早嶋です。
保険会社のミッションは、顧客本位を据え「一生涯のパートナー」や、「確かな安心いつまでも」などを唱えていますが、従来の顧客のコンタクトポイントはビックハイアのみでした。つまり、契約前の営業、契約時、契約の更新時、保険を利用するときです。しかも、実際に保険を使うときは、こちらから連絡をしない限り分からないという状態です。
それが近年のDX化によって、ようやくミッションに掲げる顧客のリトルハイアに真にフォーカスする動きが開始されます。つまり、契約してからをすたーととして、本来の一生涯のパートナーや確かな安心をいつまでも提供することが可能になるのです。そしてこれは顧客にとっても喜ばしいことになります。
仕組みは簡単です。保険に加入した顧客の健康に関わるデータと保険料が連動することで、顧客は保険料を下げることができ、企業は実質的な金額を得ることで保険の仕組みを効率的に運営することができます。現在はほぼ人口100%に近い人がスマフォを持ちます。これらを媒体に日々の健康に関わるデータを集め、保険会社と連動することができれば、双方に取ってメリットが高くなる仕組みです。
国内でこのような仕組みを導入する際は、いくつかの規制がネックになるため大手保険会社は人口ボーナスが今後期待できる東南アジアで同様のサービスを開始します。過去の日本と同様、経済発展に伴い健康意識も高まり市場としてもフィットすると判断しているのでしょう。
この手の取り組みは保険料の割引以外にも、日々、顧客が連絡を欲しいタイミングで保険会社が顧客にコンタクトができるようになります。すでに中国の平安保険が進めている領域ではありますが、まさかのタイミングが起こる前に予防した取り組みを保険会社が中心になってすすめることができるのです。
従来の保険会社はリスクをへらす目的で、参考にするデータは過去の健康診断の結果を基にするしかありませんでした。しかし、日々顧客の健康に関するデータをモニタリングすることができれば、適切な保険料の設定がリクスなしに容易にできます。また、数値の変化をモニタリングすることで将来発生するリスクを下げることも可能です。例えば、体格指数(BMI)などの数値の変化をみながら糖尿病や生活習慣病のリスクを予見して、罹患しないようにアドバイスすることも可能です。データの連携が可能になれば医師やスポーツトレーナーと共有することで様々な助言を受けることも可能になります。
登場人物が多岐にわたり、様々な規制が目に浮かびますが、この取り組みは一大マーケットとなる東南アジアで先行的に実験して欲しいものです。このような取り組みは、アップルやグーグルが主導権を握るのか、保険屋さんが握るのか、あるいは病院や健康を提供する企業が握るのか。我々消費者にとってはどこが覇権を握っても良いのでサービスフィーが下がり、みんなのデータによってみんながより健康に過ごせる世の中の実現につながれば嬉しいことですよね。
– 三井住友会場は国内損保としてアジア進出に先行。日本企業の現地法人の顧客からベトナムを中心にアジア各国の個人向け市場を開拓して生損保両方の拡大を目論む。
– グーグルは20年に保険分野に参入して、個人デバイスから得られたデータを活用した保険サービスを開発中。
– 住友生命保険は18年に南アフリカのディスカバリーと組み、アプリと組み合わせた健康増進型保険を発売。
– SOMPOひまわり生命保険は原則すべての個人保険を健康増進型に切り替える計画を掲げる。
– 東京海上日動あんしん生命保険やジャストインケース(東京・中央)も国内で同様の販売実績がある。