早嶋です。
営業パーソンの行動は、ある程度共通プロセスがあります。ソリューション営業と言っても、何らかの商材があり、営業先がある程度ある場合、アプローチ(初回訪問)、関係構築(キーパーソンとの)、問題共有、提案、成約の流れです。
1)アプローチ(初回訪問)
リストからアポイントを取るなど、何らかの方法で初回訪問を行います。飛び込み営業なども初回訪問としてカウントしても良いと思いますが、よほどな商品でない限り効果は望めません。できれば、該当者を知っている方に紹介頂くのが最も良いと私は思っています。
アプローチでの基本は、相手の状況や相手の意思決定の流れを知るための突破口を開くことで、商材が良ければ相手のためにもなるので重要なプロセスです。成績不振の営業パーソンの多くは、アプローチの時に提案し商材を紹介しようと先を急ぎます。しかしこの時点で営業パーソンは相手の状況を理解していないため提案はほぼ無理です。従って押し売りになり印象も悪くなります。
紹介の場合は、相手も紹介を頂いた手間時間を取って頂きます。その際に、だったら次はもっと深く話を聞きたい。という状況になって頂くことが大切です。そのためには相手の状況をお伺いしながらも、適切に相手のペインを把握していくことがポイントになります。
2)関係構築
初回アプローチでキーパーソンに会える確率は紹介を除くと殆ど低いです。紹介営業が重要な理由はここにもあります。もし、初回アプローチが窓口だったり、担当者であった場合は、出来る限り相手の組織の内情や意思決定の流れを把握しキーパーソンや意思決定する際の組織の役割を把握します。そして、担当者レベルの役割と能力を見極め、彼らの役に立つことを理解することで意思決定者へのアプローチを試みます。
関係構築の方法は、相手のおかれている状況や提案する商品や提案する営業パーソンによって千差万別でしょうが、確実に言えることは、窓口担当=営業相手では無いという事実です。担当者と懇ろになっても、次に進む確率は格段に低くなり、いつまで経っても提案できない状態が続きます。これは企業の大小関係なくある程度共通のルールです。
仮に関係構築をすっ飛ばして、次の問題共有のフェーズに進んでも、所詮担当者の戯言にしか過ぎず、担当者は意思決定者に的確に説明ができない故、なんぼ素晴らしい提案であってもその企業に届くことは無いのです。キーパーソンとの接触と関係構築に全力を注ぎましょう。
3)問題共有
キーパーソンと関係構築ができれば、その企業が何を目指しているのか、ゴールイメージを聞き出しながら整理さしあげます。この場合、2つの状況が考えられます。既にキーパーソンが何らかの因果で現状を悪いと思っている場合です。今の状況が解決できている状況を営業パーソンは言葉にしながら共にイメージを構築します。いわゆる現在問題的なアプローチです。意思決定者が既に問題を把握しているため、通常以上の品質での解決策のイメージが共有できれば意思決定者は提案を聞かない理由はありません。
一方で、現状に満足しており、得に何か困ったわけではない場合、将来問題的なアプローチになります。この場合、提案する営業パーソンからみて問題が多数あると感じても、キーパーソンにその認識が無いので提案はできません。そこで、共に問題を共有することができないかを考えます。将来問題の場合は、現状を悪いと思っていないため、今よりも更に良い状態や、同様な企業のケーススタディなどをキーパーソンに適切に情報提供することが大切になります。その際、企業の事業計画やすすむべき方向性が分かれば、通常はそのギャップを埋める必要性がありますので、そこに問題を見出していきます。仮にそのような先のイメージも無ければ、一旦次に進むステップを諦めるか、関係構築を緩やかに勧めながら適宜先のイメージを共有することが遠回りのようで近道です。
将来問題的アプローチでよく使うテクニックは理想像を100点として現状の点数を伺う手法です。例えば、どんなに現状が素晴らしくても、現状に100点を付けるキーパーソンは少ないです。従って100点よりも低い点数を付けることが殆どです。
仮に90点であったとしても、10点分が問題になり、それは何か?なんで今を90点と思っているかを適切なタイミングとコミュニケーションによって確認することで自然と問題を共有することができるのです。
4)提案
現在問題か将来問題かは別として、問題を共有できたら、はじめて営業パーソンが持つ資産を使って解決する方法を考えます。この際、顧客と言ってもその解決に対してはほぼ素人な場合が多いです。そのため率先して顧客のあるべき姿から逆算した現状を示し、理想と現実の中に介在する問題を整理して、共にその問題を解決するためのヒントである課題を見つけ出していきます。
コンサルの場合は、実は問題の共有や課題の発見自体が商品なので、上記のような一連の流れを普段から数多く行います。営業パーソンがつらいのは、この過程を商品の一環として、営業パーソンが提供している価値と認識していない点です。仮に、課題の整理後、適切な解決策の提示ができ、断られたとしても、その営業パーソンは次回以降にも必ず顧客から声がかかる存在になります。
重要なことはルート営業であれ、既存の顧客に対しての営業であれ、新規の営業であれ、キーパーソンとの関係構築、キーパーソンとの問題の共有ができなければ、どんなに素晴らしい提案をしても、相手に価値として認められないのです。