早嶋です。
フリーランスが増える理由に、務めたときの1)自由度と、務めているときの2)安定性を天秤にかけた場合、1)の自由度を選択する人が増えている。というニュアンスの記事を最近よく見聞きします。一方で、副業規程に対して取り組む企業に務
めている人は、個人の収入を増やす目的で財布の口を広げるという話を伺います。
兼業などを入れて、日本ではフリーランスが1,120万人程度いて、労働人口の約2割に相当する17%がいます。そしてその数字は今でも増えています。新卒や第二新卒の状況でも、選択肢として企業に務める方向に加えて、フリーランスになる方向も検討されていることから若い方にも支持されていることがわかります。
ただ、会社を活用して、自分で行えると思う方の多くが、会社でできた成功体験を自分の実績のみと勘違いする方が多いとも思います。企業は、効率的に効果的に仕事の成果を出せるように、若い方やグレードの低い方には全体像を示さずに、細分化した具体的な手続きのみをこなすことで仕事の成果が出せるように標準化されています。
例えば、コンサルティングの仕事です。クライアント企業から仕事がきて、悩みの相談を打ち明けられ、そしてその内容をコンサルAが整理して問題を特定していく。所謂問題解決型の仕事をしているとします。Aはある程度、クライアントの悩みを整理できるようになり問題の設定から課題の特定、そして解決策の提示まで出来るようになっています。そんなとき、会社とクライアントが契約する金額と自分の給与を天秤にかけた場合、会社が搾取していると考えると、自分で独立してみようと会社を辞めてフリーになります。
が、実際は、Aが行う前提として、そのクライアントと信頼関係があり、定期的にAが務めている企業がそのクライアント企業に営業をかけているという前提があります。また、Aがクライアント企業を理解できている背景も、過去の実績や分析結果。そして、そのクライアント企業に特化した課題の論点をすでにその企業が整理していることもあります。また、その企業が課題を整理する過程でAのスタッフがデータの分析を当たり前に行いますが、企業の外では、そのような簡単な仕事の流れが実は超難易度が高いこと。というのも当たり前です。そうなるとAが分析した結果を見て判断ができても、Aが初めの営業から関係構築、そして基礎的な分析、そしてその結果を整理して、ようやくコンサルができるのです。そして、その結果価値を出そうとしたら、その内容をクライアントに伝えて、解決策を示し、そこから解決策を実行するフェーズになります。
考えると当たり前なのですが、フリーランスはそれらを全て自分で行うか、企業と同様にパートナーや都度変動費でその仕事を外注する先を見つける必要があります。この取り組みは全く不可能では無いのですが、時間が超かかります。そして安易に独立して稼げるイメージを持ったAは再び企業に務めるのですが、実績を出せなかったフリーランス期間に自分の価値を下げてしまう方も多数お見かけします。
1)自由度と2)安定をの尺度に加えて、3)自分ゴトとして取り組めるか。が議論をする際に重要です。企業に努めていても3)自分ゴトととして取り組んでいる方は、営業の仕方や整理の仕方、分析の仕方にも興味を示し、もっといいやり方はないか、省略して同じ、あるいは倍くらいの価値を出せないか。と常に思考するからです。このような方は、常に全体を見ているので、何がキーになり、何で手を抜いていいのか見えますので、結果的に企業にいようが、フリーランスになろうが価値を効率的に最大化出来るようになるのだと考えます。
ハイ・コンセプトで知られるダニエル・ピンク氏はフリーエージェント社会の到来を当時の著書で示唆していました。その前提は企業が不安定になることでした。従い、給与をもらう財布を複数持ったほうが、ポートフォリオの理屈がはたらい安定するという話です。ただ、そのフリーエージェントは、どの企業とやり取りをしても、自分の仕事を技として他社に提供出来る品質が保たれていることが前提です。