早嶋です。
ーーー引用(日本経済新聞朝刊2019年6月29日)ーー
三菱UFJ銀行と三井住友銀行は9月22日から店舗外のATMを相互開放する。両行の預金者は相互開放先のATMで平日の日中に現金を引き出す際の手数料が無料になる。両行は合計で600~700程度のATM拠点を廃止する予定だ。インターネット経由の決済や振り込みが増える中で、管理費が高いATMを減らす。
ーー引用終了ーー
この記事、開放の理由が銀行都合で管理費が高いからATMをへらす。だからATMを相互開放する。という視点が気になります。顧客の利便性を上げるための取組として導入しています。という発想になっていないのが今後の金融業界が衰退することを示唆していると感じます。
また、この取組に対してすんなり進まない背景に公正取引委員会が絡んでいます。コレまで地銀レベルや郵便局と他行の連携はあったものの、メガ銀行同士のATMの相互利用は初めてということで、なんやかんや調査があったことは推測できます。が、今の時代背景を鑑みるとやはりナンセンスです。
金融機関の状況を見れば、金利政策が0のままなので、金融機関は収益を上げることができません。そこで、国は金融機関を守る動きをしていますが、現金のメリットが薄れ電子化していく昨今。現場の仕事を機械に置き換えて生産性を挙げていく昨今。やはり動きが逆行しています。
金融機関の仕事は3つ。預貯金、融資、送金です。送金に対しては今でも全銀システムを中心とした発想なので、一極集中のコストが嵩み、かつ世界でも遅れた送金システムになっています。手数料がバカ高い理由もここにあるでしょう。銀行の仕組みを考え、ユーザーの視点が二の次です。
融資に対しては、不正を防ぐ目的でしょうが、メインバンクとして生活口座を長年使っても、そこの履歴を活用した信用調査は皆無で、外部の調査機関を使い個人の信用を割り出します。スマフォ経済の発想では、その人の過去の使用履歴や他の情報を瞬時に判断して個人のリスクを割り出します。しかし日本の金融は未だに、属性による古い信用の仕組みを活用しているため時間がかかりかつ不正確です。したがって、焦げ付く人のリスクを信用が高い人が肩代わりする仕組みが現在でも活用されています。
預貯金。金融機関はゼロ金利と言っても収入は得ています。がその収入は預貯金者には反映されません。平日に数回、休日に数回お金を引き出すだけで平均的な利息はふっとぶかのごとくです。
そもそも、金融の電子化を促進すると良いのですが、日本はもともと
●偽札がほぼ無い
●安全で騙す人がいない
●ATMのインフラが整備されている
●現金時代の投資が十分に普及しているため崩したくない
などと、キャッシュレスや電子化に進みたくない理由がいくつかあるかもしれません。
それでも、今後のトレンドを見る限り、無視できない流れです。
自行の都合で対策を取る金融機関はほぼなくなっても1,2社の新たな電子銀行の誕生によって、日本の預金、融資、送金はまかなえる時代がやってきてもおかしくない技術はあるのです。
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