早嶋です。
日経新聞で先日、以下のような記事がありました。
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イオン子会社で施設管理大手のイオンディライトは、防疫の知識や技術を持った清掃の専門人材を育成する。現場担当者に対する教育や施設側への改善提案ができるリーダー層の人材を2021年度中に10人ほど育てる。新型コロナウイルス禍に伴う施設やテナント企業などの安心安全意識の高まりに対応する。
ーー引用終了ーー
この取り組みは非常に素晴らしいと思いました。多くのインフラを支える施設管理の従事者は低額な賃金で日々仕事をされています。敬服すべきことです。しかし、その仕事柄、時給をかなり抑えられており、十分な賃金を得ることができていません。そのため仕事をする方々が減り、一部のワーカーに労働が偏り負担が高まるというような循環が続きます。
この弊害は、仕事を受託する企業が更に再委託するなど、マトリョーシカのような構造になっていることにも起因すると思います。そして清掃に関わらず、多くのインフラを支える業界においても同様の縮図を垣間見ることができます。
さて、今回のコビット19がトリガーになって、清掃の世界に新たな防疫というジャンルが確立されるとその専門集団は一目置かれ、より単価の高い仕事で受注ができるようになる。そうなれば、少しは現状の仕事が見直されることでしょう。
ただ、従来の方々が、研修や経験を積んで取り組めるレベルの仕事であれば、短期間は値段を上げることができても、すぐに他社が追従するので競争力がなくなり、またコモディティ化することでしょう。その場合は、期待以上の料金を得ることが難しくなります。
一方で、仮に専門的な知識と経験を有したとしても、そのチームが独自にプロモーションする、営業する能力がなければ、結局は委託したい企業を見つけてきて、その鞘を抜くという構図が発生して、現場には思ったよりも収益が落ちなくなることも考えられます。ということは、現場の下請けを行う企業がもっと営業力やプロモーション力を身につける必要がある。という課題も見え隠れしますね。
更に、マクロ的な視点で見ると、この手の仕事が仮に高給取りの仕事になれば、仕事を委託する企業としては、従来なかった予算を計上しなければならないので短期的にはその専門家集団に支払うでしょうが、中長期的には内製化するか、別の方法、例えばロボットの研究開発を進めて導入するなどの取り組み、を行うことでしょう。
結果的に、インフラをささえる現場に何らかのイノベーションが起きてしまえば、従来の仕組みで仕事をしていたワーカーにとって不利になる。という見方もできそうです。