「ドラッカーが教える問題解決のセオリー」