消費の二極化が進んでいる。中途半端な価格帯、安くもなく高くも無い商品(製品・サービス)は、消費者から嫌われ低迷。そして元祖低価格商品やコスパ重視の商品はかつてない賑わいを見せ成長している。一方で、元来高級のポジションにあった商品は、以前よりもまして顧客からの支持を得ている。その様な商品は、常に満室、満員、予約待ち、長い行列が出来ている。
そんな中、なんちゃって高級品を演出する商品がまちなかに溢れていることに気がつく。コロナ中盤頃、多くの企業はが値上した。そして、どさくさに紛れて、一部の店舗や個人は高級感を演出するふりをした商品を世に出し始めている。特徴として面白いのは、商品の機能的な優位性は残念ながらすこぶる低く、価格相応の味やサービスや体験は無いのだ。
しかし、SNSにあげると何故かバズる。そして、狭い店舗、要領の悪い接客、盛りやパッケージはイケているが、中身が伴なわず、サービスにも心がない。でも不思議なことに賑わっている。演出は良いが、中身がハリボテの映画のセットのように、写真写りは非常に良い商品。パン、ケーキ、シナモンロール、ドーナッツ、パフェ、オムライス。。。
Z世代が好きそうな何かがあり、とにかく映える。SNSで突然バズり、店舗に行列ができはじめる。並んでいる方々の層は様々だが皆スマフォ片手に何時間も辛抱強く待ち、商品を購入してSNSにアップして満足して帰路につくのだ。一方で舞台裏を除くと、ここはおじさんおばさんの闇が見える。並ぶ専門のバイトがあり、開店してしばらく行列を演出するのだ。そして、複数のアカウントを駆使しながら、対象の店舗のコメントをしながら行列の印象をイケてる感じに演出する。並んでいる方もうすうすは気がついているのか、行列に並ばないことを負けと思っているのか、その店舗を愛してやまないのか。考えるのは自由で、並ぶのも自由。そして、同様の手口をコピペして、瞬間風速的に利潤を追求している業者も目立つ。
おじさん、おばさんからするとありえない。が、Z世代はそれが良いのだ。そこに行くことが目的、そこでタグ付して写真をアップすることが目的、ならぶのも体験かもしれない。味や材料なんかどうでも良いのだ。オンラインに登場した瞬間からリアルの現実は払拭される。飲食系では、添加物満載、作りがとにかく雑、サービスなんて期待できない。それでも、SNS上のコメントのやり取りは、めちゃくちゃ丁寧で、なんとなく良い店のようにバーチャル上では感じてしまうから不思議なのだ。
リアル店舗は、オンライン上での脇役かもしれない。彩りをするためのツールで、さしみのツマみたいなもので、主戦場はオンライン。Z世代はリアル店舗にならび、オンラインを華やかにするために数時間並ぶことを何とも思わない。それは並んでいる間もスマフォ片手にだれかとチャットをしてSNSサーフィンしているからだ。
果たして、この消費は続くのだろうか。舌が肥え、様々な人間味ある体験をし、本質が見えるようになれば、砂上の楼閣であることに気がつく。が、その様なリアルな経験は当面、あるいは将来的にもあり得ないかもしれない。とすれば、その様なマーケティングのあり方を理解して、そこを攻めまくることでZ世代に対しての攻略が見えるかもしれない。ただ、その企業が新にパーパスやミッションを追求しているのであれば実行不可能だろう。ってことは、中小企業や若手起業家がノウハウを蓄積して、そのうち、味やサービスや素材を正していくバージョンも出てくるかもしれない。いずれにせよ、今は発展途上。なんでもありのマーケット創造。従来とは異なる概念、手法、魅力なのがZ世代なのだ。面白い。
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