早嶋です。
習近平の言葉に「あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる」があります。この意味は中国の資本を世界中の主要なサプライチェーンに組み入れ、もし何か衝突があった際に、相手はその絡みから抜け出せないようにする中国の戦略を意味します。
この思想は中華の知恵そのもので、孫氏の謀攻篇で「用兵の原則は、味方の兵力が敵の10倍であるなら包囲し、5倍なら攻撃し、2倍なら敵を分断する」という一文があります。敵方を分断して、主たる部分を自分の味方にすることで相手を崩しやすくすることができます。
フェーウェイの子会社である半導体メーカーのハイシリコンは米国半導体メーカー大手クアルコム並に製造能力を持っています。しかしフェーウェイは全てを自分たちで製造せず、あえて半分を米国はじめとする世界各国のメーカーから輸入していました。この思想もいざとなった時の孤立を避けるためです。各国は中国の鎖を切れば自分たちも影響がでます。米国がファーウェイに対して制裁を緩和せざるを得ない理由です。
中国の一帯一路の構想は、上記の考えを捉えると納得です。2019年4月に実施された一帯一路国際協力サミットフォーラムでは150カ国の代表と90以上の国際組織の代表など総計5,000名もの要人が参加しています。
サミットの開催の1ヶ月前、中国は古代シルクロードの両端が中国とイタリアだったことを話題に出し、2,000年前以上に栄えていたローマと西安を今に復活しようと話をしています。イタリアの経済が低迷しているタイミングに中国が手を差し伸べているのです。